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リアクション
「巨大ゆる族頂上決戦……!」
そんなドタバタ劇を逃げずに地上から見ていた橘 美咲(たちばな・みさき)はごくりと喉を鳴らした。
彼女の頭の中では昔の怪獣映画のワンシーンが再生されている。
だがみんなの笑顔が大好きな美咲は、現実もちゃんと見ていた。
「でもあのゆる族たちがこのまま暴れ続けたら大変なことになるわ……なんとかしなくっちゃ」
だが美咲は契約者としてまだまだ半端者。ヘタに動けばみんなの邪魔になる。
「どうしよう」
そう考える美咲は自分の首にぶら下がるデジカメに気がついた。
「これだわ!」
美咲はパッと表情を明るくしてデジカメを握り締める。
彼女はこの戦いの一部始終を撮影し、彼らの勇姿を映画として製作会社に持ち込んでマイナスイメージを少なくしようと考えた。
「そうと決まればさっそく撮影開始よ」
美咲はデジカメを構えて撮影を開始。迫力ある映像を撮るためにもっくんたちに接近していく。
するとそこには先に撮影を始めていたプーチンの姿があった。
「みてください巨大です……巨大怪獣です!」
「あれ? あなたも怪獣映画を撮ってるの?」
「んっ?」
美咲の声にプーチンが後ろを振り返る。そしてカメラを持った美咲を見ると驚いて声をあげた。
「ライバルの登場だよ!」
「ライバル? 私はそんなのじゃないんだけど……」
「このスクープはプーちゃんのものなんだよ! 横取りはダメなんだよ!」
「えっと、あんたプーちゃんっていうの? じゃあプーちゃん、私は横取りしようとかそんな気はまったくないわよ?」
美咲はプーチンに自分のやろうとしていることの説明を始めた。
と、いかずちを食らって倒れていたもっくんがむくりと起き上がる。
「おっ、おおっ、おおおおお……」
そして地鳴りのような声を響かせて体を震わせる。
と、次の瞬間。
キュピーンと目を光らせたもっくんは今日一の大声で叫んだ。
「おまえらぁー! どうして寄ってたかって俺の邪魔をしやがるんらぁーッッ!! 俺が何をしたってんだよぉぉぉッッ!!」
もっくんの怒りの雄叫びが強烈な衝撃波となって周囲を襲う。
木々が倒れんばかりにしなり、逃げて遅れていた何人かは強風に押されて地面に倒れた。
と、吹き飛ばされた屋台の屋根がプーチンと美咲の元へ迫る。
飛んでくる屋根に気がついたふたりは抱き合って大声をあげた。
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