校長室
【2022クリスマス】聖なる時に
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第14章 お家で2人だけで 「ただいま」 月崎 羽純(つきざき・はすみ)は注文してあった、シャンパンを購入し、自宅に戻った。 「お帰りなさい」 すぐにキッチンから、妻遠野 歌菜(とおの・かな)が顔を見せる。 「一緒に、飾り付けしよ♪」 歌菜は料理の仕込みを終えて、飾り付けを始めたところだった。 「そうだな」 羽純はシャンパンを冷蔵庫に入れると、歌菜と一緒に部屋の飾り付けを始める。 ツリーだけではなく、部屋全体を、イルミネーション、オーナメント、リーフで飾り付けて。 勿論、ツリーもテーブルの側に置く。 カラフルなボールや、動物のかたちの可愛いボール。 雪だるまやサンタの人形。雪の結晶や、星形のオーナメントを次々に飾っていき。 ベルを付けて、綿を巻いて。 賑やかで楽しいツリーが出来上がる。 「っと」 「無理はするな、高い場所の飾り付けは俺がやる」 椅子に乗って、壁に飾り付けをしようとしていた歌菜を羽純が支える。 「大丈夫、この高さなら羽純くんだって椅子に乗らなきゃ届かないし。同じだよ」 そう笑う歌菜に。 「……そろそろ料理を仕上げないと、夕飯が遅くなる。歌菜はそっちを頼む」 そう言って、羽純は歌菜をキッチンへと向かわせようとする。 「はーい。腕によりをかけて作るからね」 とん、と椅子から飛び降りると、歌菜は早歩きでキッチンに向かっていった。 「こっちも仕上げるか」 羽純は歌菜が使っていた椅子に乗って、イルミネーションを壁に取り付けていった。 部屋の飾り付けが終わった後は、羽純もキッチンに向かい、料理をする歌菜を手伝う。 野菜や果物を洗ったり、皮を剥いたり。 煮込み中のシチューが焦げないように、かき混ぜたり。 「羽純くん、お皿はどれ使おうか? 今日はお客様用でいいかな」 「ああ、そうしよう。上の棚だったか?」 「うん。ふふっ」 歌菜の顔に、自然に笑みが浮かぶ。 パーティ開始前から、幸せな気分だった。 「お皿も特別だけど、料理も特別よ♪」 気合を入れて、真心を込めて。 歌菜は料理とケーキを作っていき。 出来上がった料理を、羽純が用意した皿の上に盛り付けて。 食器と料理、お菓子とシャンパンを飾り付けをした部屋に持っていき。 テーブルの上に、並べて。 2人だけのクリスマスの空間を仕上げた。 部屋の明かりを少し暗くし、イルミネーションを点けて。 それから、一緒に椅子に腰かけると。 グラスを手にして、2人だけのクリスマスを始める――。