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リアクション
第1章 「しまった、この森の空気がじゃたにとってきれい過ぎたんだ!」
■□■1■□■「イチャラブするだけじゃなくて、想いを伝える大切なチョコだもんね」
ワレンティヌスがイルミンスールの森に隠したチョコを探すため、回収に向かう者達がいた。
「チョコはあくまで受け取った人、これからあげる人のものですからね。
御神楽 環菜校長のたくらみにも賛成できません。
とけないように、冷蔵庫にしまいましょう」
一式 隼(いっしき・しゅん)は、パートナーの機晶姫三月 かなた(みつき・かなた)の背負った冷蔵庫に、
地道に回収したチョコレートをしまっていった。
「ここにもありましたわ」
かなたは、黙々とチョコの回収作業を続ける。
内心、隼のことがきらいなかなただったが、パートナーなので従っているのである
「バレンタインチョコってイチャラブするだけじゃなくて、想いを伝える大切なチョコだもんね。
チョコを奪われちゃった人も渡す相手の人も悲しい気持ちになるのはイヤだし、
スーパーミラクル全開で探しちゃうよー!!」
クラーク 波音(くらーく・はのん)も、一緒にチョコが隠されている場所を探す。
(でも、物に想いを託して渡すのは気の弱い私達人間らしい手段なのかもっ)
ワレンティヌスの憤りに対して、波音はそんなことをちらっと考える。
パートナーのアリスララ・シュピリ(らら・しゅぴり)は、
荷物持ちとして、リュックを背負い、波音が回収したチョコを詰め込んでいた。
「本当は集めたチョコさん食べたいけどぉ、
波音おねぇちゃん、お手伝いのご褒美に
ララにもチョコ買ってくれるっていうから我慢するよぉ!
えへへ〜、ララえらいでしょ〜?」
ララは無邪気な笑顔を浮かべて、大好きな「波音おねぇちゃん」を手伝っている。
「英霊だからって、特別な場所に隠せるとかないと思うんだよね〜……多分!
んっふっふ〜。
思ったとおり、通り道の草むらの中にチョコ発見!」
波音は、他にも、木の上や岩の陰など、道の脇にある隠しやすそうな場所を重点的に探していった。
神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)も、チョコを探して、持ち主に返却しようと考えていた。
パートナーの守護天使レイス・アデレイド(れいす・あでれいど)も、一緒にチョコを探し、袋に入れて運ぶ。
「せっかく、皆さんが、心込めたのですから、返してあげないと駄目でしょう?」
「チョコか? 争奪戦かこれ……ったく、森の中とは、めんどくさいな」
伊達眼鏡をかけた優しそうな顔の翡翠が、心配そうに言うと、
レイスは、面倒くさそうに言う。
とはいえ、レイスはお人よしのため、自分より他人のことを気にかける性格であり、
後始末などをよくしている苦労人なのである。
本当は、今回の事件のことも人一倍心配しているのである。
「ただ、これ見つけても、返す相手分かりづらくねえか?
全部にはカードも無いし……本人が見ればいいんだが、無理だろう」
「まあ、それは、それ……返せれば、良し……見つかればの話ですよ? 頑張りましょう」
隼や波音とも協力しあい、翡翠達は大量にチョコを発見した。
「これ、どうするよ? 食べるのは、きつそうだぞ? お前は、苦手だし、なあ……適当な奴に渡すのか」
「食べませんよ? 作った人から、恨まれそうですから、それに、甘い物は、ちょっとね」
レイスに聞かれて、翡翠が苦笑する。
「はいはーい、持ち主が見つからなかったら、ララがたべるよぉ!」
「ダメだよー、ララ。
学校の掲示板とかで集めたチョコ返します、みたいなお知らせして、
適当な時間と場所決めて、まとめて返せればいいんじゃないかな?」
ララが元気よく返事して、波音がたしなめる。
普段は面白いこと大好きな波音だが、今回ばかりは真面目に考えているのだ。
「持ち主が見つからなかったら、ララさんに食べてもらえばいいんじゃないでしょうか」
翡翠が言い、ララがにぱーっと笑顔になる。
「うん、じゃあ、ララ、最後まで我慢するよぉ!」
こうして、ほのぼのムードで探索が続くかと思いきや、一行の前に物音がした。
「誰かいるんですか?」
隼が薙刀を構える。邪な考えを持っている者は、薙刀の柄でぶっ飛ばすつもりであった。
霧島 春美(きりしま・はるみ)が
パートナーのジャッカロープの獣人ディオネア・マスキプラ(でぃおねあ・ますきぷら)をなだめているところだった。
「ボクのチョコとられたー。絶対取り戻してやるーっ!!
えっ みんなもとられたの?
じゃあチョコの山がどこかにあるってことじゃない?
わーい、探してさ、全部もらっちゃおうよっ!!
でさ、食べきれなくて余ったらチョコでお家たてちゃうの。
わー。ボクなんか、わくわくしてきたよーっ!!」
「そんなのダメよ。持ち主の人がいるんだから」
そう言いつつも、春美は、内心、それも面白そうかも、と考えていた。
そこへさらに、チョコの箱を開けて食べてる者達が通りかかる。
霧雨 透乃(きりさめ・とうの)とパートナーのシャンバラ人霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)が、
トレジャーセンスで片っ端からチョコを発見しては食いまくっていた。
「うーん、おいしー。チョコばっかりでくどくなるから、
飲み物も用意しといて正解だったよねー。
あ、このお星様の包装紙のチョコは高級品かも!
口どけなめらかでとっても美味しいよー。
珍しいブランドだね。
空京のデパートで買ったのかな」
「透乃ちゃん、よくそんなに食べられるな……。
私はそろそろ限界だ」
泰宏もチョコレートは好きなので、この話に乗ったのだが、
やはり、超食欲が旺盛で、食べた分はすべて、
背と胸と見た目でわからない筋肉にいっている透乃にはかなわない。
長身で胸が大きい透乃にとって、おなかいっぱいごはんをたべることは超重要なのである。
「何をしているんですか!」
「あっ、みつかっちゃった!?」
「まずい、ディフェンスシフトだ!」
隼が薙刀を振りかぶり、泰宏がとっさに身構えるが。
「悪の栄えたためしはありません!」
「ちょ、チョコざいなー! なーんて!」
「そんなこと言ってる場合かー!?」
隼の攻撃により、透乃と泰宏はお星様になった。
「ここのコメディ時空の法則では、レベル差もあまり関係ないのですね。勉強になりましたわ」
かなたがつぶやく。
「あーらら。えーっと、やっぱり、人のものを勝手に食べちゃうなんてよくないですよねー」
「うん、ボクも急にそう思ってきたよーっ。一緒に探して余ったのをもらおうよー!」
春美とディオネアが言う。
「私はチョコより友達がほしいと思ってたんですよね。
ワレンティヌスちゃんと友達になっちゃうのもありかな?」
「うん、ララたちと一緒にさがそうよ!」
「んっふっふ〜、決まりだね!」
春美の言葉に、ララと波音が口々に答え、
春美とディオネアも、チョコレート回収に加わることになったのであった。
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