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ようこそ! リンド・ユング・フートへ 3

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■エンディング

「はい、スウィップちゃん」

 不安がるスウィップに、火村 加夜(ひむら・かや)がリストラを終えた『マッチ売りの少女』の本を手渡した。

「きっと氷の検閲官さんも、満足してくれると思うわ」
 スウィップは差し出された本と加夜の間で何度も目を往復させ、本を受け取る。

「あのー、スウィップ」
 ためらいがちに前へ出てきたのは、御神楽 陽太(みかぐら・ようた)だった。
「実は――」
 と、彼はリストラ中に見た、不思議な青い人型の影について報告をする。
 それを聞いて、スウィップは瞬時に顔を強張らせた。
「もしかして、見間違いかもしれないけど…」
 最後、そう付け足そうとした陽太は、スウィップのただならぬ表情を見て言葉を止めた。


「まさか、それって…」
 ――ううん。そんなはずない。そんなはず…。

 スウィップは打ち消すように首を振ると、にっこり満面の笑みを浮かべた。


「みんな、ありがとう! あたし、彼にこれ見せてくるねっ!」


「あっ…」
 大玉付きマントを引きずり、トッテケテーっといつものようにどこかへ走り去ってしまうスウィップ。
 一瞬で、リストレイターたちの中にあった達成感は霧のように消えてしまった。

 かわりにこみ上げてくる不安感。
 さっきスウィップの見せた、あの表情の意味は一体…?




「なあ。ところで俺たち、今回もスウィップが思い出すまで現実に帰れないの?」

 ……はっ。

「ええっ!? そういうこともあるの? このリストレ!!」
「マジかよ。ウッカリすぎるだろ、あの魔女っ子!」
「ちょ、戻ってこいってスウィップ!!」
「うっそーーー!?」
「だれか追いかけて連れ戻してよーーーっ!!」


 パニックを起こして口々に叫ぶ者たちを尻目に。

「あの、ちょっとだけでいいんです。スウィップちゃんが戻られるまででかまいませんから、あなたを読ませてくれませんか?」

 飛びかう本に交渉を持ちかけるつわものも、やっぱりいたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

寺岡 志乃

▼マスターコメント

「……くっそー!! どうしてこんな結末になるのよ!! あんたたち、あたしのことなんか全っ然頭になかったでしょー!!
 もうこうなったら、あたしの手で犯人挙げてやるんだから!! そして筆頭司書どころか、副館長に昇進よ!!」


 こんにちは、またははじめまして、寺岡です。

 上の言葉は、わたしがガイドを出したときに考えていた予想結末でした。
 スウィップはどうせ死ぬわけじゃなし、やっぱり凍死する少女の方が深刻で、みんな少女を救うことに走るだろう、と。

 そんなわたしの予想を覆す、はるかにすばらしいアクションが集まりました!
 毎回わたしの想像の斜め上をいくアクションが集まるのですが、今回はその中でもとびきりだったと思います。

 スウィップを苦境から助け、さらに少女の魂までも救うラストに持っていくとは。

 まさしく「どちらか片方なんて選択肢はない! 俺たちはどちらの手も離さない! 2人とも救ってみせる!」というヒーローそのものだと思いました。

 今回ほど、書いていてうれしかったシナリオはなかったです。ご参加いただきました皆さん、ありがとうございました。
 心から感謝です。




 それでは、ここまでご読了いただきまして、ありがとうございました。
 次回「【カナン復興】東カナンへ行こう! 3」でもお会いできたらとてもうれしいです。
 もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいなぁ、と思います。

 それでは。また。