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リアクション
prologo : 運命への第一歩
従龍騎士の試験会場。
「――俺の勝ちだね」
セルウスは、ボロボロになった顔を拭いながら笑った。
彼の前で、地面に膝をついているのは、試験官を務める龍騎士だ。
彼もまた、負けを認めて笑みを浮かべた。
「老いたとはいえ、仮にも龍騎士である私を倒したのだ。その強さを認めよう」
「うん、ありがとう」
「だが……これから、どうするつもりだ?」
龍騎士は、方々で倒れている従龍騎士候補達の方を見やった。
「お前が倒した従龍騎士候補者の中には、貴族の子も居る。
顔に泥を塗られたままでいるつもりはなかろう。
自身の腕で叶わぬなら、せめて力ある者に頼り、一泡吹かせたいと考えるだろうし、そういった方法の方が長けている者もいる。
お前は“ここに居るはずのない”者だが、追う手立ては無いわけではない」
「……そっか。まあ、しょうがないよね。悪いのはこっちだし」
「自覚があったんカイ!
だから、ほどほどで止めておけと言ったのに……」
セルウスのカバンの中に詰め込まれていたクトニオスが言う。
龍騎士は軽く目を目を瞠り、それから、クックと喉を鳴らしておかしそうに笑った。
「そうか。
なるほどどうして覚えのある型だと感じた。
理由は分からんが、お前は見出されたのだな」
「どうなんだろう?」
「これから何処へ行く?」
「コンロンに」
「長い旅路だ。――お前に、偉大なる龍神族の加護と導きがあらんことを」
そうして、老いた龍騎士に見送られたセルウス達は、まず、シボラへ向かったのだった。
その後、彼等はドミトリエと出会い、そしてシボラの長老と出会うこととなる。
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