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ヒーローショーでまったりしっぽり?

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ヒーローショーでまったりしっぽり?

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●温泉とかでゆったりしましょうよ?
 かこーん、と風呂桶が洗い場に置かれる音が浴場に響く。イベントが終わり、参加者のうちで疲れを保養施設で癒して帰ることにした人たちが、わいわいと集まってきている。
 もちろん浴場は男女で分かれている。混浴はいろいろとまずいからだ。
 そんな中、中願寺綾瀬(ちゅうがんじ・あやせ)は、体を洗い、温泉に入りくつろいでいた。
 普段は絶対に外さない目隠しもこの時ばかりは外している。そして温泉に入るときのマナー――主に体を隠すために持ち歩くタオルを湯船に浸さない、長い髪の抜け毛がお湯に浮かばないようアップにまとめる、等もきっちりと守って入っている。
「ふう、空に浮いている大陸の温泉と聞きましたが、気持ちいいものですわ」
 艶っぽいため息をついて、疲労回復、美容効果のある温泉のお湯でちゃぷちゃぷと遊ぶ綾瀬だ。
 そんな中、綾瀬は彼女のパートナーである漆黒のドレス(しっこくの・どれす)の忠告を思い出していた。普段からドレスの姿をとっている彼女のパートナーは、一緒に温泉に入ることはかなわず、綾瀬に小言のように忠告をしていたのだった。
『気をつけてよー? 教導団管轄の温泉とは言え、警備は万全とは限らないんだからね!』
 とか、
『もし変な事されそうになったら、ちゃんと周りの人に助けを求めるんだよ! それから……』
 等と、服を脱ぎ、ドレスをハンガーに吊るしてる最中でもパートナーの忠告は続いたのだった。
 それもこれも、大衆がいる前で二人がそれなりの距離を置いてしまうことが心配なのだ。
「さて、のぼせないうちにあがるとしますわ」
 じんわりと、体の芯まで温まった綾瀬は、ん〜っと湯船の中で優雅に体を伸ばしてから湯船から出る。
 近くにあった風呂桶をつかみ、惜しむように体にお湯をざあっとかけてタオルで体の水気をふき取ると、脱衣所で待たせているドレスの元へと戻っていくのだった。



 同じようにして温泉に入っている火村加夜(ひむら・かや)は、ぼんやりとある人を見つめていた。
 それは、パートナーである蓮花・ウォーティア(れんか・うぉーてぃあ)である。
「それにしても、蓮花さんスタイルいいですよね……」
「あら? あなたも今からよ。胸なんて好きな人にでも揉んでもらえればすぐよ。それとも私が揉んであげようか?」
 言うが早いか、蓮花は加夜の後ろに回り胸に手を伸ばすともにゅもにゅと揉みしだく。
「や、やめ……んっ……み、みんなみてますって!」
「あらあら、まだ私には及ばないけど少しずつ大きくなっているみたいね」
 にんまりと笑みを浮かべている。まるで今にも押し倒すのではないかといった様子である。
「ひゃあ! れ、蓮花さん、ほんとにやめっ……」
「あらあら、そんなに赤くなっちゃってると、本当に襲っちゃうわよ?」
「じょ、冗談をそんな、本気っぽく言わないでください!」
「残念」
 蓮花はあっさりと、加夜の胸から手を離す。しかし、後ろからぎゅうっと抱きしめた。
「たまにはこういうのもいいものね」
「はい……。こうやって戦いの話をせずにのんびりくつろぐ日って大事、ですよね」
 のんびりと、さっきまでの暴れっぷりが嘘のようだ。
 加夜は蓮花に体を預け、蓮花は加夜の体をふんわりと包み込むように受け止めている。
 そんなゆったりとした空気だったが、蓮花は悪戯心が芽生えたのか加夜の耳元で、
「もしも良ければ、朝までいろいろ教えるけど?」
 そうささやくが、加夜の顔がぼっとまるで火が吹き出るように真っ赤に染まった。
「え、ええ、えっと、と、ととと、とま、泊まらないですよ! な、ななに言ってるんですかぁ!」
 とっても動揺している加夜だ。あわあわと蓮花の腕の中から逃げ出そうともがいているが、お湯の中なのと蓮花がしっかりとホールドしているおかげで逃げることができない。
「ふふ、あんまり赤くなってると、ホントに押し倒すわよ」
 そんなやり取りを二人は飽きるまで続けるのだった。



 そして、人がほとんど居なくなってしまった女湯。
 最後までイベントの片付けを手伝い、その後に普段の訓練まで行った、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)とパートナーのセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は疲れを癒していた。
 セレンフィリティは教導団がこんな保養施設を持っていることをはじめて知ったようで、温泉内をあちこちと入りわたってはしゃいでいた。
 そんな様子をセレアナは静かに見つめている。
 しかし、湯船で泳ぎだそうとし始めたセレンフィリティにはさすがに声をかける。
「少しは静かにしなさい。いくら人が少ないとは言えさすがにはしたないわよ」
 ちょっとでも耳を傾けてくれればいいといった、そんな淡い期待を込めた言葉だったが、セレンフィリティが聞くわけがなかった。
 セレンフィリティは縁につかまりながらぐっと体を伸ばす。じんわりとお湯の温かさを一身に味わい、今日一日の疲れを取っている振りをする。
「ふふっ」
 自然とセレンフィリティに笑みが浮かんでいた。温泉からあがったらセレアナと一緒の部屋であんなことや、こんなことをするという妄想を膨らませていたからだ。
 セレアナはセレンフィリティが何を考えているのか大体読めてしまった。
 そして、すぐさま行動に起こす。
 距離を置きお湯を楽しんでいたセレアナだったが、わざわざセレンフィリティの隣まで移動をして、縁に背中を預ける。
「えいっ!」
 隣に移動してきたセレアナに、セレンフィリティは悪戯をする子供のような笑みを浮かべてはお湯をかけた。お湯をまともに顔に浴びたセレアナだが、その行為がほほえましいものに見えた。
「セレン」
 セレアナは、相棒の名前を呼ぶ。
「なぁに?」
 セレンフィリティは、周りに人がいないことがわかっているのか、とても甘ったるい返事を返す。
 そして、セレンフィリティの唇が不意打ちで塞がれた。
「んんっ!?」
 驚きに目を見開くが、その行為がセレアナからの物だという事に気づくと一気に体を弛緩させる。普段なら、自分からすることが多いのに、と頭の中では考えがぐるぐると巡っている。けれどもセレアナからこうやってキスをしてくれるなら、まあいいかなと思ってその柔らかな唇の感触を楽しんだのだった。



 保養施設でゆっくりし、帰途に着くもの、一泊するものに別れた。
 一泊するものは備え付けの浴衣に着替えて施設内のレストルームでゆったりとしている。
 しかし、時刻はすでに日付をまたぐという時刻である。徐々にレストルームからベッドルームへと移動を始めている人が多い。
 清泉北都(いずみ・ほくと)とそのパートナーのクナイ・アヤシ(くない・あやし)も同じようにベッドルームへと向かっているうちの一組だった。
 パートナー同士の仲を深めるといった施設側の好意により、基本的にパートナー同士の部屋は同じ部屋に割り当てられている。しかし、部屋のタイプや、別室がいいなどの注文は施設側に言い出せば、基本的に自由に選ぶことができる。
 二人が割り当てられた部屋は和室タイプだ。畳の上に布団が引いてある。
「さて、寝よっか」
 北都があくびを噛み殺しながらいそいそと布団にもぐっていく。
「そうしましょう」
 クナイもそれに賛同する。
「それじゃあ、おやすみ〜」
 そういって、北都は目を閉じるが、それは北都にとっての自分に課した試練であった。
 クナイとは恋人同士の関係である。いつものように一人で眠るのではなく、恋人ならこれからも一緒である。そう思って、寝食を共にできるようになろうという一つの試練だ。
 蛍光灯が常夜灯に切り替わる音を耳にし、北都は体の力を抜いた。
 電気を消したクナイはそんな北都を見つめていた。
(同じ部屋、と言う事で少しは期待していたのですが……まあ、北都ですしね。一緒の部屋でこうやって眠ってくれる、これだけでも心を許してくれているということでしょうか)
 クナイは自問し、しかし答えはでなかった。
 数十分と時間がたち、クナイはいまだに常夜灯に照らされた北斗のあどけない寝顔を見つめていた。
 そこに、クナイは自分の中の独占欲がむくりと芽生えていることに気づいた。北都は自分のものだという証をつけたいと。
 布団は隣同士、手を伸ばせばその頬に届くし、少しでも体を動かせば体すら手中に収めることができる。
 だから、いっそ眠れない夜ならばとことん楽しもうと、クナイは思った。
 しかし、その野望はすぐに打ち砕かれることとなった。
 北都がクナイの方へと転がり込んできたのだ。北都が甘えるように浴衣の裾をつかみ、クナイの胸元にすっぽりと収まる。
 それはそれでうれしいものだと、クナイは思うが北都は完全に寝入っていた。
「やれやれ、仕方ないですね」
 微笑と嘆息。
 そして、こんな可愛い北都の寝顔を見せられたらどの道今日は眠れないではないかと言う思いを胸に秘め、クナイの長く幸せな夜は更けていくのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

来宮悠里

▼マスターコメント

 初めまして、シナリオガイドの自己紹介から誤字をぶっ放しました、来宮悠里です。始めましてじゃなくて、初めましてですよね……
 本シナリオ、「ヒーローショーでまったりしっぽり?」は楽しんでいただけましたでしょうか?
 さまざまなアクションを拝見し、自分の予想とは違う比率で着たことに、若干戸惑いは隠せませんでしたがそれでもわたしは楽しく執筆させていただきました。

 一部不適切なアクション、情報が錯綜してしまっていた部分ははマスタリングさせていただきましたが、大筋は皆様のアクションどおりで進んでおります。……多分ですが!
 ガイドの情報が若干少ない部分でお客様を困らせてしまった部分は申し訳ございませんでした。

 イベントシナリオなのに、文量が大増量してしまいましたが、これはお客様のアクションが受け取りやすかったためであります。
 もし、こんなマスターでよろしければ、次回以降も参加してもらえるとありがたいです。
 それではこれにて失礼!

▼マスター個別コメント