校長室
【2022クリスマス】聖なる時に
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第12章 聖なる夜の道を 空京のクリスマスイブ。 街はイルミネーションで彩られて、ちらちら、キラキラ輝いていた。 道を歩く人の数は、普段よりも多く、店の前にはサンタに扮した売り子いて。ケーキやチキンを販売している。 「大家族だと、それぞれケーキを買って帰ってしまったりするんだって」 サンタクロース達を見ながら、神崎 零(かんざき・れい)が言った。 「うちは大丈夫だな」 神崎 優(かんざき・ゆう)が、愛しい妻にである零に優しい目を向けた。 「ええ、一緒にいるから」 家族が増えて、パーティの準備をして彼を待つ年が来たら。 そんなこともあるのだろうかと、零は想像して。 ふふっと笑みを浮かべる。 「……そうだな」 微笑む零がとても可愛くて。 優は組んでいた腕を自分の方に寄せて、彼女を引き寄せた。 それから2人は、街中を通り抜けて。 丘の上に出た。 殆ど明かりのない丘だったけれど、そこからは大通りを見下ろす事が出来た。 イルミネーションと、ちらちら落ちてくる雪に飾られて、明るく楽しく輝く街を、2人で観賞していく。 「優」 優しい声に、優は零に目を向けた。 零は組んでいた腕を解くと、鞄の中から取り出したものを「はい」と差し出した。 「マフラー?」 「うん、クリスマスプレゼント」 それは、白と青のチェックの手編みのマフラーだった。 「ありがとう」 柔らかくて、優しい温かさを感じるマフラーを広げて、優は心からの礼を言った。 だけれどこのマフラー、なんだか長い。 「所で零。このマフラー結構長いような気がするんだけど、どうしてなんだ?」 優が尋ねると零は微笑みを浮かべて。 「こうやって使うんだよ」 そう言いながら、彼の手からマフラーをとって、自分と優の首に巻いていく。 「なるほど……」 マフラーの温かさだけじゃなくて、彼女の温かさも感じる巻き方だった。 巻き終えた零を、優は優しく抱き寄せた。 そして、彼女の耳に触れる。 不思議そうに自分を見上げた零の耳たぶに、優は手作りのイヤリングを付けていく。 桜の花の形のイヤリングだ。 「これが俺からのクリスマスプレゼント」 零は驚いた顔をして。 でもすぐに、表情を嬉しそうな笑みに変えて。 「ありがとう」 優の首に腕を回して抱きしめた。 優は、零の腰に手を回して。 二人は、キスを交わした。 舞い落ちる雪が、零の頭の上にふわりと落ちた。 彼女を撫でるように、雪を払って。 「この後はどうしようか?」 見詰めながら優は尋ねた。 「そうね……ツリーが見えるレストランで、食事がしたいな」 「予約してないけれど、どこか空いてるだろ。散歩しながら探すか」 「うん」 零は、再び優の腕に自分の腕を回した。 2人は微笑み合った後、歩き出す。 お店は決まらなくてもいいと思った。 夕食はマフラーをしたまま食べ歩きをしても、きっと楽しめるはず――。