天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回)

リアクション公開中!

【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回)
【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回) 【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回) 【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回) 【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回)

リアクション


■エンディング

「やあ、待たせてすまない」
 上将軍位に復職し、紫紺色の甲冑を着たセテカが現れた。
 結局のところ、離反も反乱もバァルの了承の上だったわけで。反乱軍によって救われた町や村から嘆願書が何通も届いたこともあり――もちろん権威あるタイフォン家の跡継ぎということも大いに威力を発揮し――彼は、以前と変わらない地位を取り戻していた。
「もういいんですか?」
 ソファから立ち上がる、救出部隊の面々。今度の作戦に参加した者たちは、全員その後のことを知りたがった。そしてその中から代表として、彼らが会いにきたのだ。
 彼らはソファを回り込むと、セテカの前に立った。
「まだ式の途中では?」
「バァルの布告が終われば、あとはうっとうしいじいさんたちの長々した説教だ。俺はあんなの聞いているのはごめんだからな。バァルと違って抜け出すことができてラッキーだよ」
 ああせいせいした、と言わんばかりの姿にくすくすと笑いがもれた。
 と、セテカの背がすっと正され、手が差し出される。
「きみたちにはいろいろと助けてもらった。あらためて礼を言わせてほしい。ありがとう」
 1人ひとりと握手をかわし、セテカは心からの感謝を告げた。
「そんなこと……いいんです」
「それより、バァルは? エリヤはどうなんだ」
「エリヤは小康状態を保っている。今日明日ということはないだろう。なんなら会っていくといい。俺とバァルはこれから留守にするから、相手をしてもらえるとこっちも助かる」
「ほんとですか? わぁ……行こ、む〜にゃ」
 ミシェルが猫を抱いて、ぱたぱた走って行こうとして、ふと何かに気づいたように入り口で足を止めた。
「あ、そーだ。麻羅さんも行こうよ」
 振り返り、手を伸ばす。
「わしがか?」
「うん。ね? 一緒に行こ?」
「まいったのう。わしはべつに、子どもというわけではないのじゃが」
 と言いながらも、麻羅は満更でもない様子でミシェルと連れ立って部屋を出て行く。
 2人の足音が消え去るのを待って、セテカはレンや佑一、ルカルカたちに向き直った。
「――もって2カ月だそうだ。おそらくは今の状態も、そう長くは続かないだろうが……その間に、2人とも受け入れる心の準備ができるだろう」
「そうですか…」
 それは、人の力ではどうにもできない、定められたこと。死は、だれもが受け止めるべき自然のことわり。
 エリヤにとっては兄とすごす穏やかな時間が救いとなるだろう。だがバァルは?
 全てを投げ打って弟の命を救おうとした彼の姿は、だれの記憶にも生々しかった。
 彼を救うのは、まだまだこれからかもしれない。あるいは、ネルガルを倒し、カナンが再生を果たしたとき、彼は一定の心の安らぎと救いを得られるのかもしれない…。
「じゃあ悪いが、俺もこれで失礼する。式が終わればすぐ出発だ。それまでに準備を整えなければいけないんでね」
 きみたちはゆっくりしていってくれて構わない、とことわって、ドアへと向かう。
「どちらへ行かれるんですか?」
「南カナンへ」
 セテカはニヤリと笑った。

担当マスターより

▼担当マスター

寺岡 志乃

▼マスターコメント

 こんにちは、またははじめまして、寺岡です。

 「【カナン再生記】擾乱のトリーズン」が終了しました。
 初めての全3回、長編をさせていただきました。書き上げた今、無事終わらせることができて、ほっとしています。

 今回の執筆中、わたしの一番愛した存在が死にました。
 こちらでも以前、少しだけ書かせていただきましたが、あの猫です。
 最後の2日間、彼の好きな場所で、敷物を広げて、並んでひなたぼっこをしてすごしました。

 17年間、毎日一緒にすごしてきた愛すべき存在が、傍らから永遠にいなくなってしまいました。
 今もつらい。喪失感でたまらなくなります。
 でも、死は受け止め、受け入れるべきものなのだと、思います。そうすればいつかつらさは消えて、いい思い出だけが残る。
 そう信じています。

 
 さて。
 それでアクションについてなのですが。
 みごとに人員がアバドンの隊の攻撃に集中しました。
 それと対照的に、ネルガルの隊を攻撃する人が少なく、足止めすることができませんでした。
 その結果として、援護部隊がかなり苦境に立たされることになりました。
 突入のためだと思うのですが地上戦の武装が多く、ワイバーンとの空中戦用の武装やスキルがほぼない状態だったためですね。バァルについてきた人たちも加わっての、一番の激戦区となりました。
 また、救出部隊ですが、10名を超えていました。そのため、掲示板で表明してくださらなかった方たちについては、きつめに判定させていただきました。
 次回から気をつけてくださいね。

 そしてついに、東カナンをメインにしたストーリーも、残すところあと1回となりました。
 次回、番外編のガイドを28日に出させていただく予定です。よかったらもう少し、バァルやセテカ、東カナンにお付き合いください。


 それでは、ここまでご読了いただきまして、ありがとうございました。
 次回「【カナン再生記】東カナンへ行こう!」でもお会いできたらとてもうれしいです。
 もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいなぁ、と思います。

 それでは。また。


※3/26 一部文字を修正・訂正させていただきました。