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魔女オメガのハロウィンパーティー

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魔女オメガのハロウィンパーティー

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第7章 麗しの君と踊り明かそう

-AM0:00-

「宜しければ御手を。お姫様、一緒に踊って頂けますか?」
 会場内にワルツの曲が流れ始め、レオンハルトは丁寧に礼をしてイリーナをダンスに誘う。
「ダンスは慣れてないけど、それでも良ければ・・・」
「2人とも戦場でいつも血にまみれてるんですから、お似合いですわ」
 傍からエレーナがイヤミを言う。
 レオンハルトはイリーナの手を取るとダンスホールの方へ連れて行く。
「軸を中心に回る様に。そう、上手上手」
 パーティーのダンスに不慣れな彼女に、彼はステップを教えてあげた。
「(レオンとまさかダンスを踊ることになるなんて思わなかった・・・)」
 顔を俯かせてイリーナは頬を赤らめる。
「(オメガが見せてくれる夢がどんなかわからないけれど・・・・・・。ずっとこのパーティが終わらない夢なら、ちょっと見てみたい・・・かも・・・・・・)」
 彼女は彼の姿を赤色の瞳に映す。
「これからもずっと私の手を離さないでね、レオン・・・」
 光り輝くシャンデリアの下、2人は幻想的な雰囲気に酔いしれるように踊る。
「(―・・・夢ならこのまま覚めなくてもいいかもしれない・・・)」
 曲が止むとレオンハルトは、すっかり気が抜けてしまっているイリーナを抱き寄せ、頬に口づけをする。
 一夜限りの幻のような甘い幸せに浸っていく。

-AM1:30-

「いいな・・・ボクも踊りたい、ねぇマスター・・・あっ!」
 猫又の仮装をした桐生 円(きりゅう・まどか)が、白い着物を着て雪女の格好をしているオリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)の方を振り返ると、彼女はオメガに触れようと悪戦苦闘していた。
「あまいわねぇ〜オリヴィアは断られたら燃えるたいぷなのだぁ〜」
「ごめんなさい、触られるのはちょっと・・・」
「あはは、待て待てー♪」
「(あんまり追い回すとろくでもないことになりそうだな・・・)」
 シチューを食べながらミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)は、彼女たちの追いかけっこのような様子を遠くから眺める。
 位置的に被害が届きにくいと思われる場所を選び、とばっちりをくわいないためだった。
「さて・・・次は何を食べようかな・・・」
「あっ!」
 ポトフを取ろうとすると、最後の残りを卓也が取ろうとしていた。
「えーっと・・・食べますか?」
「まだ食べていないからできれば・・・。少しだけ欲しいな・・・なんて・・・」
「いいですよ。よかったらクッキーもどうぞ」
「くれるのか!?いやー、すまいなぁー」
 卓也はミネルバの皿に分けてやり、小さな皿の上にコウモリ型のカボチャクッキーも置いてあげた。
「今日は誰かと一緒に来たんですか?」
「あぁ・・・まぁな」
 オメガを追いかけ回しているオリヴィアに視線を移し、ミネルバはため息をつく。
「(なんとなく共感できますね・・・)」
 同じような境遇に、卓也は親近感が湧いた。



「さすがに眠くなってきたな・・・」
 眠たそうにリアは片目を擦る。
「仮眠室でしたらそっちの階段を上った所にありますわ」
「それじゃあ・・・一眠りさせてもらう」
「あの・・・よかったらワタシと・・・1曲踊っていただけませんか?」
 ルイがオメガをダンスに誘う。
「わたくしとでよろしいのですの?ダンスになるのかしら・・・」
「それなら・・・あまり触れない程度で」
 そっと片手をとり、オメガをダンスホールへ連れて行く。
「あぁ!横からよくも・・・!」
 オメガを連れて行かれてしまい、オリヴィアは嫉妬の炎で燃える。
 ベア・ヘルロット(べあ・へるろっと)が近くからその光景を、羨ましそうに眺めていた。
 彼はオメガが眠くなって寝室へ向かうところを誘うと思っていた。
「待つしかないわね、1曲何分だったかしら?それにしてもダンス踊れるのね」
 携帯の時間を見て、マナ・ファクトリ(まな・ふぁくとり)はため息をつく。
「一人で覚えたのか?」
「いろんな意味でそれも寂しい解釈だわ」
「マスター、ボクと踊ろう♪」
「仕方ないねえ・・・後で覚えてなよぉっ」
 円と踊りながらもオリヴィアは、鋭い眼光でルイを睨みつける。
「やっと曲が終わったみたいね」
「よし、それじゃあ次は自分だな!自分とも一緒にダンスしようっ」
 テーブルの方へ帰ってきたオメガをベアが誘う。
「(一応ステップを見てあげようかしら)」
「人と触れ合うのって楽しいだろ?」
「そうですわね・・・」
「今まで誰も関わってこなかったんだろ」
「―・・・えぇ。触れるたびに人を傷つけてしまったから」
「(ぐわっ、いてぇっ!)」
 魔女の指先から氷術と雷術が発生し、あまりの激痛にベアは表情を崩しそうになる。
「(親も力の使い方を教えてくれるヤツもいなかったんだよな・・・。我慢だ我慢・・・・・・)」
「どうかしたんですの?わたくし・・・もしかして何か・・・・・・」
「いっ・・・いや何もしていない、大丈夫だ・・・あはは・・・」
 顔に冷や汗を流しながらも、ベアは平静を装う。



「次はボクと踊りませんか?」
「いいですわよ」
「やったぁ♪」
 ヴァーナーは嬉しそうにダンスホールの方へ走る。
「おねえちゃんのことがしりたいです」
「独学ばかりだから・・・あまりお役に立つ話があるかどうかありませんわ」
「それでもいいです!」
「―・・・そうですわね・・・。これといって趣味といったら・・・オリジナルの紅茶を作ることですわね」
「美味しそうですねー、そんなのですか?」
「ダージリンとセイロンの紅茶を、丁度いい比率でブレンドしたり・・・ですわ。柚子を加えても美味しいですわよ」
「どんな味なのかなー、飲んでみたい♪」
「冬の寒い季節なんかにいいですわね」
「あっ・・・曲が終わっちゃいました」
 ダンスの曲が終わり、ヴァーナーは残念そうな顔をする。
「ほんの少しですけど、人に触れられるようになったんでしょうか」
「一緒に踊れるってことは、そうだと思いますわ」
 楽しそうな光景を見ながら、陽太とエリシアはジュースを飲みながら語り合う。