なし

リアクション

　

　
　
「続いて、第３試合、コハク・ソーロッドさんのフリングホルニ・ゴールド対、アルマ・ライラックさんのウィスタリアです。１回戦、圧倒的な航空戦力で勝ち抜いたコハク・ソーロッドさん、対して、大火力を誇るアルマ・ライラックさん、勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか」
　
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「敵の出方が分からない。まずは様子見か……」
　コハク・ソーロッドの言葉に、キャプテンシートのローゼンクライネがうなずきながら脚を大きく組み替えた。
　うっかり上を見あげて気絶しないようにしながら、コハク・ソーロッドが一心不乱にウィスタリアを映し出したメインモニタを見つめる。
　
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「同じフリングホルニとはいえ、本家を倒した艦だ。ここは慎重にいこう」
「ええ」
　柚木桂輔のアドバイスを受け、アルマ・ライラックが前面バリアを展開しつつ、静かに相対距離を詰めていった。
　
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「敵に動きはないか。だったら、美羽、先制攻撃を！」
「私に任せて」
　敵艦の横に回り込むようにして加速しながら、コハク・ソーロッドがフィールドカタパルトキャノンを展開した。
「いっけえー！！」
　敵艦をターゲットサイトに捉えた一瞬に、小鳥遊美羽が黄金のヤークト・ヴァラヌス・ストライカーからショルダーキャノンを放つ。
　だが、同じく高速移動で回り込もうとしていたウィスタリアが、船体を傾けてそれを回避した。同時に、要塞砲で反撃が来る。だが、フリングホルニの方も、負けじと左右にある大型フローターによる全方位加速で予期せぬ軌道を描いてそれを回避した。
「こうなったら、一気にイコンで決めるよ。ヴァラヌス大隊、発進だよ！」
　小鳥遊美羽が叫んだ。
「了解しました。一気に、左右に展開して、数で敵を押し込みます」
　ベアトリーチェ・アイブリンガーが、ＡＩ制御のイコンに指示を出した。
　緊急用のリフトで一斉に甲板に上がったヤークト・ヴァラヌス・ストライカーが、ばらばらと甲板からあふれ落ちるようにしてフリングホルニの左右へと発進展開していく。その数は数十機にも及び、単機での発進よりは早いとは言え、順次発進していかなくてはならなかった。
　
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「敵は、艦載機の発進に入った、今がチャンスだ」
「グラビティキャノン、チャージ完了済みです。発射します」
　すでに準備を整えて待ち構えていたアルマ・ライラックが、スクリーンに映るフリングホルニ・ゴールドにむかって、ターゲットマーカーを指先で弾いてぶつけた。
　それに呼応して、ウィスタリアからグラビティキャノンが発射される。
　
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「しまった。まだ発進モードで……」
　イコン大隊の発進で船体を安定させていたため、回避運動に入るのが遅れる。そこを的確に狙われて、グラビティキャノンがフリングホルニ・ゴールドを直撃した。まだフィールドカタパルトを展開して順次イコンを発進させていたら、バリアへの切り替えも間にあっただろうが、多数のイコンを短時間で左右に展開させるためにあえてリフトアップでの垂直離脱にしたことが裏目に出てしまった。
「ああっ、金ぴかフリングホルニがあ。やられちゃったあ〜」
　船体中央を潰されて爆沈していくフリングホルニを唖然と見つめて、小鳥遊美羽が言った。かろうじて、ローゼンクライネをだいたコハク・ソーロッドが、自分の翼で脱出しているのを確認して、シミュレーションとはいえ、ほっと胸をなで下ろす。
「私たちに勝ったんだから、優勝してよね」
　通信機のスイッチを入れると、ウィスタリアへエールを送る小鳥遊美羽であった。
　
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「試合終了。御覧のように、アルマ・ライラックさんのウィスタリアが準決勝へと進みました！」