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暗殺者たちの饗宴

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暗殺者たちの饗宴

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序章 オープニング


 騎沙良 詩穂(きさら・しほ)アイシャに祈りを捧げる。
 シャンバラ大荒野。
 普段は遊牧民しか見当たらず、静かな荒野だが、この時期だけは別だ。
 毎年、盛大に行われている祭だが、今回は会場の一部が騒然としていた。テロリストが現れたのだ。
 そんな状況を知ってか知らずか、騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は物思いにふけっていた。
 祭は現女王に捧げる雰囲気だが、詩穂は人目につかないところでこっそりと最愛の人である先代女王に祈りを捧げていた。
 テロリストは既に動き始めている、という涼司の連絡を受け、多くの仲間が集まった。
 一体、どんな饗宴が繰り広げられるのだろうか……。

「涼司くん、無理しないでくださいね」
 山葉 加夜(やまは・かや)が涼司に言った。
 加夜が、テロのあった火災現場をサイコメトリで調べ、涼司と二人で犯人を追っていた。
「だからみんなを呼んだんだ。その為の仲間だろ?」
 涼司が言い終わったその時。
「涼司、お待たせ!」
「大丈夫ですか、涼司さん?」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)がやって来た。
 移動しながら美羽が涼司に言う。
「さっきからディテクトエビルで探ってるんだけど、全然分からないんだよね」
「相手はプロのテロリストだ。悪行、というよりも仕事としてやってるんだ。悪意は感じとりにくいと思うぜ」
「では、どうすれば……。目で見て、この中から探し出すのは大変ですよ……」
 加夜が探った手がかりを基に、目視で捜索するしかない。しかし、開場は人で溢れている。
「此処は任せてください、涼司さん」
 涼司達が立ち止まると、湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)ディミーア・ネフィリム(でぃみーあ・ねふぃりむ)が涼司達に追いついた。エクス・ネフィリム(えくす・ねふぃりむ)は一緒にいない。
「エクスが会場中にカメラをセットしています。SNSで共有していますので、みんなとも連携が取りやすくなると思います――エクス、そっちはどうだ?」
 銃型HCでエクスに連絡する。
「今、20個くらい設置したよ! どんどん置いていくね! ――すいませーん、ちょっとココ置かせて!」
 エクスの元気な声が聞こえた。凶司は冷静な声で言う。
「よし、引き続き頼む」
「今は動くのはボクたちの仕事だから、ね!」
 そこで銃型HCを切り、今度はディミーアに言う。
「そっちはどうだ?」
「いつでもいいわよ。私は……ちょっと離れて護衛にまわるわ」
 ディミーアは一瞬、加夜の方を見て、言った。小型飛空艇アルバトロスの準備はできている。
「助かるぜ。やるじゃねぇか」と涼司が言った。
「新生徒会広報で、だいぶ鍛えられましたからね」
 そこへ、また新たに仲間が駆けつける。ルカルカ・ルー(るかるか・るー)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)だ。
「涼司、遅くなってごめん!」
「遅くなったのはルカがチョコバナナに見とれていたからだろう」
 ダリルがすかさず突っ込んだ。
「いいの。チョコレートは正義♪ ――ルカたちはグランツ教をから、特徴を描いて」
 そう言って、ルカは紙とペンを出した。
「絵は下手なんだが……」
 涼司は30秒程で描き上げ、ルカに渡した。
「涼司の分も頑張るから、涼司は全体の指揮をお願い。――加夜、涼司をよろしくね」
 手を降って、ルカは走り去った。
「俺は上空から探す」
 ダリルは姿を消し、上空に飛んでいった。
「よし、移動しながら指揮を執る。凶司、頼むぜ」
 涼司達は再び移動を開始した。