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ヒラニプラ南部戦記(最終回)

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ヒラニプラ南部戦記(最終回)

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Epilogue-I-

  
 黒羊郷の地上では、教導団の勝ち鬨が上げられていた。
 地下神殿から戻った者から、教祖を討ち果たしたことが告げられたのだ。教導団旗を立てた城砦の上から叫ぶ、ハインリヒ、ケーニッヒ。
「我々、教導団の勝利だ! 第四師団の勝利だ。そして、ノイエ・シュテルンに栄光あれ」
 ここに、ふたご座のご当地十二星華、天津 亜衣(あまつ・あい)天津 麻衣(あまつ・まい)の再会が果たされることになる。
 妹の麻衣。その安堵のあまりに、子どものように泣きじゃくりながら姉に抱きつく。亜衣もしっかりと麻衣を抱きしめて、涙を浮かべた。「これからはずっとそばにいるから……」
 
 黒羊郷で行方不明になっていた騎凛教官についても救出された、と伝えられた。が、彼女はまだ地下の祭壇の間にいた。
 
 
祭壇の間で
 
「まずいな……」
 パートナーの死による後遺症が襲ったものか、セイカは動けないほどの状態に陥っていた。
 あれから、垂のパートナーの朝霧 栞(あさぎり・しおり)、ずっと行動を一緒にしてきた音羽 逢(おとわ・あい)様、そしてハルモニア・ニケ(はるもにあ・にけ)もここを訪れていた。
 セイカの精神がこのままではもたない。
 そのダメージは大きすぎる。破綻を起こしてしまうかもしれない。
「セイカの唯一のパートナーが死んだ」
 セイカにパートナー契約をして、何とか精神を保たせる……
 誰だ、この中でパートナー契約ができるのは……
「……久多」と久多が言った。
 皆が、久多をじっと見る。「違う」「…………だよな」
 逢様は、しばらく離れっぱなしのナナのことを思う。パートナーの死、それがどういうことか。逢様も、ナナのたった一人のパートナーである。そのことを思ってみると、心がつらくなる。
 栞が、ニケに何か話しかける。
 皆が、ニケの方を見る。
「そうだ。ニケ……」
 ニケしかいないが。
「だ、だけど私なんかじゃ……!」
 セイカとは、彼女がまだパラミタを訪れて間もない頃、辺境討伐隊の時代にこの南部で出会っている。昔の戦友である。
「でも、それだけで……自信がない。
 私は騎凛ちゃんのこと、助けてあげられるならいいけど、でもそうできる自信がない……!」