リアクション
ふつおたコーナー 「ふつおたコーナー!! 一発目は、ペンネーム、通りすがりの花妖精さんから。 そういえば、最近、シャンバラにも花妖精さんが増えてきましたねえ。プリチーでかわいい子が多いので目の保養になります。 ええと、初めましてということになりますね。何分普段はラジオなるものを聞けない状況が多い身でして、ああいやそれ以前にまだ生まれて間もないってのもありますか、とにかく失礼ながらこの番組のことは存じちゃあおりません。しかしながらこの文に目を通しておられる女史が様々な催しで各地に呼ばれていると聞きまして、勝手ではありますが何かこう心躍るような旅を出来るところに心当たりはないものか拝聴出来ないかと、まあそういった次第です。お返しというのもおこがましいですが、無事帰ってこれた暁にはその旨のご報告ということでどうでしょう? なんだか、妖精さんにしては渋いですねえ。 そうですね、よく地方イベントのどさ回り……いえ、司会に抜擢されたりしますから、花妖精さんがあちこちに行っているなら、どこかでばったりと出会うことみあるかもしれませんね。 楽しみにしています。 さて、今日最後のお葉書は、またまた超プリチーな白熊さんから。 50周年おめでとうございます! ボクが聞き始めたのは2年前からなので驚きました! これからも頑張ってください! おお、最初から来ていてくれたんですね。 ありがとうございます。 でも、五十周年じゃありません、五十回です。 でもでも、五十周年目指してこれからも頑張っていきますよー」 リスナーたち 「これからのシャンバラか……」 ラジオを聞きながら、ジャジラッド・ボゴル(じゃじらっど・ぼごる)が独りごちた。 現在、パラ実はエリュシオン帝国の統治下におかれている。パラ実風紀委員としてのジャジラッド・ボゴルとしては、恐竜騎士団の今後を考えずにはいられず、ラジオを聞いていてもどこか気もそぞろだ。 いずれキマクはシャンバラに返還されるとはいえ、そう予定通りに事が運ぶとも思えない。 「ラジオですか。プロパガンダには最適かもしれませんわね。例えば、種籾の塔内部にラジオ局を開設して、そこから恐竜騎士団に有益となる番組を流すとか」 ジャジラッド・ボゴルと一緒にラジオを聞いていたサルガタナス・ドルドフェリオン(さるがたなす・どるどふぇりおん)が、ふと思いついたように言った。 「ふむ、そんな手もあるかもしれないな。例えば、ヴァイシャリーには食料が豊富だと放送して、全体的な興味をそちらへむけるとか……」 今のうちに、ジャジラッド・ボゴルが崇拝するバージェス率いる恐竜騎士団が、竜騎士団を出し抜いてキマクの実権をすべて握るようにするには、恐竜の食料やさらなる領地が必要となるだろう。ラジオを聞き流しつつ、ジャジラッド・ボゴルはうーんっと唸った。 ★ ★ ★ 「はーい、ちゃんと通報してきたよー」 依頼された地下組織を壊滅させてきた佐野和輝と合流したアニス・パラス(あにす・ぱらす)が報告する。そのまま、ぴょんと佐野和輝の背中に飛びついた。 魔鎧の装着を解いたとはいえ、まだ少し興奮気味であった佐野和輝だったが、ラジオから聞こえてくるたわいもないおしゃべりに、ふうっと肩の息を抜いた。自分の周りにある者は、今は現実だ。 「この二年間の思い出か……」 そんな物思い出したくもないと感じながら、自分を現実に引き戻してくれるのはいつもそれだ。 「和輝と出会った日のこと?」 そのまま背中に負ぶさったアニス・パラスが聞き返した。 「和輝という最高のパートナーを見つけた日のことは、今でも鮮明に覚えているわね」 スノー・クライムが続ける。 「そういうものか? そうか、いつか俺も、過去を楽しく振り返る日がくるかもな」 「その前に、もう少し自愛を持った行動をしてほしいけど」 それはいつだろうかと空を見あげる佐野和輝に、スノー・クライムが小さくつけ加えた。 ★ ★ ★ 「いろいろなことがあったのですねー」 ラジオから流れてきたリスナーたちの思い出話に、その都度相づちを打っていた八塚くららが、感慨深げに言った。 自分はまだパラミタにやってきて日も浅いが、それでも、わずか二年ほどの間に他の先輩たちはこれだけの経験を積んでいるのだ。自分も、同じような活躍をする日は遠くないのかもしれない。 「私も目標ができたし目標にむかって頑張らないとー」 誰にともなく、八塚くららは言ってみた。 |
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