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リアクション
3.海に行きましょう!
「あらーお洋服売り場だと思ったら、水着売り場についてしまいましたわー(棒読み)」
雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)のその台詞は物凄く白々しかった。
「す、鈴子さん。今年の夏は海に行きましょうよー」
リナリエッタは、友人の桜谷 鈴子(さくらたに・すずこ)を誘って、空京の百貨店に訪れていた。
「夏物のお洋服見に行きましょうよー!」とリナリエッタが誘い、鈴子が「そうですね、色々な夏用品を見られるお店にしましょう」と応じて、訪れたわけだけれど。
「海、ですか」
鈴子は乗り気ではなさそうだった。
でも、それはリナリエッタには解りきってたこと。
「何が目的ですか?」
ちょっと疑いの眼で、鈴子が聞いてくる。
「いえ、ひと夏のアバンチュールとかそういう目的じゃないですから!」
「ホントですか〜?」
尚、鈴子は疑いの眼だ。
「ホントです。鈴子さんと海で楽しみたいんです!」
「私は……。あまり肌を見せるのは好きではなくて。日焼けも、似合わないと思いますから」
(あ、やっぱり。そうなんだ……鈴子さん、ちょっと水着姿に、自信、ない?)
これまでの会話により、薄々気づいていたことだ。
海で、自分と並んで歩いたら。
多分、まずは派手な体つきをしている、自分の方に男達の目は向けられるだろう。
(人間の内面と合わせたら私より鈴子さんの方がダントツ上だと思うんだけどなー。やっぱり、今年の夏こそは肉食系行為控えた方がいいのかしら……)
リナリエッタは心の中で軽くため息をついた。
「ええと、考えてみると、私夏ってどうも開放的になりすぎちゃって……今年は、鈴子さんと二人きり、プライベートビーチで!」
「……プライベートビーチですか」
ちらりと、鈴子が水着に目を向けた。
リナリエッタはプールの授業で鈴子の百合園指定の水着姿を見たことがある。
すらっとしていて、綺麗だった。
豊満とか、エロい体つきでは全くないのだが、清楚な美しさを感じる優美な日本女性の姿だった。
「どうしても、というなら上にパーカー羽織れば隠れますし、一緒に海行きましょうよー」
「ん……そうですね」
悩みながら、鈴子は水着売り場を見回して、パレオに目を留める。
「あ、ロングドレス風に巻けるパレオですね。こっちにはワンピース型もありますよぉ。これなんかどうかしら?」
リナリエッタは鈴子の手を引いて、そのコーナーへと向かい、鈴子に似合いそうな水着を選んでいく。
「ロングドレスのようにして、上に何か羽織れば、普通の服装と変わりありませんね……」
「でしょ! これなんか鈴子さんに似合うと思います。私も同じ形のにしようかしら〜」
リナリエッタは控えめな柄のワンピースタイプの水着を鈴子に合せてみながら、自分もこういう水着にすべきかとちょっと考える。
何時ものような派手な水着を着ていたら、プライベートビーチといえど、男性に目をつけられる可能性があるし、鈴子が変に劣等感を抱いたりしても残念だし。
(互いに控え目な水着にしたとしても、鈴子さんを大勢の殿方のいる海に連れて行くのはまずないけどね)
最初に男性が興味を持つのは自分かもしれないけれど……。
(鈴子さんの清楚パワーと水着が合わさったら、不埒な輩がよってくる! それだけは絶対に阻止!)
それで自分が誘いに乗り鈴子の側を離れたりしたのなら、鈴子の身が危ないような気がしていた。
「そうですね。海、行きましょうか」
鈴子がリナリエッタが選んでくれた水着を手に、淡い笑みを浮かべた。
「はい! 行きましょ〜。水着を選んだあとは、日焼け対策ですね?」
「ええ。あっ、リナさん」
「はい?」
「ビーチで男性に、日焼けオイルを塗って貰おうとか考えてません?」
再び鈴子が疑いの眼になる。
「考えてませんよぉ。鈴子さんと一緒のときは、殿方の方には行きません。呼びません」
「ホントですね?」
「ホントですよ。殿方は呼びません。(鈴子さんに)近づけません!」
「ふふ、棒読みじゃないので信じます」
「もー。鈴子さんってば」
笑い合ってから、2人は一緒に海に行くための水着を決めていく。
鈴子はやはり、ワンピースタイプ水着と、花柄の大き目なパレオを選んだ。
リナリエッタは、ヘソが少し出るくらいの、単色のタンキニの水着にして、鈴子とお揃いのパレオを購入することにした。
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