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リアクション
★ ★ ★
「続いては、ちょっと長いお手紙です。お悩み相談というか、お話みたいなんですが……。
ペンネーム、嘆きの毒リンゴさん。
初めましてシャレード様。唐突で申し訳ありませんが私(わたくし)は今、これまでの人生を否定しかねないほど深く悩んでおります
どうか私の悩みを聞いてやっては下さいませんか?
実は私、自分の『美』と言うものに絶対の自信と誇りを持っておりました
と言うのも私が持つ魔法の宝具『真実の鏡』
これはこちらの問いかけに対し必ず真実を告げるという鏡なのですが
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?」
「それは貴女様です」
私は毎日同じ問いかけをし、そしてその答えを自信と誇りにしておりました
ところがある日の事
「それは白雪姫です」
なんと、鏡が私ではなく別の者の名を告げたのです
白雪姫!あの幼く可愛らしかった姫もすっかり成長し、一人前の素敵な女性に変貌していたのです
ですが私はこれを認めるわけにはいきません
私はなんとか再び一番美しい女性になろうと様々な努力をしましたが、鏡の答えは一向に変わらず、焦りと苛立ちから「白雪さえいなければ…!」と思うようになってしまい
そしてついに、白雪姫に毒りんごを食べさせて永遠の眠りにつかせてしまいました
それほど私にとって『美』というものは重要な事なのです
これで私が再び一番美しい女性になれた……
そう安堵し鏡に問いかけると
「それはシンデレラです」
シンデレラ!
私は早速お城に行き、シンデレラに毒りんごを食べさせて永遠の眠りにつかせました
これで私が再び一番美しい女性になれた……
そう安堵し鏡に問いかけると
「それはかぐや姫です」
私は早速竹林に行き、かぐや姫に毒りんごを食べさせて永遠の眠りにつかせました
「それは赤ずきんです」
私は早速森へ行き…
「それは織姫です」
私は早速…
「それは親指姫です」
私は…
「それは人魚姫です」
………
「それは…」
私は疲れてしまいました……
教えてくださいシャレード様。私は一体後何人に毒リンゴを食べさせればよいのでしょうか?
それとも一人の女として美を求める事が、美しくありたいと願う事が間違っているというのでしょうか?
同じ女性として、そして多方にわたり活躍し見識の広いシャレード様に是非ともご意見を賜りたく存じます
どうか私に救いの光明を照らして下さいませ
P.S.真実の鏡がシャレード様の名を告げぬことを心から願っております」
長かったです。
まだこの世しか回ってはいないじゃないですか、ナラカとかザナドゥとかあの世が抜けています。とりあえず、この世でなければあの世です。
すべての美女を滅亡させるには、そこまで対象にしなければなりません。
悪いことは言いませんから、まず、最初にその鏡に毒リンゴを食べさせましょう。それですべて解決です。死人に口なしですから。
というわけで、リンゴありがとうございました。スタッフの一人に毒味させましたから、放送が終わって彼が生きていたら、みんなでいただきたいと思います」
★ ★ ★
「リンゴか。何か、無性に食べたくなってきたのう」
隣のベッドでくーくー小さな寝息をたてているアリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)を横目でチラリと見てから、ルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)が、ごそごそとベッドを抜け出してキッチンへとむかった。
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