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リアクション
「小夜子ちゃんは相変わらずスタイル良いよねー。それって何かやってるの?」
「えっ!? どうして胸が大きいのかというと……。うーん。マッサージとか、かな……?」
温泉前の脱衣室にて、七瀬 歩(ななせ・あゆむ)の質問に答えたのは冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)であった。
「マッサージ……だと?」
小夜子が振り返った先には、DSペンギンに桶とお風呂セット(アヒルと水鉄砲)持たせ、いざ出陣! 状態の桐生 円(きりゅう・まどか)がその赤い瞳を、後輩である小夜子の胸に向けていた。
白いバスタオルで完全ガードの自分の胸元に目をやる円。
ぺったん……。
白い平原が見える。スキー場なら初心者コースクラスの平坦さである。一方、バスタオルを巻いた小夜子の上半身は、バッケンレコードを狙えるだろう急な傾斜を持つスキージャンプコース(ラージヒル)である。
「(ぐぎぎ……露骨に巨乳アピールしやがって)」
円と小夜子を誘っての温泉旅行を企画した歩が二人を見つめる。
「(円ちゃん、色々持ってきてるなぁ。アヒルの玩具とかかわいいー。いつまでも子供心忘れてないのは素敵だなぁ。小夜子ちゃんは……うーん、相変わらず胸大きいなぁ)」
尚、歩の上半身にオープンしたスキー場は中級者コースくらいの傾斜であった。
「まあ私の体質もあると思いますよ?」
小夜子が高校の先輩である円に気を使い、やんわりと言う。実際……同性同士でイチャついてるせいもあるんだろうなぁ、と思いつつも、口に出すのは憚られるので言わない事にしていた。
「体質……」
円はまだ何やら言いたそうだが、小夜子と歩の興味は、施設にある温泉へと既に移っていた。
壁に貼られた温泉ガイドマップの前で話す小夜子と歩。
「へー、見て見て! アトラスの傷跡やエリュシオンの山から取ってきた源泉だって。何かたくさん種類あるみたいだし、色々回ってみたいねー。効能もそれぞれ違うみたいだし」
「本当に、種類が多いですね-」
「ここ、温泉を使った温水プールもあるんだよねぇ」
「プール?」
「うん。どっちも楽しそうで惹かれたけど、今回はゆっくり休みたい気分だし温泉にしたの」
苦笑する旅行企画者の歩。
「私は、美容に良い温泉に入りたいですね」
いくつか奇妙な名のついた温泉が見えたが、小夜子はスルーした。
「色がすごい不気味なのとか、匂いがすごいのとかホント色々ありそうだねー」
そこに円が加わる。
「温泉って美容にいいんだよね? ボクも小夜子ちゃんと同じで気になるのは美容かな」
「円さんも美容を?」
小夜子が尋ねると、円はコクンと頷く。
「主に胸が大きくなるとか胸が大きくなるとか胸が大きくなるとか……」
「……」
「……」
「さ! バスタオル巻いたし、ごーごー!!」
円は浴場へと走りだし、彼女の荷物持ちとしてやって来たDSペンギン達がガイドブックを読むのもソコソコに慌てて後を追う。
「円ちゃーん! 走ったら危ないよ?」
「それと、バスタオルは置いていきましょうよー? お風呂は裸ですよー」
歩と小夜子も円の後を保護者的感覚で追いかけていく。