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リアクション
幾重にも重なったふわふわのシーツは、本当に真っ白な海のようで、あちこちで鬼ごっこやかくれんぼでもしいてるのかな?ところどころ人の気配を感じる。この部屋はとても温かいし、居心地がいいな!とシーツをかぶった四つん這いの状態でレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)は周りをきょろきょろしてみた。
シーツを通して感じる光はほのかに薄暗く柔らかで、なんだかまったりとした気分にさせてくれる。うーん、ホント、気持ちが良い……。レキはいつもの動きやすいTシャツ+スパッツスタイルで来なかったことを少々後悔していた。この部屋、あったかいし、動きにくいや!でも、パーティーだもんな。
もぞもぞ。近くで人が動く気配がしたか、と思うと……、ぷふぁ、と息を吐き出すようにぴょっこりと神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)が顔出した。
「レキさん。ごきげんよう」
「ごきげんよう。あれ?一人?ミルフィはどうしたのさ?」
レキの中では有栖とミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)はいつも一緒にいるイメージだ。同じ百合園生として、ミルフィが「お嬢様一筋!」なのを知らない人もいないだろう。
「んん、と。追いかけっこしてたら、迷子になっちゃったみたい〜」
「そか。実はボクもね。ミアを見失っちゃったんだよね」
この広さの部屋の中、わっさわさのシーツの海で一度人を見失えば、探すのはけっこう困難だ。
その頃、ミア・マハ(みあ・まは)は、と言えばこっちはこっちでちょうどミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)と、頭をごっつんこした瞬間であった。
「あたた……。ごめんなさいね。ミア様」
「ミルフィ、前方不注意じゃな」
「お嬢様を探していたものだから。ミア様、お嬢様見かけませんでした?」
「有栖なら見てないのう。レキも迷子になっておるのじゃ。まったく、わらわがいないとどうにもならないやつじゃ」
「この広さですもの♪ちょっと呼んでみましょうか?お嬢様〜!どこにいらっしゃいますのー?」
シーツの海のガードでもそもそとした声になってしまうけれども、それでもミルフィの透る声はそこそこに響いた。
「今、ミルフィの声、聞こえた?」
有栖はきょろきょろ?と周りを伺ってからレキの顔を覗きこんだ。……お嬢様〜〜。
「ミルフィがどこか近くにいるみたいだね」
「ミルフィ〜!私はここですよぉ〜♪」
有栖がミルフィの名前を呼び続けること数十回。その声を頼りにやっとミルフィが、ぷふぁあ、と有栖の前に姿を現した。
「お嬢様、つ〜かまえたっ♪」
「もぉっ。遅いよ、ミルフィ」
「レキはこんなとこにおったのじゃな。まったく手間をかけさせおって」
「ボクが迷子になったわけじゃないよ」
レキはミアの小さな身体をぎゅーっと抱きしめた。口には出さなくても、相当心配していたらしい。ミアはそんなレキの様子に気付いているのかいないのか「ぎゅむ。苦しいのじゃ」と騒いでいる。
ミルフィはやっと有栖にやっと出会えた喜びを、身体全身で現すように、がばっと抱きついて、ぎゅうううう。
「ミルフィ、あったかい」
「こうすれば、もっとあったかいですわ♪」
ミルフィはシーツの海の中の手近なところから、一枚シーツを自分の身体に巻きつけるようにして確保して、その中にすぽっと有栖を包んだ。
「ホントだね。ミルフィ、あったかくていい匂い……」
「すみません、お嬢様。疲れさせてしまいましたわね」
「ん……、だいじょぶ。ミルフィ、大好き……」
有栖はやっと安心したかのように、ミルフィの身体にそっと自分の身体を寄せた。
有栖とミルフィが身を寄せ合っているのを見て、レキは、そっとミアをその場から離れるように促した。ミアは少々不満そうではあったが、ひとまずその場を離れた。
「邪魔しちゃ、悪いだろ」
「そんなこと言っても、なんかあちこちでみんないちゃいちゃしておったぞ」
「それ、見てたのか?」
「別にバレてないじゃろ」
「まったく。それよりやっと落ち合えたんだからさ。おやつ、食べに行こう」
「ちょこふぉんでゅ、とやらか。楽しみじゃな」
レキがシーツの海をめくって、一度、扉の方向を確かめて進もうとすると、
「そっちに行くのはやめたほうがいいのぅ。いちゃいちゃしてる連中がおる」
レキはちょっと遠回りして、扉に向かうことにした。
「さっき、誰か……見てなかった、ですか」
峰谷 恵(みねたに・けい)は、胸元のはだけた服を気にしながら、乱れた呼吸で途切れ途切れ言った。
「大丈夫よ。どっちにしても、女の子同士なんだし気にしなくていいわ」
どりーむ・ほしの(どりーむ・ほしの)は、頬を紅潮させてぐったりとしているふぇいと・たかまち(ふぇいと・たかまち)の細い身体に手のひらを滑らせる。ふぇいとは身体をびくっとさせて、それでもなおその白い足をどりーむの身体に絡みつかせようとする。
「ふふっ、まだ元気があるのかしら?」
どりーむは愛おしげにふぇいとの身体を撫でまわす。その動きに合わせて、敏感な部分に触れるたび、ふぇいとの身体はぴくん・ぴくんと震えるけれど、喘ぐ元気もないほどにぐったりとしている。どりーむはそんなふぇいとの胸の上に唇を寄せて強く吸い、キスマークを付けると、にこっと笑顔を見せた。
「今日は香苗ちゃんの思いも叶ったのかしら。恵ちゃん、抵抗出来ないもの、ね。でもぉ……香苗ちゃんだって、本当は敏感なのよね。もう、こんなになってるわよ」
恵に愛撫をしているだけでも、自分も十分に敏感になっていた姫野 香苗(ひめの・かなえ)は、どりーむに下着の上から身体のラインをなぞられるだけで過敏な反応を見せる。
「香苗ちゃん、たまには受けもいいんじゃない。ほら、気持ちいいでしょう?」
恵に負担をかけないように、やや四つん這いのような格好になっていた香苗に対して、どりーむは服の中に手を差し入れて、焦らすように肝心の部分を避けて、指でそっと撫でる。
「ぅ…んん、ぁ……」
攻められ慣れていない香苗は、身体からふにゃん、と力が抜けて、恵の胸に埋まるようにして倒れ込む。恵は香苗を受け止めると、優しく髪を撫でた。その指の感触に香苗の身体はぴくんと反応する。恵は香苗の身体をそっと横に下し、香苗がしてくれたように、自分もそっと、香苗の首筋にキスをして、舌を這わせてみた。これは“好き”のしるしだと、さっき香苗が言っていたから。
どりーむは、二人の身体を両手や舌、そして肌の感触を使って優しく愛撫する。慣れない二人の反応を楽しむのは、どりーむにとってそれだけでも十分に快楽だった。優しくしたり、激しくしたり、時々、二人にキスを勧めたり、気持ち良さを楽しむ方法を、知らない娘たちに教えるのも、楽しい。
うっとりというよりも、二人ともがぐったりとしてしまった時点で、どりーむはひとまず手を止めた。今日はほわいと・でい☆のパーティーの日だ。今は何時で外では何が行われているだろう?
パーティーが撤収してしまう前に、さすがに洋服を着せてあげなくちゃかわいそうよね。どりーむはとりあえず、乱れた衣服をそっと整えてあげた。
バタン、と扉が開く音が聞こえたので、どりーむがシーツから頭を出して見てみると、レキとミア、二人の百合園女学院の制服を着た女の子が見えた。まだ大丈夫かな?と考えた時……
「寒い寒い寒いっ!寒かったーっ!」
「たーっ!」
「たーっ!じゃないですわよ。あなたたちのせいで、風邪を引いてしまいますわーっ!!」
わいわいと崩城 理紗(くずしろ・りさ)、崩城 ちび亜璃珠(くずしろ・ちびありす)、ロザリィヌ・フォン・メルローゼ(ろざりぃぬ・ふぉんめるろーぜ)たちが入ってきた。雪遊びでもしてきたのだろうか。なんとなく冷たい空気が流れ込んできた。
「ロザリィ、服、どろどろじゃない。本当に風邪引くわよ」
崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)が、自分の着ていたコートを脱いで、ロザリィヌの肩にかぶせかける。
「この部屋はあったかいね!ちゃんとあったまらないとだめだよ」
七瀬 歩(ななせ・あゆむ)は、七瀬 巡(ななせ・めぐる)の髪をタオルでごしごしと拭いている。
「まったく、ひどい目に合いましたわー!雪だるまコンテストの方たちには怒られるし、不幸ですわー」
「ともかく、何か温かい飲み物でもいただいてきますわ」
冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)はそう言うと、扉の向こうへ姿を消した。
「繭、冷えたでしょー?ほらほらーあたしが温めてあげるー」
エミリア・レンコート(えみりあ・れんこーと)が稲場 繭(いなば・まゆ)に抱きつこうとすると、ぱふっとルイン・スパーダ(るいん・すぱーだ)が繭をシーツで包んだ。
「これで十分温かい。あーぱー吸血鬼の冷えた身体を繭にくっつけるな!」
「何言ってるのよ。人肌で温めるのが一番効果的よー」
「繭にくっつくな!」
雪で遊んでいたらしいチームが帰ってきたとなると、そろそろお茶会のほうにも顔を出さないとまずいかな。どりーむはそう考え、ゆっくりとふぇいとを抱き起こした。
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