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ぼくらの栽培記録。

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ぼくらの栽培記録。
ぼくらの栽培記録。 ぼくらの栽培記録。

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3日目)13時:どんより  担当 牛皮消 アルコリア ナコト・オールドワン 樂紗坂 眞綾


人の顔面のような器官が形成される。

人間の口と同じ部分から食物を摂取する。

犬、猫などの小動物にとって、人間の食物は糖分塩分などの分量が体積に対して多すぎて毒になるが、この植物に関してはその点は心配無さそうだ。(アルコリア)


はっきり言って、わたくしに載っている邪神や生物に似たのいますわよ!?

外宇宙の邪神や有害生物の類にしか見えないでしょうっ!?

なんですか、あのリアルマッチョみたいな顔は?? (ナコト)


おかおがつきました〜

ちょっとこわいんだよ あれれ きらきらしてないよ

あぁでもあたまはぴかぴかしてるねぇ〜 すごいなぁ〜 まあや



「トマトジュースを与えてみるよ。植物に植物のジュースを与えるとどうなるかな?」
 静音は含み笑いをした。
 フィリスはそれを横目で睨んだ。
「私の秘蔵トマトジュースが……」
「ちょ、ちょっとだけだから」
 静音はそれを四号に飲ませてみた。
 唇の端から伝い落ちるトマトジュースが、まるで血のようだ。
「うむ。美味いな」
 かぱっと口を開けてケタケタ笑う四号。
 歯の無い、トマトで真っ赤な口の中が、まるでボコボコに殴られた後のようで……ホラーだ。
「わたくしのジュースですよ? 味わって飲んでくださいませ」
「分かったよ、おらおら、もっとくれ〜」
 かぱかぱ口を開ける。
 面白い。

「虫……食うかな?」
「え?」
 悠の言葉にミィルが固まる。
「冗談、だよね?」
「あぁ? オレが冗談を言うように見えるか?」
 悠は近くの土をざくざくと掘り返し、そして見つけた。カブト虫の幼虫のような……
「おい、食え」
 口元に持っていくと。二号以外の植物達が発狂した。
「ふざけんなこらー! そんなのが食えるかー!!」
「……そりゃそうでしょう」
 ミィルが心底呆れたという風に溜息をつく。
「じゃあこっちはどうだ?」
 袋の中に入っている生肉を見せる。植物達は鼻をひくつかせ──
「手を洗ってからよこせ。昆虫触った手で触んじゃねぇぞ。そしたら食ってみる」
 相変わらず上から目線で物を言う。
 手を洗いに行くがもめんどくさかった悠は、ミィルに任せて与えてみることにした。
「……口の中が…もっかもっか…するな。喉に絡みつく。でも、これはこれで中々…」
 満更でもなさそうに、口を動かし続ける。
「次はこっちも食べてくれるかなぁ?」
 プレナは、管理人が用意していたであろう急須と湯呑みを使って、お茶を入れた。
 そして。
「この梅干にお茶は合いますよぉ〜♪ 大粒でシソの風味が強く、塩分控えめで爽やかな味の梅干 梅干は体にとてもいいですよぉ〜。梅干はすっぱくてお口には合わないかもしれないけれど、お薬だと思って食べて下さいねぇ〜 もちろん、プレナ達も味見しちゃいますからねぇ♪」
 そう言うと、プレナは一緒にやって来た波音達の前にも差し出した。
「はのんちゃんもアンナちゃんも、プレナのオススメ梅干をぜひ!」
 一粒口の中に入れて、波音は顔をすぼめる。
「すっぱ〜〜い、…でも美味しい!」
「プレナさん、梅干なんか食べさせちゃすっぱさで干からびちゃうっすよ? お口直しに特製ギャザリングへクスドリンクをどうぞっす!」
 緑香が満面の笑みを浮かべる。
「え……それ、この子達にあげるの?」
「はい」
「そ、そっか…でもこれあげてからね? ちょっと待ってて」
 梅干を一粒づつ、植物達の口の中に入れると──涙を流しながらもだえ始めた。
「ななあなんだこれ、なんだこれ!?」
「すっぱすっぱ」
「しゅぶしゅぶ」
 意味不明な言葉を吐き出しながらも、お茶を飲み飲み……、だが次第に酸っぱさに慣れてきたのか、ぷへっと種を吐き出すと。
「もう一個」
 催促をした。
「…あ、そのドリンクはなんか変な臭いがする。お前らで飲め」
 四号が冷たく言い放った。
 なんて目敏い……
 みんな慌てて緑香から視線を反らした。
「それではこちらもどうぞ?」
 アンナが、持ってきた桜餅を前に出した。
 生地を作ったり、アンコの味付けをしてもらうのは波音にはまだ早い──多分失敗すると思ったので、アンコの小豆を煮た後に潰して貰ったり、生地にアンコを包むのを手伝って貰った。
 道明寺の桜餅はもち米を蒸かして干して粗めに挽いた生地を使ってアンコを大福のように包み、長命寺の桜餅は小麦粉にもち米の粉を混ぜて、うす焼きにした生地を使ってアンコを巻いて包んだ。
「波音ちゃん、一生懸命作ったんですよ」
「えへへ♪ 折角作るんだから、多めに作っていってプレナお姉ちゃん達と一緒に桜餅一緒に食べたいなって思ったんだ」
「わぁ、ありがとう。すっごく美味しそう!」
「えっと、えっと……はい、プレナお姉ちゃん。あ〜ん」
「あ……う、うん」
 波音の思いがけない行動にちょっと照れくさそうしながら、プレナは形の良い唇を広げる。
 はむ。
「……おぉいしい!!!」
「よかったぁ!」
「──おい! こっちにも早くよこせ!」
 植物達が身体を揺らした。


3日目)15時:雨  担当 清良川 エリス ティア・イエーガー 邪馬壹之 壹與比売 清良川 穂須勢理之空佐知毘古


突然日記帳をティアに奪われたんどす……

日記帳はケルベロス君の懐に置いてはりました。

中々返してくれはらんで結局何時もと同じ目に……うう。ううう……。

……ケルベロス君も何もあないな事までしなくても……


植物の栄養にはやはり動物の小なアレが一番ですわね。

ケルベロス君のを使ってみる事にしましょう。ビンを用意して早速自分で取りに行く事にしますわ。



「な、なんどすかー!な、ななな、なんて事しはりますのっ! 消えへん、消しゴムで消えへんっ! うう、うちは日記係りどす、他の係りやあらしまへんっ!」
 エリスは、ティアの文字を消そうと悪戦苦闘する。


本日をもって清良川エリスはケルベロス君のお嫁さんになりました。

エリスも尻尾を振って大喜びでしたわね。



「てぃ、てぃあーっ!! 小学生どすかーっ!!」
「この日記に未来の出来事を書きました。書いてあることは本当に起こらないといけないんですわ」
「へ? えぇええええええ? いやどす〜〜〜」
 ティアがエリスを脅している横で。
 壹與比売は真剣にノートに絵を書き込んでいた。絵心は無い様子で、下手だったが……
「ふぅ……今回も上手く出来ましたでございます」
 額の汗を拭って、顔をあげた瞬間。


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 汚れた足でベタベタ。
 またしても穂須勢理之空佐知毘古にやられた。描いた絵は全て足跡に──
「ひぃいいいぃい!」
 壹與比売は奇声を上げた。


3日目)17時:雨  担当 アリア・セレスティ


綺麗な花が咲くなら蒼空学園の花壇にも……って思っていた数日前の私に轟雷閃を放ちたい……

顔はありえないわ。

顔はダメよ。

目の保養にヴァーナーちゃんを見よう。可愛いは正義ね!



「──はじめはちょっと驚いちゃいましたが、七色のお花がさくってステキです! ごはんも7色のよういするです! イイ子にそだつです!」
 ヴァーナーはカバンを開けて、中からがさがさと色んな物を取り出した。
「紫は葡萄、青はブルーベリー、緑はメロン、黄はバナナ。そして橙はオレンジ、赤はイチゴ、で白はホワイトチョコ! これできっと甘いイイにおいのするお花になるです♪」
 ヴァーナーはにこにこと植物たちに微笑みかけた。笑顔という愛情を注いでいる。
「虹……一号ちゃん、二号ちゃん、三号ちゃん、四号ちゃん! はぐはぐ〜」
 ぎゅっと優しくヴァーナーは植物達を抱きしめた。
(…ちゅ〜はちょっと…やめておくです♪)
「お、おい……や、やめろよ。みんなが見てるじゃねえかよ…!」
 ヴァーナーに抱きしめられて、嬉しいくせにぶっきらぼうな態度を取る連中だった。


早速みんなエサ……じゃないや肥料を与えている。

与えた肥料と水分のリストは作っておこうかな。……ニーズはないだろうけど。

欲しがるとしたらイルミンぐらいかなぁ? イルミンといえば佐倉さんって、もしかして着けてない?

あ、あれ? 穿いてもいない!? イ、イルミンではアレが流行ってるのかしら……

本当に7色の花が咲くのかな……不安になってきたわ。

そう言えば……百合園のお嬢様の中にどりーむちゃんを見かけた。

彼女普段は食べる側みたいだけど──以前私も食べられ…、こ、今回は何を与えたのかしら?

見てなかったわ。残念。