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リアクション
第6章 トリック・オア・トリートお菓子くれなきゃ罰!
「―・・・あまり走り回るんじゃないぞ」
いつもの黒衣に大鎌でも持って死神の格好をしている村雨 焔(むらさめ・ほむら)が、会場内をちょろちょろ動き回るアリシア・ノース(ありしあ・のーす)に注意する。
「大丈夫!それに動かないと声かけてもらえないよ」
「(こういう交流の楽しさについて、いまいちわかりませんが・・・)」
アリシアによってゴスロリ服を着せられたルナ・エンシェント(るな・えんしぇんと)は、落ち着かない様子でキョロキョロと当たりを見回す。
「とりっく・おあ・とりーとっ、お菓子くれないと悪戯しちゃうぞですー!」
ひなが突然後ろから現れ、アリシアとルナを脅かす。
「わぁっ、ビックリした・・・。お菓子だね、はい」
「美味しそうです!さっそく・・・もぐもぐ。甘すぎないお味で最高です♪」
「(これが交流というものでしょうか?)」
嬉しそうにする彼女たちの姿に、ルナは首を傾げる。
「Trick or Treat?」
続けてジャンヌとアイリスが声をかけてきた。
「この中から好きなの選んでいいよ」
「―・・・どれにしよう・・・。これがいいかな」
きれいな包みの粒餡の和菓子をもらい食べた。
「それじゃあ私も誰かに・・・ルナも一緒にやってみようよ。トリックオアトリートー!」
アリシアは近くにいたメイに声をかけてみた。
「メイのお菓子はキャンディだよ。いっぱい種類があるけど・・・何がいい?」
「うーん・・・・・・このウサギの形したやつかな」
「そっちの子はどれがいいの?」
「―・・・それではネコで・・・」
「これだね、はい♪」
メイから受け取ると、嬉しそうに焔の方へ駆けていく。
「ねぇ見て見て、沢山あげたよ♪他の人からももらっちゃった」
「そうか、よかったな」
中身が半分に減ったカゴの中を見せて、アリシアは焔にニッコリ笑いかけた。
「皆楽しそうだね♪」
ワインを飲みながら、うさみみとうさ尻尾をつけた川村 まりあ(かわむら・ )が、楽しそうに眺めていた。
「あれ国頭先輩だ・・・どこにいくんだろ?」
1人会場から離れて怪しげな行動をとる国頭 武尊(くにがみ・たける)を、まりあがめざとく見つけた。
「ついていってみようかな」
光学迷彩で透明人間のふりをしている武尊は、屋敷内にめぼしいものがないか物色している。
「ずっと被ってるの暑いでしょう?」
そっと後ろから近寄り、冷たい水を差し出した。
「うあぁっ!何だ・・・君か」
「はい、どうぞ」
「あぁ・・・」
まりあから水を受け取り、いっきに飲みほした。
「そこで何をしているの?」
怪しげな行動をしている武尊に気づき、泡がオメガを連れてやってきた。
「オレは・・・君(の持っているお宝)が欲しかった。君(のお宝)をオレのモノにしたかったんだ」
心中で思っている言葉以外を聞くと、誤解を招きそうだが恋愛感情のないオメガは、武尊の言葉に首を傾げる。
「そうなの・・・私がしびれさせけてあげようか?」
「い・・・いや・・・・・・今持病の影響でそういうのは駄目なんだ・・・」
笑顔で怒りのオーラを発している泡に詰め寄られ、武尊は逃れるために言葉巧みにないことを言い後ずさる。
「―・・・くらいなさい!」
「うぅうーっほあぁああ゛ー!」
雷術をくらい武尊はビリビリッと全身感電し、プスプスと焦げて気を失ってしまう。
「あらら・・・過激ね・・・・・・」
まりあは焦げた武尊を見下ろした。
-PM22:55-
「いいな・・・他の人たちは沢山お菓子もらえているようですね。僕も欲しいな・・・よし、もらいに行こう」
頭に赤い冠と可愛らしいうさぎの耳つけてティエリーティア・シュルツ(てぃえりーてぃあ・しゅるつ)は、和菓子が入った小さなカゴを抱えているアリシアの姿を見つけ、赤いマントをヒラヒラと揺らしながら駆け寄る。
「とりっくおあとりーと♪」
「私が持っているのは和菓子なんだけど食べられる?」
ティエリーティアは青色の瞳をキラキラと輝かせて頷く。
「はい、どうぞ」
「ありがとう♪よかった僕のも・・・」
「パンプキンクッキーね、ありがとう後で食べてみるね」
「―・・・あっ!」
志位 大地(しい・だいち)の姿を見つけ、ティエリーティアは彼の所へパタパタと駆け寄っていく。
「わー、大地さんの衣装お似合いですね〜、カッコいいですよ!」
黒のタキシードに裏地が真紅色黒いマントを纏い、吸血鬼の仮装をしている大地に微笑みかける。
彼はトマトジュースを注いだグラスを片手に、ティエリーティアの方へ振り返った。
ジュースには少しだけ砂糖が入っている。
「えへへ・・・ありがとうございます。やっぱり吸血鬼らしく付け犬歯した方がいいですか?」
「うーん・・・・・・つけてみてください」
大地は口に付け犬歯をして見せた。
「やっぱりないほうがいいです」
「じゃあ取りますね」
「えっと、この服・・・ヘンじゃないですか・・・?」
「とても似合ってますよ」
「―・・・本当?よかった♪」
可愛らしく笑うティエリーティアに、大地は見惚れてしまい少し顔を赤らめる。
「大地さん〜、・・・とりっくおあとりーと?」
少し首傾げて声をかける。
「あっ、そうですね。・・・何も持っていないのですけど」
ティエリーティアはグラスに入ったジュースをじーっと見つめる。
「これでよければどうぞ。それじゃあこっちも・・・トリックオアトリート」
「はい、昨日パーティー用に作ってみたんです」
パートナーと一生懸命作った、パンプキンクッキーを大地に手渡す。
「いただきますね」
「―・・・どう・・・かな」
「とても美味しいですよ」
塩と砂糖を間違え、若干の焦げたクッキーを食べた大地は、表情を崩さずに言う。
「せっかくドラキュラの仮装してるのだから・・・ドラキュラらしいことしないといけませんね」
ティエリーティアをそっと抱き寄せ、首筋に噛みつくふりをする。
「えっと、じゃあ、ボクは大地さんの下僕ってことになるのかな?」
「そうかもしれませんね」
「にゅ・・・すみませんちょっと・・・眠いです〜」
眠たそうに目を擦る。
「―・・・あっ、そうだ・・・!」
うとうとと寝そうになったティエリーティアはパッと目を覚まし、パーティーの主催者へ駆け寄っていく。
「ねぇ・・・朝になって皆、お屋敷からいなくなっちゃったら寂しい?」
ティエリーティアは首を傾げて言う。
「そうですわね・・・」
「寂しいのは嫌ですよね。お外へ出てみませんか?」
勇気を持って屋敷の外へ出てみようと、ティエリーティアはオメガに声をかけた。
「お誘いは嬉しいのだけど・・・やっぱり」
「そうですか・・・また怖がられたり拒絶されちゃったら悲しいですよねぇ・・・」
「えぇ・・・」
「僕たちは怖がったり、いじわるなことしませんからね」
悲しそうな顔をするオメガにニコッと笑顔で言い、彼女の傍を離れ大地の所へ戻っていく。
「やっぱり眠いです〜」
「おや・・・そうですか。それじゃあ・・・俺の傍で少し眠っていますか?」
「うーん・・・どうしようかな」
「悪いモンスターが寄ってきたら、俺がやっつけますから大丈夫ですよ」
「それじゃあちょっとだけ眠ります〜・・・」
床に座り込み壁に寄りかかってスヤスヤと眠るティエリーティアの傍らで、大地は幸せな一時を過ごした。
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