校長室
ラビリンス・オブ・スティール~鋼魔宮
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RESULT 最後に、本作戦の結果を記す。 再び、シャンバラ教導団団長室。 「報告書はこれだ。共同作戦の約定通り、私に展開されたものと同一である」 分厚い資料束を、金 鋭峰(じん・るいふぉん)はエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)に手渡した。 「読みごたえがありそうなのですぅ……」 ちょっとした辞書並の厚さになった製本である。この重そうな資料を手に取り、前屈みになってエリザベートは表紙を開いた。 「最初のページが要約になっている。……おい、ここで読む気か」 「ちょっとだけですぅ」 ちら、とエリザベートは上目づかいで鋭峰を見た。 「茶菓子だな、待ってろ」 鋭峰は指を鳴らした。その際、「あつかましいやつ」と呟いたようだがエリザベートには聞こえなかった。 以下が、その要約である。 (1)行方不明者の保護――完了 小山内南、イースティア・シルミット、ウェスタル・シルミット、すべて多少の疲労こそあれ無傷で救出している。三人は簡単な事情聴取の後、イルミンスール魔法学校に引き取られた。 (2)工場プラントの破壊――完了 ほぼ徹底して殲滅。大半は自爆で喪われたが、一部資料を持ち帰ることもできた。 (3)『頭脳』の破壊または乗っ取り――破壊 半ば乗っ取りに成功したところで隠しコードにより『頭脳』は自爆。データもごく一部しか採取できなかった。重力制御装置の部品も多少採取しており、今後の調査が待たれる。 (4)ヒューマノイドマシン殲滅――完了 その後の調査でも、動く機体はひとつも発見されていない。大量の部品を採取、今後の調査が待たれる。 (5)クランジの撃破――部分的成功 確認された三体、Ψ、Χ、ΦのうちΨとΧのみ完全破壊を確認。 Φは『頭脳』の破壊直後に弱体化し逃亡。事情を考慮し、責任者の処罰は行わない。 (6)総合判断――作戦成功 追伸。塵殺寺院の研究者多数の逮捕に成功。今後尋問を行う予定。 「クランジの一体だけが気がかりなのですぅ」 「足跡は追うつもりだ。ただ、その弱点が水であることが判っただけでも朗報だろう。改良するにせよ、すぐにというわけにもいくまい」 「なるほどぉ」 ぱらぱらと資料を繰っていたエリザベートの前に、再び中華スウィーツの数々が並んだ。 「金団長は食べないんですよねぇ」 「前も言ったろう。甘いものは苦手だ」 「では」 ごそごそと荷物をさぐって、エリザベートは袋入りの塩せんべいを取り出したのである。 「これは魔法学校からのお土産なのですぅ。魔法せんべい、って言ってぇ〜、まあ、草加せんべいみたいなものなのですが」 「いらん」 「あれ? 辛いものもだめなんですかぁ?」 「私は毒味したものしか食わんのだ」 怒ったような表情をする金団長にいきなり、 「はい」 一枚を半分にして片側を口に入れ、もぐもぐと口を動かしながらエリザベートは言うのである。 「ほくひしましたよぉ〜(毒味しましたよぉ〜)」 金団長は後ろを向いて激しく咳き込んだ。どうやら笑いを誤魔化しているらしかった。 「判った! 食ってやる! 食ってやるからお前も、さっさと目の前の菓子を食うがいい!」
▼担当マスター
桂木京介
▼マスターコメント
マスターの桂木京介です。ご参加いただき、本当にありがとうございました。 今回は戦闘中心のお話でしたが、様々なアクションが集まって盛りだくさんの内容になったと思います。 皆様のパワー、そしてやる気にはしばしば圧倒されつつ、こちらも精一杯応じたつもりです。 楽しんで頂けたら幸いです。 それでは、また新たな物語でお目にかかりたいと思います。 桂木京介でした。