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リアクション
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「なんで、バリアを解いているるんですの！？ ダメですのー！！」
イコナ・ユア・クックブックが、フィールドバリアが解かれていることに気づいて、あわてて元に戻した。
運がいいのか、絶妙のタイミングで、伊勢からの一斉射撃がバリアによって防がれる。
『おい、また攻撃できなくなったぞ！』
「方法はありますわー」
源鉄心からクレームが来るが、イコナ・ユア・クックブックはそれを無視してミニいこにゃに何かのボタンを押させた。舷側から何かがポイと射出され、勢いよく敵艦にむかっていく。またもや、爆薬を全身に巻きつけたレガートだ。
『きゃー、うさー。また、レガートさんがあ……』
ティー・ティーが悲鳴をあげる。
「うるさいですわ。どうせシミュレーションのデータですの。本物ではないんですから、いいのですわ。気にしない、気にしない」
そう決めつけると、イコナ・ユア・クックブックがティー・ティーの叫びを無視した。
★ ★ ★
「なんだと、特攻か！ 敵もやるでありますな。こちらも負けてはいられないであります」
レガートに突っ込まれて艦首荷電粒子砲を破壊された葛城吹雪が、もの凄く嬉しそうに言った。
「鋼鉄二十二号、勝利の鍵はキミだ！」
「ちょっと、何あおってるの！？」
葛城吹雪の言葉に、コルセア・レキシントンがあわてた。すでに逝く気満々の鋼鉄二十二号に対して、火に油を注いでどうするのだ。
『了解した』
「了解しないで！」
鋼鉄二十二号の返事にコルセア・レキシントンが焦ったが、もはや手遅れであった。
イコンではなく、もうただのミサイルと化した鋼鉄二十二号のＳ−０１が、全速力で正面からフリングホルニに突っ込んでいった。
「よおし、鋼鉄二十二号に続くであります。朝霧、伊勢、全速前進！」
★ ★ ★
『だから、早く、バリアをカタパルトモードに戻せ。イコン戦を仕掛ける』
「ダメですわ。鉄心は出てはダメですわ。カタパルトからは、ヴァラヌスを出しますわ」
そう言うと、イコナ・ユア・クックブックが、やっと自身の手で前面バリアを、フィールドカタパルトモードにしてイコンの射出状態にした。だが、運の悪いことに、そこへ鋼鉄二十二号のＳ−０１が突っ込んできた。
「しまった。敵の特攻を許したか！？」
焦る源鉄心にむかって、Ｓ−０１が突っ込んでくる。そのままイコンリフトで爆発して、上にあるブリッジを吹き飛ばすつもりだ。
「葛城提督、今朝のオイルおいしゅうございました」
フリングホルニの甲板を滑るように進入して、鋼鉄二十二号が体当たりを敢行しようとする。ところが、その機体が途中で止まった。いや、逆方向に凄いスピードで戻っていく。展開されていたフィールドカタパルトに正面から突っ込んだため、逆加速されて弾き飛ばされたのだ。
★ ★ ★
「なんですとぉ！？ 今度は正面からなのかあ！」
ブリッジにむかって飛んでくるＳ−０１を見て、イングラハム・カニンガムが絶句した。
「朝霧から打電、『サヨナラ、サヨナラ』……」
「なんだと！？」
コルセア・レキシントンの報告に、葛城吹雪が身を乗り出してブリッジ前方を見た。閃光が走り、朝霧が火の玉と化して迫ってくる。
「避けられないわ。脱出よ」
コルセア・レキシントンが、葛城吹雪をうながした。
「自分は、この艦に残るであります」
「あっそ、じゃあね」
格好つける葛城吹雪に、コルセア・レキシントンが素っ気なく答えた。そのままブリッジの脱出口を開くと、そこに備えてあった小型飛行艇オイレでさっさと一人脱出していく。
直後に、燃える朝霧が伊勢の艦橋に激突した。あっけなく艦橋が吹き飛び、伊勢の船体がくの字に折れる。
コルセア・レキシントンが見守る中、跳ね上がった艦首と艦尾をくっつけて雲海に沈んでいく伊勢の上空に、なぜか巨大な葛城吹雪の敬礼する朗らかな顔が浮かびあがった。おそらくは、伊勢の船体のどこかに仕込んであったホログラフ投影機であろう。
『いい戦いであった。我が戦いに、一片の悔いなーしっ！！』
なぜか台詞まで聞こえてくる。
「そこまで仕込むかあ！」
間近でそれを見せつけられて、小型飛空艇の上でコルセア・レキシントンが叫んだ。
★ ★ ★
「試合終了です。激戦の末、フリングホルニ・スイカの勝利となりました」
