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【冬季ろくりんピック】激突!! フラッグ争奪雪合戦バトル!

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【冬季ろくりんピック】激突!! フラッグ争奪雪合戦バトル!

リアクション


〜試合開始前(2)〜


 雪原を仕切って作られた競技場。その周囲には観客が座りながら観戦出来るよう、所々に観客席が設置されていた。
 そして観戦スペースの正面側中央、フィールドで言うE3地点の目の前にはこの競技を実況、解説する為の放送席も設けられている。

『はい! それじゃあ冬季ろくりんピック、フラッグ争奪雪合戦を始めるよー! 実況はあたし、篁 雪乃(たかむら・ゆきの)が担当するね』
 放送席に座っている一人、雪乃がマイクを通して観客席、そしてフィールド全体へとアナウンスを始めた。ちなみに彼女が実況をやっている理由は他の学生による立候補が無かったからである。
『それから、一緒に解説してくれるのが――』
『ハーイ! ろくりんくんヨ、ヨロシクネ〜』
『あれ? ここにある紙には茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)さんのパートナー、キャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)って書いてあるけど』
『細かい事は気にしなくてイイノヨ〜』
 隣に座るキャンディスが雪乃の疑問をスルーする。
『ん〜? ま、いっか。じゃあ競技の説明をするね。この競技の勝敗はフィールドのあちこちにある旗を自分達の物にして、競技終了まで守る事』
『途中で取り返されたらダメって事ネ』
『そう。いくら長い間持ってたとしても、終了した時に相手に取られてたらポイントにならないから注意してね。それから、相手への攻撃は雪玉のみ。しかも、配られてるグローブで作った雪玉じゃないと駄目だよ。他の武器や魔法を使っての攻撃は禁止されてるからね』
『ただし、間接的には認められてるワヨ。雪玉をどうやって相手に当てるか、工夫が必要ネ』


『ルールを説明した所で、両方のチームにカメラを移してみよう〜! まずは、東シャンバラチーム!!』

「雪だるま王国騎士団長として、派手にカッコ良く参りますよ! 目指すは勝利! イーシャン(東シャンバラ)に栄光あれ!!」
「あたしもチームに貢献するよ! 皆、頑張ろうね!!」
「オー!!」

『今のは……え〜っと、クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)さんとネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)ちゃんだね』
『二人共、夏はバスケットボールに出場していたワネ。クロセル選手は他にも応援団長を務めたりもしてるワ』
『冬はどんな感じになるか、期待だね』


『次は西シャンバラチーム。こっちには応援メッセージが届いてるよ。ツァンダの御神楽 陽太(みかぐら・ようた)さんから――』

「お茶が入りましたよ。あ、もう放送が始まってるんですね」
 ツァンダの自宅で妻と共に仕事をしていた陽太は、一息つく為にテレビで競技を観戦しようとしていた。
 この時間に合わせて休憩を入れた理由は、パートナーであるエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)の二人が選手として参加しているからだった。
『二人で雪合戦をTV観戦しています。頑張って下さい!』
 陽太がお茶をテーブルへ置いたと同時に、自らの送った応援メッセージが読み上げられた。画面にはノーンがこちらへと手を振っている姿が映っている。
「はは、ここからでも元気いっぱいなのが分かりますね。ノーン達が負けないよう、ここから応援しましょうか」
 妻と一緒に画面へと注目する。願わくば、二人が楽しんで帰ってきますように――

『ちなみにこの試合はテレビ中継されてるから、街で観てる人も結構いると思うよ』
『学校とチームの代表として頑張って欲しいワネ』
『さぁ、肝心の参加選手達は……こっちも盛り上がってるみたいだね。中心は輝くんかな? うちの大樹もいるみたいだけど』
『846プロダクション所属のアイドル、神崎 輝(かんざき・ひかる)選手がいい感じに周りを煽ってるみたいネ。夏の競技には参加してないけど、期待の新人と言えるワ』

「皆ー! 気合入ってるー!?」
「オー!」
「声が小さーい! ほら、大樹くんももっともっと!」
「あぁ! 絶対に勝つぜ!!」
 輝の声にクラスメートの篁 大樹(たかむら・だいき)を始めとした周囲の参加者が応える。それを映したテレビの画面は次第に上へと遠ざかり、フィールドを俯瞰する位置で止まった。

『さぁ! 勝利の女神はどっちに微笑むのか! フラッグ争奪雪合戦――始まりだよ!!』