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リアクション
卒業式は結局仕切り直しということで、リハーサル自体からやり直すことになった。
葉月 ショウ(はづき・しょう)が
「学園で爆破テロとか、全く、やめてくれ。片づけがめん…じゃなかった。卒業式を台無しにしないでくれ」
といいながらも、警備にあたっている。
卒業式は仮設ではあるが、雨天決行できるタイプのドーム型特設ステージが作られ、卒業生を送り出すための、ある意味、お祭りでもあった。そのため、チアリーディングなどや、在校生からの歌、出し物も用意されている。
宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)は悩んでいた。
(私がパジャマパーティをやろうなんて言わなければ、真珠も疑われることがなかったのに…)
自責の念でいっぱいの祥子。そこで行動を起こすことにした。
「赫夜!」
「祥子さん、どうしたんだ」
「私のせいで、真珠が疑われることになってしまって、ごめんなさい」
「祥子さんのせいではないよ」
「いいえ、それでは私の気が晴れない。仲良くなるきっかけになればと思ったんだけどね。結果的に真珠には悪いことしちゃった。だからこそ、そんなきっかけを生んだ私に変な疑いを晴らす契機を作らせて欲しいの、ぜひ、今からでも真珠の警護をして、私が真珠を守りたいの」
「…祥子さん」
赫夜は鴉の濡れ羽のような黒髪をし、優しげな風貌をした祥子の必死さをしかと感じ取った。
「…判った。真珠を、『守って』やってほしい」
「いいの?」
「ただ、祥子さん。あなたの身に危険が迫るときは自分の身を優先して欲しい」
「そんなことはできないわ、私もシャンバラ教導団の一員よ」
「それでは承諾できない」
妙に頑として譲らない赫夜に祥子は気圧されたが、
「…判ったわ」
「約束してくれ」
「約束する」
とは言え、祥子は真珠に何か合った場合、身を挺しても守るつもりだった。
☆ ☆ ☆
クウィーン・ヴァンガードの水無月 睡蓮(みなづき・すいれん)と鉄 九頭切丸(くろがね・くずきりまる)は、校長室にいるミルザムの護衛に当たっていた。
ミルザム誘拐の企ては防げたが、誰が狙っているかも判らない。
「自分の危険を顧みず、誰かのために何かをする事が出来るっていうのは素敵なことだと思います。女王候補だから、とかそういうことではなくて……ミルザム様がそうやって皆に尽くすのであれば、クイーンヴァンガードも、そのお手伝いをしないとですよねっ」
睡蓮はそう、心に誓った。
九条 風天(くじょう・ふうてん)は、天幕の裏ライトの足場辺りで待機していた。
(赫夜さん最近何かおかしい気がしますね…妹さんが疑われていると聞きましたが……せっかくですから、疑いを晴らすためテロリストを捕まえるとしましょう。ボク個人としては女王候補とかどうでも良いのですが友を傷つけられて黙っていはいられない)
一方、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)とコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)は赫夜にネラの退治を一緒にして貰えるよう、願いでていた。
「一緒にアッサシーナ・ネラを止めてほしいの!」
「…」
「僕も、みんなの力になりたい」
コハクもせいいっぱいの気持ちを表現し、赫夜に伝えようとする。
言いよどむ赫夜の側にやってきた邦彦も同様のことを申し出た。
「あんたは一度ネラに負けている。どんな事情があるか知らないが、自分の確執の決着は自分で着けた方が良いだろう?」
(邦彦ったら、赫夜が勝利すれば良し、駄目でもネラを消耗させられそこを追撃。…えげつないわね…でも、確かに赫夜がどう動くか、それも関心が高いわ。なにより、邦彦は赫夜の心の確執に気がついていて、ネラとの対決をお膳立てしようとしている…なんだかんだいって、お人好しなのよね…そういうところが、いいんだけど)
邦彦の背後で無表情に立っているネルだったが、内心では色々思考を巡らせていた。
「判った。ではネラが現れた際には、私もお手伝いしよう」
赫夜はそう、言い切った。
☆ ☆ ☆
ガッシュ・エルフィード(がっしゅ・えるふぃーど)は不審物がないか、確認して回った。
「こわいものは苦手なんだけどな…」
広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)もガッシュと手分けして、不審物探しに奔走する。
「真珠ちゃんの疑いを晴らすためには、テロリストを捕まえて正体を暴くのが一番だと思うですっ! 卒業式の裏方を志願して、飾り作りや配置をしながら、準備をしている人を観察して怪しい行動をしている人がいないか注意するですっ! 卒業式でも、直接参加せずに裏方に回ってあちこち回りながら怪しい人をさがして、疑われているテロリストさんの姿を見つけたら、みんなで捕まえるですっ!」
ウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)は
「ボクは準備する人の観察や、卒業式式場内で仕掛けがないか確認をするよ。ファイだと怪しい人を見分けたり、仕掛けの巧みさを見分けるのは難しいと思うからね…」
広瀬 刹那(ひろせ・せつな)は
「では私は、ソルジャーの知識を総動員して、怪しい所が無いかチェックするね」
そんな四人の前に、黒い影が現れた。
「な、何者です!?」
「……私は十二星華の一人、乙女座の名をもつ者」
ゲイルスリッターの装束でプリムラ・ヘリオトロープ(ぷりむら・へりおとろーぷ)が姿を見せる。
一瞬、殺気だつ面々。
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