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【2021ハロウィン】空京コスプレコンテスト

リアクション公開中!

【2021ハロウィン】空京コスプレコンテスト

リアクション

 とはいかない。
 ステージイベントは終わったが、まだイベント自体の開催時間は残っているし、それが終わったら片づけだって待っている。

■■それからと、これから■■

「お疲れ様、二人とも」
 如月正悟とチェリー・メーヴィス、神無月桔夜の三人は、コンテストに出場したそれぞれのパートナーを迎えに、舞台裏まで回って来ていた。
「残念だったな」
「仕方ないよ、みんなすごくレベルが高かったから」
 アシュリーがちょっと残念そうに首を振る。少し疲れが見える。よほど緊張していたのだろう。
「やっぱり、まだまだ修行がたりないねー」
 フォルテシモもうーん、と悔しそうな表情で伸びをした。
「あ、それよりマスター、写真撮ってくれた?」
「ああ、ばっちりだぜ。でもやっぱり舞台の下からだと構図がイマイチだな。写真集として売り出すならもっと――」
 今から撮ろう、と言おうとする正悟の肩に、ふわりと重たいものが振ってきた。
 アシュリーだ。
「ちょ、アシュリー? 桔夜君は俺じゃないから、抱きつかないで! 後ろの眼が殺意が怖いから!」
 きゅ、と正悟に抱きついているアシュリーは、既にすやすやと寝息を立てている。一気に疲れが出たようだ。
 桔夜が鋭い目つきで正悟を睨んでいる。
「……ほら、桔夜君」
 ちょっと気まずそうに、正悟はアシュリーの身体をそっと抱き上げると、桔夜に差し出す。
 桔夜はアシュリーに触るなぁああ、と言わんばかりの顔をしているが、口には出さずにアシュリーの身体を受け取った。
「大事なパートナーだ、大切にしてやれよ」
「お前に言われなくても、大事にしている」
「……そうだな」
 先ほどからの氷のような視線を思い出し、正悟は肩を竦める。
「今日は、帰るか」
「そうね。アシュリー様も寝ちゃったし……また今度写真撮ってね、マスター」
 そう言うフォルテッシモに頷いて返すと、正悟はチェリーに一声掛けて歩き出す。それに桔夜も大人しく従った。アシュリーは衣装のままだが仕方がない、このまま連れて帰るしかないだろう。
「しかし、連れてこられた時はどうなるかと思ったが、こんな日も、たまには悪くないな」
 一人更衣室へ向かったフォルテシモを見送った後、チェリーがぽつりと呟いた。
「みんな……楽しそうだった。正悟、色々な日常を見せてくれて、ありがとう」
 チェリーはフッと小さく笑う。
「楽しんでくれたなら、なによりだ」
 それに正悟も、笑顔で応えた。



 全ての参加者を更衣室から追い出し、テントを畳み、机などの備品を全て搬出し、等とやっていれば、もうすっかり夜である。
「昶、悪いけどこれも運んでくれないかな」
「はー、もう、くたくただぜー」
 一日中機材の運搬や迷子の相手などの裏方仕事に徹していた昶が、ぐったりとした顔で台車の手すりに凭れた。
「本当にお疲れ様、昶」
 北都が昶の頭をヨシヨシと撫でる。出しっぱなしの狼の耳と尻尾がしゅん、と垂れた。
「これで最後だから、頑張って」
「おー」
 励ましを受けて、昶は備品の乗った台車をがらがらと押していく。
「そっちは片づいたかしら?」
 とそこへ、実行委員長のノリコが顔を出した。
「ええ、今昶が最後の荷物を運んでいきました」
「そう、ありがとう。昶くんも、一日こき使っちゃって悪かったわね」
 昶の背中を見付けて、ノリコが済まなそうに肩を上げる。
「司会お疲れ様。素敵だったわ。また、何かの時には手伝ってくれると嬉しいな」
「そうですねぇ、考えておきます」
「更衣室の撤収、終わったですぅー」
 そこへ、ルーシェリア・クレセントと奥山沙夢が駆けてきた。
「園内に残っている参加者は居ませんでした。忘れ物なども特には」
 また、同じタイミングでレリウス達警備組も最後の見回りから戻ってくる。

「よし……みんな、今日はお疲れ様!」

 その他のスタッフも全員戻ってきたのを確認して、ノリコがシメの挨拶に入る。
「トラブルも……無かったとは言えないけど、盗難やけが人なんかの大きな事件が起こらずに済んだのは、みんなのお陰よ。ありがとう。部員のみんなは、明日部室で反省会だからよろしくね」
 最後に付け加えられた一言に、スタッフの半数くらいからうえー、と不満の声が上がる。
「手伝ってくれた皆さんも、ありがとうございました。レク研はいつでも皆さんの入部をお待ちしてます」
 おいおい、とツッコミの声が上がるのに、えへへー、とノリコが強かに笑う。
「さくらちゃんも今日はありがとう。またよろしくね」
「ま、ノリコの頼みなら、しかたないわね」
 公園のお局様は、偉そうに腰に手を当てた。
「それじゃあ最後にお手を拝借!」

 よーおっ、ぽん!

 綺麗に揃った一丁締めが、星空に響き渡った。


―幕―



担当マスターより

▼担当マスター

常葉ゆら

▼マスターコメント

ご参加頂いた皆様、おつき合い頂いた皆様、ありがとうございます。
恐ろしいほど趣味に走ったシナリオをお届け致しました。
良いですねぇコスプレ。楽しいですねぇハロウィン。
特にコンテスト参加者の皆さんは、装備欄の隅々まで工夫を凝らしていて、甲乙付けがたい! というのが正直なところでした。思ったより結果が振るわなかった、という方には申し訳ございません。

リアクションを書いている間中、逃げ出してコスプレしたい衝動に駆られっぱなしで、精神衛生によくないなーと思いました。

さて、蒼空学園レクリエーション研究会は今後もまた何かやらかすつもりみたいです。
その折りにはまたご参加・ご協力頂ければ幸いです。

本当に有り難う御座いました。またお会い致しましょう。