リアクション
おのろけコーナー 「CMあけました。それではいってみましょう、おのろけコーナー。 ペンネーム、超匿名希望さん。 シャレードさんこんばんは。今回は俺の恋人について投稿します。 彼女との馴初めは2年前のツァンダ夏祭りでした。 俺にとって彼女は、まさに高嶺の花で…声をかけた時の反応も「兵卒が私に声をかけるなんて、身の程知らずもいい所ね」という身も蓋もない台詞でした。 ただ、少し騒ぎがあった後、彼女は「英雄の味を知りたくば英雄になりなさい」と、俺に目標をくれました。 その日から、俺は、彼女に認めてもらう為に本気で自分を磨く努力を開始しました。 そして、いつの間にか、彼女に認められたいという欲求よりも、彼女を自分の手で幸せにしたい、という気持ちの方が、俺の中で断然大きくなっていました。 俺は彼女を世界で一番愛するようになりました。 特に、彼女と一度離ればなれになった事件以後(現在は無事再会し行動を共にしています)は、彼女のことが心底から愛しいです。 彼女と恋人同士になれた今、思いきって彼女に求婚しました。 美人で知的で…そして照れ屋で、寂しがり屋な(そんな所も愛しい)彼女と2人で手をつないで人生を歩んで行きたい、と想っています おめでとうございます。いつまでもお幸せにー」 ★ ★ ★ 「こ、これは……、間違いありませんわ」 ラジオを聞いていたエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)が、素早く携帯を取りだした。 「こんな投稿を臆面も出すなんて……ふふふふですわ」 いつもの習慣として、面白いネタはないかと、ラジオの放送内容はちゃんとパソコンにデジタルデータで保存してある。証拠はばっちりだ。 「恥ずかしい惚気投稿、乙ですわ! っと……」 右手の親指で素早くメールを打ち終えると、いったん送信する。 「念のため番組の音声データを陽太の連れ合いにも送っておきましたわよ?」 メール二通目。これを送られた影野陽太は悶絶することだろう。ふっ、まだまだ影野陽太で充分だ。 有言実行で、さっそく御神楽環菜にもメールを送っておく。 「ほーっほほほほほほ」 「おねーちゃん、何しているの?」 自分のハガキは読まれないのかなあと、ラジオに聞き入っていたノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)が、勝ち誇って高笑いをあげてるエリシア・ボックに訊ねた。 「なあに、御……影野陽太の投稿が読まれたから、おめでとうのメールを送っただけですわ」 「おにーちゃんもハガキ出してたんだねー!」 「恥ずかしい投稿でしたけどもね」 そう言うと、エリシア・ボックが再びさっきの放送を巻き戻して聞かせた。 「わあ。ワタシもメール送るよー」 ポチポチと、ノーン・クリスタリアもメールを打って送信する。 『おねーちゃんは“はずかしい”内容だって言ってたけど、わたしは、おにーちゃんの環菜おねーちゃんが大好きな気持ちが、いっぱいいっぱい伝わってすごくいいと思うよ!』 そのころ、ベッドの中でラジオを聞いていた御神楽 陽太(みかぐら・ようた)はメールを受け取って悶絶しつつも、隣人を起こさないように必死だった。 |
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