天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

ヒラニプラ南部戦記(最終回)

リアクション公開中!

ヒラニプラ南部戦記(最終回)

リアクション

 
東の谷
 
 東の谷にも、目を向けておこう。
 一つ、南部戦記の間に重大なことが起こっていたわけだが……
「梅琳……」
 橘カオル(たちばな・かおる)は、李梅琳(り・めいりん)に真面目な顔で問いかける。
「引退なんだってな。学校入口」
「そ、それは……!
 ……何を言うかと思えば。私が、この南部戦記にずーっと来てたからでしょ。そんな話だったの?」
「梅琳……
 隠さなくてもいいんだ。もう、学校入口には戻れないってこと」
「うっ、……」
 梅琳は言葉を失い、哀しげな瞳をしてうつむいた。
「梅琳……」
「ん? 何よ。……そう……事実よ。
 もう、戻れないの」
「梅琳……オ、オ、オレと暮らさないか……か、っ……」
「カオル。……うん。
 ……嘘だよ」
「エッ??!」
「私、中尉に昇進して、今度からキャンペーンに行くことになるんだ♪」
「そ、そんなぁ……(梅琳がまた、遠のいていく)……」
「でも、Okしようか。
 さっきの話」
「エッ、エエ?? じゃ、じゃあ……」
「一緒には暮らせないけど……
 カオルのこと守ってあげるわ。そういうのも、いいかも」
「メ、梅琳……! オレ、オレ必ず梅琳のこと……」
  


 
「よかったね、カオル」
「ええ。まったく、いいものですね」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)と、鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)だ。
「ル、ルカルカ……」
「真一郎、さん……?」
「そぉかなぁ。まったく、わからん」
 少しタイミングがずれてバンダロハム傭兵のギズム・ジャト
 それからニコニコしながら可奈が見つめている。
「そっか、そう言えばやっとだね。真一郎。紹介してあげたら?」
「だれ? 真一郎さん、このちょっと危なそうなひと……」
「危な……? うん、同じ仲間のにおいがする。あんたがルカっちだな。
 ギズム・ジャトだ。バンダロハムで教導団の世話になった」
「ギズム……(自分で紹介してるじゃないか……)。俺の、親友です。ルカルカ。
 あ、それで、ギズムこちらが……」
「知ってるぜ」
「ルカルカ・ルーです! よろしくね」
「ルカっちだろ。カナと同じく、タカムラの嫁なんだってな。よろしくだぜ」
「同じく? 真一郎さん、どいうこと? いつ……」
「いや違う、ち、違います。こいつ、ギズムはよく理解してないんだ、いつも……」
「しかし俺やおまえより強そうな嫁ばっかりだなあ、タカムラ」
「だから私は、ヴァルキリーだってば!」「ルカはまだ剣の花嫁にはクラスチェンジしたことないんだからっ!」
 ……
 そして東の谷に、獅子鋼旗が立てられた。「獅子は不滅なり!」
 
 もちろん、獅子のみでなく東の谷で戦った皆が集まり、テング山の上で戦勝の宴会が開かれることとなった。
 
 
 
ハルモニア
 
 それから最後に、ハルモニア。
 ハルモニアから黒羊郷へ進攻した面々は、待っている仲間もいるし、共に戦ってくれたヴァルキリーや、獣人たちとの別れの挨拶もある。そうしてハルモニアへ一旦戻ることとなった。黒羊郷で一度合流した教導団の人たちに事情は告げてある。
 本営等では、暑い季節のやってくるなか復興やとりわけ、戦後処理に大忙しになる、とのことだったが、ここハルモニアは……
 夏でも涼しい。
「そうですか、もう夏になっていたのですね」
 ナナが、ハルモニアに帰ってきた皆を、出迎えた。様とも、ようやく再会することができた。
「皆様。宴のご準備、できていますよ」
 城砦から、ハルモニアの夜の景色を見ながら……
 
 ユウメンバーズは……お月見酒。
 三厳は、お酒に酔ったふりで今夜はユウに積極的に近寄ってみる。
 が、そこへ……酔いまくり、暴走しずぎ、のルゥが飛び込んできた。「ああっ。なんでだよぅ! ボクだってちょっとくらいユウに……いいじゃないかぁ!」「行きますよっ、みっちゃん!」「ど、どこいくのーっ」
「ふふ」
 そして今夜のユウの隣は……
 今回ユウメンバーズのなかではいちばんの功労者、ルミナが独占し、身を任せています。……今回最後には、いちばん報われた? よかったね、ルミナさん。「!」「きゃぁぁー」「行きますよ、みっちゃん!」酔いすぎ、暴走しまくりのルゥと引っ張りまわされて涙目すぐる三厳みっちゃんが迫って来る。
「今夜くらい、今夜くらい……うぁぁん」「きゃぁぁー」「行きますよ、みっちゃん!!」
「皆様に、天の月のご加護がありますように」
 
「はふー、良い汗かいたですっ」
 桐生ひな(きりゅう・ひな)。団子のなかから誕生した。
「きゃ、きゃー。せしせしも、やせましたねーっ。
 づばーんダイエット、成功ですね」
 ナリュキは、やっと病床より立ち直りつつあった御凪に団子をご馳走する。
「ってこ、これなんの団子です、か……う、胃が…………」

 月島悠(つきしま・ゆう)は、今は自室で静かに飲んでいた(ジュース)。ぶちぬこはぶちぬこ隊の皆と久々のまくら投げ……
 ネルは義勇軍の獣人の皆を見送りに行っているし……は、魔神化の負担が大きかったため、すぐ脇のベッドですうすぅと眠り込んでいるところ。


 無事(?)花嫁修業を終えた張飛(ちょう・ひ)は、黒羊郷の祭壇で式を挙げる準備万端、いつまでも悠のことを待っているのであった。「だが来ない……」

 黒羊郷。
 そして、祭壇の上には……
「ウワアアアアアアア!!」
 赤と緑のツートンカラーの新しい邪教の神像がそびえ立っていた。
「ヒィーハァ! ギャハハハハハッ!
 
 ……あー今日も疲れた」(ナガン