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お風呂ライフ

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お風呂ライフ

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「あれっ雅羅?」
 風呂から上がり、コーヒー牛乳を飲んだ刀真は、その瓶を返却に向かう途中、ルシオンと一緒にアイスバーを売る雅羅とバッタリ出くわしていた。
「あら、刀真もここに来ていたのね」
「雅羅もここでバイトか?」
「見たらわかるでしょ?」
 見ると、雅羅は白黒の水着の上にスタッフジャンパーを羽織った姿である。
「お疲れ様、じゃあマッサージをお願いできる?」
 刀真の言葉に、雅羅はやや済まなそうな顔をする。
「マッサージ?」
「……身体の傷が気になるなら隠すけど?」
 大体最前線で戦っているからよく死にかけるんだ、と自嘲気味に笑う刀真。
「……」
「でも死ぬ気は無いよ? あいつら残して死んだら、ナラカで凄く怒られるから」
 刀真は思う。月夜が自分の剣でいてくれるから戦える、玉藻とお互いの孤独を埋め合えるから自分は独りじゃないし、かつて救った白花がずっと傍にいてくれるから、また自分は誰かを救えると思えるのだ。
「違うの」
「え?」
「ごめんなさい。私、マッサージの研修を受けたんだけど、実技研修の時、うっかり、講師の人の骨を折ってしまったの。それで……」
「……どうしてマッサージで折るんだ?」
「その、もっと力を込めて、とか言われたから……」
「……込めすぎた?」
「そう。そうしたら、キミは不向きだから、て言われたのよ」
 シュンと落ち込む雅羅に、刀真が何と声をかけていいのかを悩んでいると、
「旦那、あっしでよければやりますよ? 100分5万コースで!」
「却下だ却下! 5万はボり過ぎだろ5万は!」
「それじゃ、4万! ……えーい、もってけ泥棒! 3万でどうだーー!」
「ちゃっかり金取る気かよ!!」
 何やら騒ぎながら佑也と楓がマッサージ室へと向かっていくのを聞きながら、刀真は雅羅に苦笑する。
「そうか……残念だけど、わかったよ」
「また、今度、頑張ってマッサージ師になった暁にはサービスしてあげるわ」
「サービス……ね」
 そこにルシオンが走ってやってくる。
「おお、雅羅さん! 緊急事態ッス! 早くー!」
 雅羅は刀真に頭を下げ、ルシオンの跡を追う。
「まぁ……俺もまだ怪我するわけにはいかないしな」
 刀真はそう呟いて歩き出す。

「ん? オイル掃除中により、部屋の変更?」
 本来のマッサージ室は封鎖されていた。刀真は張り紙通り、新設されたマッサージ室へ向かう。
「きゃああぁぁぁ!!」
「この声……月夜!?」
 月夜の叫び声に駆け足になる刀真。
「(切羽詰まっている声。一体どうしたんだ!?)」
 声の聞こえたドアを乱暴に開く刀真。
「月夜、無事か!?」
 と、叫びながら扉を開けると、玉藻が背後から月夜を襲っている。
 今まで見たことのない紅潮した月夜の顔に、刀真の胸がドキリとする。
「刀……真……?」
 月夜が刀真を見て、震える声を出す。
「沙幸達も一緒か……驚かせるなよ? 何事かと思ったよ?」
 口をパクパクと動かす月夜。
「しかし、肌色成分多いな」
 マジマジと見つめる先には、美海による整胸講座を受ける4名の女性陣。勿論、皆裸である。
「きゃああぁぁぁ!!」
 月夜の周囲に光の剣のようなものがいくつも現れ、一斉に刀真の方へ射出される。
「あぶなッ!? 剣の結界か!!」
 間一髪で避ける刀真。彼が0.1秒前に居た位置に光の剣が無数に突き刺さっている。
「白虎! パクッとお願い!」
 白花の放った幻獣の白虎が刀真の頭にかじりつく。
「あ……く、暗いよ! 白花!! 俺が悪いのか?」
「悪いに決まってるでしょうがぁぁ!!」
「ああ、マジスンマセン! 謝るからぁ!!」
「月夜、本気で打つな。刀真が死ぬ」
 玉藻が月夜をやんわり止めるが、月夜の攻撃は刀真の意識を飛ばすまで続いた。
 そして、倒れた刀真を囲んで立つ月夜、玉藻、白花の三名。
「……ちょっと残念だな」
「玉藻さん? 今なら流れで手を出してもらえたとか考えてます?」
「よくわかったな。白花」
と、刀真の行いを一切咎めない玉藻。
「私、そういうのは嫌です……もう少し雰囲気とか色々欲しいんです! ね、月夜さん?」
「わ、私は、別に……」
「うむ。月夜にはまだ早い」
 玉藻が低く笑う。
「玉ちゃん? それ、どういう意味!?」
「もう少し、胸が大きくならねばな。刀真を満足させられないであろう?」
「ま……満足ぅ!?」
 二人がそう言っていると、白花が倒れた刀真の横に「疲れました」と横になる。
「ふふ、腕枕です」
「白花。ズルイぞ?」
 玉藻も刀真の腕を取り、枕にする。
「ほら、月夜も」
「え……ええ! わ、私はいいよ!!」
「本当に?」
 玉藻に促された月夜も刀真の傍に腕枕される。
「フフ、美女3名を腕枕など、中々出来ることではないであろう」
「そうですね。刀真さんより我達が先に起きませんとね?」
 白花が笑う中、一足早く月夜は夢の世界へ旅立っていったのだった。