リアクション
エピローグ
人的被害は転んで足を擦りむいたなど軽い怪我だけでほとんどなかった。だが戦闘によって境内はぐちゃぐちゃ。
社などに被害がなかったのは不幸中の幸いだったが、壊れた屋台の残骸や食べ物がそこら中に落ちていた。
そんな状況の境内を見て神主さんは激怒。主犯のアリエティと暴れ回ったもっくんに掃除を命じた。
最初は2人で掃除をするように命じられたが、それはあまりにも大変。
見かねたノアが手伝いを申し出るとみんなも手伝うと言い出して、境内の大掃除が始まった。
「まったく余計なことしやがって……」
もっくんは隣で箒を動かすアリエティを見つめながらポロリと洩らす。
それをあざとく聞いていたアリエティは箒を止めた。
「なんじゃ貴様! そのことについてはもう散々謝ったじゃろう――まったく、心の狭い奴だのぉ、そんなんだからファンもろくに出来んのだ!」
「なっ、なんだとー!」
もっくんとアリエティは睨み合う。
「犬猿……いや、熊猿の仲かな?」
ユーリがそんな二人を見てぽつりとつぶやく。
「喧嘩しちゃダメよ、ふたりとも! 笑顔、笑顔」
そういってもっくんとアリエティにデジカメと笑顔を向けるのは美咲。
カメラを向けられたふたりはぎこちない笑顔を浮かべる。
「気になります」
と、箒を動かしながらルークがひとりごちた。
「なにがですか?」
そんなルークに近遠が聞いた。
「いや、ここに向かっていたイコン部隊を誰が足止めしていたのかと考えていまして……」
「――へっくしゅっ!」
遠く離れた場所にいたガートルードが鼻をすする。
「風邪?」
「あーっ、めんどくせぇ。なんで俺まで掃除しなきゃいけねぇんだ?」
武尊はそういいながらも箒を動かす。
「袖振り合うも他生の縁って奴じゃねーか」
又吉はそういって武尊の背中を叩いた。
「皆さん、ご苦労様」
と、そこへ怒りを収めた神主さんが現れた。
「さっきは怒鳴ってしまってすまなかったね」
「いえいえ、いいんですよ。悪いのは全部このチビ魔女ですから」
もっくんはそういってアリエティを指さした。
「なんじゃと! 暴れまわったのはおまえじゃろう!?」
「まあまあ、喧嘩はやめなさい」
神主さんにそうなだめられ、ふたりは口を閉じる。
そんなふたりを見て神主さんは笑みを浮かべると、今度は視線をみんなへと向けた。
「それよりも皆さん疲れたでしょう。少し休憩なさってはどうかな?」
「それはいい考えだわ」
エルサーラが神主さんの言葉を聞いてすぐさま手を叩いた。
正直、掃除をするのに彼女はもう飽きていた。
そんなエルサーラは小首をかしげて何かを考える。
「そうね。せっかくのお正月だし、私が貴方たちに本物の甘酒をご馳走してあげるわ――エース、すぐに用意しなさい」
「かしこまりました、お嬢様」
エースは笑顔でそれに応える。みんなも休憩出来ると聞いて少しだけ顔を明るくさせた。
「あ、ああっ、甘酒ぇっ!?」
だがもっくんだけは青い顔をして手にした箒を地面へ落とした。
そして体をブルブル震わせると、どこかへ向かって走り出す。
「もう甘酒はこりごりだぁ〜ッ!?」
そんなもっくんの叫び声とみんなの笑い声が、空京神社にこだまする。
みんなで笑っていられるということは、どうやら今年も良い1年になりそうだ。
FIN
どうもこんにちは。斉藤言成です。今回は「飲みすぎにはご用心!?」にご参加ありがとうございました。
ジャンルはバトルとなっておりましたが、皆さんのアクションから少しギャグ寄りのバトルリアクションとさせていただきました。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
今後ももっくんとアリエティのコンビが登場することがあるかもしれませんので、その時はまた皆さんのお力を貸していただければと思います。
それではまた皆さんにお会いできる時を楽しみにしています。