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海で楽しむ遊びと仕事

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海で楽しむ遊びと仕事

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 浜辺。

「色々情報が欲しいですが、まずは素材採取をしてからですね」
 御神楽 陽太(みかぐら・ようた)の子孫である御神楽 舞花(みかぐら・まいか)はイルミンスールで悪行を働く正体不明の魔術師との対決準備を手伝っていたが、有用な情報が手に入ると判断し今回参加していた。
「……海に生息する海藻ハーブを手に入れに行きましょう」
 可愛らしいビキニ姿の舞花はウォータブリージングリングを装備して水中での行動を可能にしてからパラミタイルカに乗って海中へ。

 海中。

 舞花は『博識』で素材の生息場所を特定し、『野外活動』によって海中の危険を回避しながら『捜索』によってスムーズに求める海藻ハーブを発見して行った。
「……これだけあれば十分ですね」
 大量に海藻ハーブを採取したところで舞花は陸に帰還し、ヨシノから魚竜の肝使用のレシピとバーベキューの事を知らされ、その際に情報収集に取り掛かろうと考えた。

 浜辺。

「調薬……それは言わば錬金術。胸が躍るが、採取場所はどうするかな。潜るのも延々竿動くの待つのもな……」
 カシス・リリット(かしす・りりっと)は素材採取に加わる事にするも採取場所に考え込んでいた。何せ泳ぐ体力が無いので場所は限られてしまう。
「となればあれだな」
 思いついたカシスは海の家へと道具を借りるために向かった。

 海の家から戻って来たカシスの姿はすっかり採取モードとなっていた。
 頭には麦わら帽子、手には薄いゴム手袋に熊手とバケツを装備し、足元は靴下だけ。
「ちょろちょろと潮干狩りといくか」
 カシスは波打ち際を足の裏で貝の感触を確認しながらという玄人なやり方で素材採取を始めた。
「……」
 足裏の感触だけでなく目視でも捜索をする。貝の呼吸で生まれる小さな水泡、プランクトンが集まっている海藻溜まりなど貝の棲み家になっているような場所を探し回り、ちょろちょろと貝を回収、時々波に運ばれた海藻ハーブも手に入れた。
 この後、カシスはゴーレムの中和剤作製者に出会い力を貸す事に。

「楽しいイベントに誘ってくれてありがとうね」
ゼブラ柄のワイヤービキニ姿の蘇 妲己(そ・だっき)
「待たせた」
 漆黒のワイヤーバンドゥビキニに純白のパーカーを胸元に結んだルーデル・グリュンヴァルト(るーでる・ぐりゅんう゛ぁると)
「アゾート……」
 妲己に腕を掴まれた武崎 幸祐(たけざき・ゆきひろ)
 挨拶をしようとするが
「……一つ聞いていいかな。採取だよね?」
 アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)が言葉を差し込んだ。少々言葉に厳しさが匂う。幸祐の両側に美女を侍らせ遊びかそれ以上の雰囲気を感じたらしい。
「アゾート、何か誤解してないか。採取以外の事はしないつもりだ」
 幸祐は急いで誤解を解こうと口を開く。
「……それならいいだけどね。さぁ、始めようか」
 アゾートは幸祐の様子から誤解だと知り、採取と諜報活動開始。
 ルーデルは砂浜での採取ついでにウララに探りを入れ、幸祐と妲己はアゾートと一緒に浅瀬で採取しヨシノに探りを入れる。この場にいないヒルデガルド・ブリュンヒルデ(ひるでがるど・ぶりゅんひるで)は魚竜狩りに行っている。ちなみに幸祐が海にいるのはアゾートに誘われたからだったりする。

 浅瀬。

「ねぇ、この新作の水着どう?」
 妲己は嬉々としてシルバーのアンダーショーツを見せ付ける様に幸祐にアピールする。
 しかし、
「いいんじゃないか」
 幸祐は視線を地面に向け採取の手を止めずさらりと流す。
「それだけ?」
 妲己は不満そうに聞く。聞きたいのは素っ気ない言葉ではなく褒め言葉。
「それじゃ、それは?」
 せがまれて幸祐はアンダーショーツについて訊ねた。
「あぁ、これね。本当は手入れしてるから無くても大丈夫だけど。あった方がコーディネイトがカワイイし、格好良いでしょ」
 妲己は嬉しそうに話し始めた。なぜなら素っ気ない態度の幸祐が本当は自分の事を良く見ていると分かったから。
「ね、いいでしょ」
「あぁ、そうだな」
 嬉しくなった妲己はさらにアピールをするが幸祐はさらりと流してしまうばかりだった。
 作業がある程度進んだ所でヨシノと接触する事が出来た。

「ヨシノさん」
「採取の進み具合はどう?」
 幸祐と妲己が一番にヨシノに声をかけた。
「おかげさまで順調です」
 ヨシノは穏和な笑みを浮かべつつ答えた。
「本当はこの場で話したいんだけど、長くなりそうだから一段落ついてから話すのでいいかな?」
「えぇ、それで構いませんよ」
 アゾートはヨシノに探りを入れた後に自分達が持つ情報提供しようとするが、ヨシノは全くその事に気付いていなかった。
「ところでレア素材、魚竜の肝などの竜系の素材を使った調合は錬金術でも高等や禁断調合しか使わないのだが、調薬友愛会はそれで何を調合するんですか?」
 『錬金術』を持つ幸祐がレア素材での調薬について問いただした。
「悪い物は作りませんよ。そう言えば、話していませんでしたね」
 ヨシノは笑顔のまま答え、協力者達に話していない事に気付いた。
「そうね。全く聞いていないわね。悪い物でなければ、話せるわよね?」
「えぇ、それはもちろんです。強力な鎮痛剤を作ろうと思いまして」
 妲己に促され話すヨシノの顔から笑顔が消えた。
「誰か心身が重篤な人でもいるの?」
 アゾートが気遣いげに訊ねた。
「……いえ、いたって明るくて元気ですよ。ただ、団体が二つに別れる前から今に至るまで自分の体を実験に使っているせいで何もしていない時も体中が痛いらしく普通の鎮痛剤も最初は効果があったんですが、今では効かないので……」
 ヨシノは溜息と共に少しだけ辛そうな顔で事情を話した。
「根本的な事を解決する事は出来ないの? いくら強力な鎮痛剤を投与しても無駄でしょ。鎮痛は痛みを一時的に痛みを抑える物なんだから」
 妲己が至極当然な事を口にした。
「……その通りですが、難しいですね。蓄積したものもありますし、本人が実験狂なので止めても聞き入れないんです。優秀なんですけどね」
 ヨシノは軽く頭を左右に振った。
「まるで魔法中毒者だね」
 アゾートがぼそりと感想を洩らした。
「……そうですね。魔法を追求する彼らのように自分達も調薬を追求しようと最初は創設されたんですが今では二つに別れてしまい残念です」
 ヨシノは苦笑いを浮かべて答えた。
「それでその人だけなんですか? 酷い状況に陥っているのは」
 幸祐がさらに追求。
「……特に酷いのは。他には分裂する前にしていて今はやめたり時々していたりの人ぐらいですね。もちろん、そんな事をしていない人もいますよ。幸い他人を傷付けた人はいませんが……あぁ、そうです。一段落ついたらバーベキューをする予定ですから。どうですか?」
 ヨシノはまた顔を曇らせ答えるも話すのが辛いのか話題を変えてしまった。
「楽しそうね」
「参加させて貰います」
 妲己と幸祐はヨシノを気遣ってか話を戻すような事はしなかった。
「賑やかそうだね」
 とアゾート。
 この後。アゾートは自分達の情報を話した。
 話しを終えた後、鎮痛剤の事を知らせるためヨシノが他の場所へ行った後、
「マイマスター、ターゲットの採取を完了しました。洗浄して下さい」
 任務を終え、凄まじい姿となったヒルデガルドが登場。
「あぁ、ご苦労」
 幸祐は慌てる事無く差し出された魚竜の肝を受け取りバケツに入れた。
「凄い事になってるね」
 アゾートはヒルデガルドの姿に思わず言葉を洩らす。
「アゾート、これを頼む」
 バケツをアゾートに任せ、幸祐はヒルデガルドを誰もいないシャワー室に連れて行き、身体を洗浄した。ヒルデガルドは嬉しそうにしていた。
 アゾートは幸祐達と離れ、魚竜釣りをする顔見知りの所に行った。