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リアクション
【7】
「おい、面会だ。出ろ」
「はぁ……?」
空京警察に拘留中の鳥ギフトは来訪者の知らせに首を傾げた。
ーー空京に知り合いなんていただろうか。変コレのスタッフは全員逮捕されているはずだが……。
不思議に思いながら面会室に行くと、ガラス窓で仕切られた向こう側にルカルカ・ルー(るかるか・るー)が座っていた。
けど、やっぱり鳥ギフトには見覚えのない顔だ。
しかし、彼を案内してきた警官はちょっと緊張しているである。何せ、国軍少佐でロイヤルガードの肩書きを持つ彼女が出てきたのだから、下っ端警官としては気が気じゃないだろう。我々の捜査に何か問題でもあったのだろうか……と無駄に心臓をばくばくさせているが、ルカは別に任務で来たわけじゃない。あくまで個人的な理由で、個人的にここに来た。
「……誰だろうって顔をしてるわね」
窓越しにルカは挨拶をする。
「初めまして鳥ギフトくん、暴走した変コレAIを正常化させようとしている者の1人……と言えば目的は大体わかるかしら?」
「……その件か。警察には何度も言ったが、もはやAIは我輩らにもどうすることもできん」
「それは外からAIをイジろうとした場合でしょ? そんなことをしなくてもAIがルールに基づいて行動しているなら、ルールに基づいてこちらもAIにアプローチすることができるわ」
「どういうことだ?」
「AIに新たな定義を教えるのよ。そう、“変態を変ムスにコンバートする変態”っていう新しい定義をね」
変コレの画面を映したタブレットを取り出すと、頭のいい鳥ギフトは彼女の目的を理解した。
「ま、待て。ヴァーチャル世界にだけは決して行くなと親の遺言で……」
「バグったのは不運だったけど、自分だけ難を逃れようとは思ってないよね?」
ニコニコと微笑むルカ。しかし、よく見てほしい。目は笑っちゃいない。
「作った人は責任取らないと」
ルカはバキボキと拳を鳴らして鳥ギフトを威嚇する。
一応、2人の間にはガラスの仕切りがあるのだが、勘のいい鳥ギフトはすぐに察した。
今目の前にある壁はたぶん自分を守っちゃくれねぇぞ、と。
「わ、わかった……。我輩も向こうに行こう」
「嬉しい。真心が伝わって良かった」
どうやら2023年では“真心”は“暴力”の類語のようである。
「と言うわけで、レッツラゴー!!」
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