天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

【5周年記念】スペシャル番組『パラミタ大陸』

リアクション公開中!

【5周年記念】スペシャル番組『パラミタ大陸』
【5周年記念】スペシャル番組『パラミタ大陸』 【5周年記念】スペシャル番組『パラミタ大陸』 【5周年記念】スペシャル番組『パラミタ大陸』

リアクション



ルカルカ・ルー(るかるか・るー)の一日】

 ヒラニプラ郊外の洋館。そこで目覚めるシャンバラ教導団少佐であるルカルカ。
 既に彼女の唯一無二の相棒、ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は起床して準備を始めている。
 ただならぬ雰囲気に我々スタッフが完璧に飲まれてしまっていた。
 そこへ彼女がやってきて、我々一人一人にデコピンをしていく。
「あんまり硬くならないでー。すっごい怖い人、そんな風に映っちゃうから、ね?」
「すまんな。生憎表情が乏しいのだ。だが歓迎してない訳ではない」
 二人の優しい言動に、我々は改めて二人のすごさを痛感した。
 朝食を終えた二人が向かったのは訓練場。
 射撃訓練、障害ルート踏破訓練、軍隊格闘技の訓練等、その訓練メニューに隙はない。

―お二人は契約者としての能力は使わないんですか?

「ええ。国軍兵士の大半は非契約者だから、軍において契約者の能力は必須ではないの」
「俺達のような契約者の軍人は、常に非契約者の目線を忘れてはならないのだ」
 二人の強さに、触れた気がした。
 そこへ団長(金 鋭峰(じん・るいふぉん))と参謀長(羅 英照(ろー・いんざお))の二人が現れる。
 我々だけでなく、訓練兵全員から緊張が迸る。
「やっているな。……彼らは、テレビ関係者か」
「はい。団長、あんまり怖がらせないであげてくださいね」
「私は何もしていない」
「それが怖いんですってばー」
「知ったことではない」
 はいすいません取材とかしてすいません!と我々は逃げ出したくなった。
「参謀長、おはようございます」
「ああ。訓練のほうは、順調のようだな」
「ええ。ただ、団長や参謀長がお見えになられてからは、少し硬くなりました」
「平常心の鍛錬が足りないようだな。気をつけるように」
「はっ」
 ダリルと参謀長が言葉を交わす。出来る男たちの会話だ。
 その後も訓練は続けられた。

 昼になり訓練を切り上げた二人はシャワーを浴びて昼食を取る。
 団長が会議に赴くため、参謀長・ルカルカ・ダリルの三人もその補佐を行う。
 会議中、二人は隣室に待機して有事の際に備える。
 その間にダリルは訓練のまとめ行い、翌週のメニューを構築していた。

 会議終了後、二人は団長たちを教導に送った後、仲間である【鋼鉄の獅子】へと顔を出す。
「少佐になったら事務仕事が増えて、肩こっちゃうよ〜」
 しばらく世間話、それから仕事の話を少ししてからまた事務仕事。
 我々が静かにしていると、ルカルカが転寝を始める。
 その寝顔はとても少佐とは思えないものだ。
「きゃっ!! もーダリル! なんで普通に起してくれないのよう!」
 転寝をしていた彼女をダリルがくすぐって起した。一体何故。
「カメラサービスだ」
 真顔でそう言ってのけたダリル。我々は意外な一面を見せてもらえたのかもしれない。
 全ての仕事を終えた二人は別々の部屋へと帰宅し、ルカルカが何かをし始める。
 
―今、何を編んでいるんですか?

「愛する夫への編み物っ♪」
 我々が最後に見た彼女の顔。それは今までの一日を覆すかのような、イタズラ顔な笑みだった。

 これがルカルカ・ルーの一日――