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神楽崎春のパン…まつり 2022

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神楽崎春のパン…まつり 2022

リアクション

「こっち側は、ぶっ壊した区画は少ないし、家具も全ての部屋から持ち出した訳じゃない。重要拠点から離れてるしな」
 パンツハンターの国頭 武尊(くにがみ・たける)は、勿論そこに気付いていた。
「そう、今までの戦闘に巻き込まれておらず、なおかつ現在も未使用状態の部屋にはステキなサムシングが埋もれている可能性が高い」
 不敵な笑みを浮かべ、サングラスの下の瞳をぎらつかせながら、武尊は居住区を進む。
 優子主催のパーティへの出席を諦め、ステキなサムシングを探す旅に出たのだ。何としても、結果を出さねばならない。
 スキルを駆使し、念入りに調べて回り、十二星華の部屋らしい部屋を最優先に探索していた。
 ティセラ、アレナの部屋っぽい部屋も発見したことはしたのだが、リスクが高すぎるため、今回は避けておいた。
 調理器具や裁縫道具など、家庭的な道具が置かれていた部屋は……パッフェルの部屋だろうか。
 残念ながら、武尊が望む宝は置かれていなかった。
 そして、次の重要探索ポイントの前で武尊は立ち止まる。
 重要地点以外は、罠は仕掛けてないはずだ。ただ、ロックがかかっていて簡単には開かないが……。
「又吉頼む」
 だが、武尊は今日、猫井 又吉(ねこい・またきち)という優れた機械知識をもつパートナーを連れていた。
 又吉は制御室で制御に携わっていたこともあり、アルカンシェルのロックの仕組みも熟知している。
「この部屋あたりから、操作が出来たらマズイよな」
 そんなことを言いながら、又吉は時間をかけて、ロックを解除しその部屋への侵入を果たす。
「なんだここは……」
 その部屋は、女性の部屋のようではあるが、ダンベルやバーベルなど、トレーニング器具が沢山並べられていた。
「十二星華の部屋だと思ったんだが……」
 そう言いながら、武尊は素早くチェストの中をチェック。
「……っ、なんだこの色気のない下着群は!」
 出てきたのは、くまさんアップリケのパンツばかりだった。軽く100はある。
 反射的に左右のポケットに入れ、一枚は頭に装着。
 サイコメトリで探って浮かんだのは、うきうきしている金髪ツインテール胸の小さな女性の顔!
「……この締め付け感は、まあ悪くはないか」
 ただ、何か物足りない。
「又吉……又吉? さっきから何してんだ? まぁ良いか、先行くぞ。ランドリー室に、十二星華の『何か』が仕舞われてるって情報もある。真偽を確かめねば……」
 武尊は次なる秘法を求めて、旅立っていく。
「やっぱり、この部屋にもあるな」
 又吉は、壁に備え付けられているモニターと端末を操作し、起動する。
 その部屋の端末から、制御室と通信を行うことは勿論、アルカンシェルの至る場所に設けてあるカメラの映像を映し出すことも可能だった。
「修理の奴ら手ぬるいぜ」
 このアルカンシェルの管理者でもあった十二星華の部屋から、制御室に干渉が出来る可能性は十分考えられた。
「制御室の制御装置に侵入できたり、乗っ取りが可能だったりしたらマズイだろ?」
 それが可能かどうか、又吉は確認の意味で、試してみることにする。
 他の部屋では機能制限を施したが……。
 それだけじゃ、警告にはならない。
 他の場所や、リモートコントロールで、干渉する手段はまだまだある可能性が高いのだから。
 というわけで。
「ん? こんなところまで、映せるのか」
 又吉は不可侵領域にして、暴かれてもアルカンシェル的には問題ない場所を全モニターに映し出すようプログラムを組んだ。
「まったく、無用心にも程があるぜ」
 作業を終えると、愚痴りながら武尊を追う。

 パン、パーティ会場――。
 部屋に設けられたモニターには、アルカンシェルの紹介映像が流れており、パーティを楽しみながら、客たちは時折映像を見ていた。
「……リン、流石にこれはマズいかも。いや、俺としては興味深いし、楽しませてもらいたいんだがな、ショックで分校に来なくなったら、大きな損失に……」
「ん? なんの話?」
 ゼスタの突然の言葉に、リンは彼が見ているモニターに目を向けた。
「あ……」
 ざわざわ、会場が騒がしくなる。
 モニターに映し出されていたのは・・・・・・。
 瓜生 コウ(うりゅう・こう)のシャワーシーンだった。
 一応、中心部は仕切りで隠れているが、顔や肩、太腿より下はばっちり映し出されている。
 そして、シャワーコーナーの前に置かれた、彼女の黒い下着も。
 それから、カメラが動き映し出される場所が変わる……上衣を脱ぎ始めた未憂の方へと。
「み、みゆうー!」
 リンは慌てて携帯電話をかけながら、更衣室へと走る。
「……みゆう、大変」
 プリムもリンの後を追って駆けて行った。
「うおおおおー、神だ、神が降臨された」
「撮れ、撮れ撮れ〜」
 子供達が雄叫びを上げながら、モニターを録画しだす。
 ブチッ
 リモコンを操作し、映像を消したのは、ヴェルデだった。
(これ以上はマズイ。気にせずとも巻き込まれちまうぜ……煩悩退散!)
 そうして、パンを食べながら、ヴェルデは断固ほのぼのし続ける。何があろうとも。
「……白百合商会の仕業か。とりあえず、今騒いだ奴らは吊るしておけ」
 優子が低い声で、警備の契約者に言い放つ。
「はい」
「了解しました」
 イクス達が走り、怪しい子供達を捕縛していく。

「こういうのって、定期的に狩らないと調子に乗るよなあ……」
 などと言いながら、毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)は、集めた子供達を撮りまくっていた。
 撮った写真は、今回も勿論ネットにアップする予定だ。
「まるでゴキブリだ」
 自分が捕獲した子供……の姿をした変態だけではなく、 呼雪真言などの手により、医務室隣の、ベッドルームに連れて行かれた子供達も一緒に撮っていく。
「数倍に膨れた奴もいるな。服を脱がす必要もない」
 来ていた子供の服が破けてぶよぶよの身体が露わになっている。
 薬が切れて、大人の姿に戻ったのだ。
「ふぐぐぐ、ほぐぐぐ」
 取材に訪れたという、子供達の引率者である男――白百合商会会長も、口と体を真言に縛り上げられ、部屋にゴミのように転がされていた。
「コイツはどうするか。恥ずかしい写真アップくらいじゃ、懲りなそうだよな。とりあえずどこかに吊るすか」
「ぐふおおおお、ぶごおおおおお」
 近づく大佐から、男は転がって逃げようとする。
「介抱手伝いに来たよー!」
 その時。バンとドアが開いて、笑顔を浮かべた女の子が姿を現す。
 中を見回した女の子――小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は、縛られた男を見つけると、笑顔のまま駆け寄ってくる。
「あ、シロぽんだ、久しぶり!」
「ふ、ふわひゃーん」
 奇妙な声を上げた男に。
 ドカッ
 美羽は跳び膝蹴りをお見舞いした。
「み、美羽……」
 驚くコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)の前で。
「またどうせ、エッチなこと考えてるんでしょ。なーにーをーしにきたのかなぁぁぁ!?」
 ドカッ、ドカカッ、ゲシッ、ガスン――。
「ぐふっ。げはっ、ごぶっ、げほ……」
 蹴って蹴って蹴りまくり、動かなくなった男の服を探り、美羽は彼――通称シロぽんの持ち物を押収した。
 腰に下げていた道具袋に入っていたのは、女性ものの下着!
 ポケットに入っていたのはハンカチ……ではなくて女性ものの下着!
 首から下げていたのは、ペンダント……ではなく、女性ものの下着!
 出るわ出るわ。
「これも、あれも、それも……ふーん、いっぱいもってるのねっ!」
 見つけるたびに、美羽はケリを入れていく。
「これは、アップしたらマニアに喜ばれそうか」
 言いながら、大佐は美羽に蹴られるシロぽんを撮っていた。
 スカートを翻して蹴る美羽の姿は、華麗である意味美しい。
「なんだか……すごい、ね」
 コハクはどうしたものかと思いながら、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)を見る。
「いえいえ、今回はまだまだ甘いです」
 ベアトリーチェはそう答えながら、美羽が押収した下着類をサイコメトリで調べる。
「こ、これは……うっ」
 ベアトリーチェは気分が悪くなってしまう。
 サイコメトリで感じ取れたのは、彼らの凄まじい下着への執着心、気持ち悪い想いだった。
「アルカンシェルの取材に来たのに、撮ってるのは要人とか、セイニィ、アレナばかりなのね……」
 シロぽんが持っていたデジカメを確認した美羽はにこにこ笑みを浮かべる。
「会わせてあげよっか。さ い ご だしねっ」
 にこっと可愛く笑うと、美羽はシロぽんの首根っこを掴みあげて、引き摺っていく。