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ぼくらの栽培記録。

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ぼくらの栽培記録。
ぼくらの栽培記録。 ぼくらの栽培記録。

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2日目


2日目)朝8時:くもり  担当 遠鳴 真希とケテル・マルクト


真希だよっ!

朝来たら、もうみんなにょきにょき伸びて、大きくなっていたよっ!

めちゃめちゃびっくりした。成長が早いね。

100センチくらい……かなぁ? もっとちっちゃい?

頭の方に小さな蕾みたいなのがあって、ここが大きくなって花を咲かせるんだよね、きっと。

ちょっと不思議〜

一号、二号、三号、四号、五号。

どれもみんな元気に育って、綺麗な花を咲かせてくれると良いんだけど……でもなんだか二号の様子がおかしいよ?

元気が無いって言うか、他の子たちに比べて具合が悪そう。

良くなるといいなぁ……


ケテルですぅ。

二号の状態が芳しくありません。茎が力無く、細くて、よれっとしていました。

今にも倒れそうですぅ……



「あの辺に落ちてる木を挿して、添木にしようよ」
「それがいいですわ」
 静音とフィリスが、出来るだけまっすぐ伸びた枝木を拾って、二号の鉢に挿した。
 紐で優しく縛り、力のない茎を支える。
「お水あげたら元気になるかな?」
「そう信じて、お水をあげましょうか」
「あたし! 栄養ドリンク持ってきたんだけど……」
 横で見ていたネージュが手にしている栄養ドリンク。
 なんだか強烈すぎて、与えた瞬間に生気の弱い二号は萎れてしまいそうだ。
「成長促成剤を使用して強引に育ててるから、栄養分が不足してるんじゃないかと思うんだよね」
「与えたことによる栄養過多、オーバードーズによるリスクも考えなきゃあきまへんなぁ」
「あぁ、そっかぁ……」
 瑠璃羽の助言にネージュは素直に頷いた。
「でもやっぱり元気ないねぇ、二号〜…」
 プレナが心配そうな声を出す。
「大丈夫っすよ! なんてったってあの管理人さんが持ってくる花っすよ? 並大抵の生命力じゃありませんっすよ!」
 緑香が暗くなる空気を払拭しようと努める。
「そう…そうだよね! ありがとうポロロッカちゃん。まだプレナの持ってきた物はあげられないけど……とりあえずお水を飲んで、大きくなって」
「だけど他の植物達は大きくなったねぇ。どんな花が咲くのか楽しみですぅ」
 明日香は葉を触りながら微笑んだ。
「この先端の蕾から、花が咲くのでしょうか? 明日にはもしかして!」
 ノルニルが期待に胸を膨らませる。
「明日かぁ〜楽しみですねぇ、ノルンちゃん〜」
「はい!」


2日目)10時:天気 快晴(歪んだ晴れマークのようなものが書いてある) 担当 リリィ・クロウ


温室に入る前に、何事か騒いでる声が聞こえたので行って見ると……ぽちさんが、ケルベロス君に食べられている所でしたわ。

噛まれてはいないようだったので、あれはケルベロス君の愛情表現なのかもしれません。

でもエリスさん、壹與比売さんの二人が必死になって口をこじあけている姿は愉快でしたわ。

…あっ、そんなこと思ってはダメですわね。いけない、いけない。

でもティアさんがそれを見ながら満面の笑みを浮かべていたのはなぜかしら?

口から吐き出たぽちさんは唾液まみれで、まるで生れ落ちた赤ん坊のようでした。

その瞬間の擬音をつけるなら……どべしゃっ!って感じ?

まぁそんなものを横目で見ながら温室に入ったんですが、中では不思議なことが起こっていました。



 剛太郎は視線で突き破ってみせるくらいの勢いで、一人の女の子のスカートをじっと見つめていた。
「なぁ…もしかしてあの人……下着つけてなかったりするでありますか?」
「あの人って…ケテル様ですか? えぇ? そんなわけないでしょう?」
 コーディリアは笑った。
「いや、絶対そうでありますよ。自分はどうしたら……」
「どうしたらって…どうすることでもないでしょう? 仕方ありませんね。じゃあ聞いてきますよ」
 談笑している真希とケテルの元へ、コーディリアは歩み寄っていった。
 二言、三言、言葉を交わし……そして戻ってくると──
「……いつから見てたんですか?」
 般若の面で、剛太郎を問い詰めた。
「え? ええ?」
「い・つ・か・ら、見ていたのか聞いてんですよ!」
「え、ええ!? ってもしかして……」
 剛太郎は真っ赤になって、口元を押さえる。
「……最低ですね」
「あ、ちょ……自分のせいじゃないだろう!?」
「じゃ見なきゃいいじゃないですか!」
「見えるんだから仕方ないだろ!」
「最低ですね……」


二人の言い合いが、しばらくずっと続いていました。

ケテルさんて……もしかしてパンツはいてないの?



2日目)11時:天気 晴れ  担当 神楽坂 翡翠とレイス・アデレイド


タネ子さんの所に行こうと、温室の奥に入っていった悠さん達は何故かすぐに引き帰してきました。

その時確かミィルさんに「めんどくせえから全部やっとけ!」と悠さんはパシリのように言っていました。

温室のどこかから珍しい果物を持ってきて、おいしそうに、しゃぐしゃぐかじっていたのを覚えています。

果汁が滴って、あまりにも美味しそうに見えて、こちらまで羨ましく思った程です。

が。

突然、悠さんは奇声をあげると、たらこのように膨れた唇と抑えて、奥から飛び出してきました。

そしてあっという間に温室の外へ──

後に残されたミィルさんは、しばらく呆然としていましたが、急にお腹を抱えて笑い出しかと思うと涙を流しながら彼を追いかけて行きました。

とっても嬉しそうでした。「日ごろの報いだ〜」と、叫んでいました。

レイスと一緒にその様子を見ていたのですが、人の唇があんなに腫れる所を初めて見ました。

オカルトです。


翡翠から交代して俺、レイスが書いてる。

悠の唇が膨れあがっていた。一体アイツは何を食ったんだ? …っていうか治るのか?

温室はヤバそうな果物がたくさんあるから、無闇に手を出すのは危険だな。



2日目)12時:天気 晴れ  担当 七瀬 歩


球根が不格好なのは全く気にならなくなったよ、土にもぐっちゃえば分からないし。

それに、奇麗なちょうちょだって、幼虫の時は可愛くない模様してる子多いし。それと同じなんじゃないかな。

ちゃんとお世話してたから、昨日、球根を植えた場所から芽が出て、それから──

ホントに育つの速くてびっくり。

明日あさってにはあたしたちより大きくなってそう。皆それぞれ可愛がってるし嬉しそうだし……

あたしも嬉しくなりました。



「…ま〜る。……さってと!」
 歩はペンを持ち返ると、日誌に絵を描き始めた。
 成長してる植物を皆が注目してる様子を。
「色鉛筆が欲し……管理人さんスゴイ!」
 日誌記録用に用意された机の中には、たくさんの筆記具が入っていた。
「やっぱり緑は必需品! 色彩い〜っぱい☆」