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リアクション
6.【3】番で犬
一方――。
屋上のゲーム会場では、牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)が【女王様】役としてステージに立っていた。
彼女が選ばれた理由は【百合園大学生ハンターズ】のメンバーであった上に、幸運の女神が微笑んだ結果だ。
「コンパとか【女王様】とか初めてなので、沢山大学生を狩れますように!」
パンパンと柏手をうって、怪しげな願いを唱えた後、観衆に向き直って命令を下した。
「【3】と【4】は首輪をつけて犬になりなさい!」
だが、【4】番は既に前回使用されてしまった。
【3】番のみが対象者となる。
♪【3】番、だあ〜れだ!
程なくして【3】番の七瀬 歩(ななせ・あゆむ)、ヴェルチェ・クライウォルフ(う゛ぇるちぇ・くらいうぉるふ)、タピ岡 奏八(たぴおか・そうはち)がステージの前に立った。
「猟犬は揃いました、狩りの時間です。何人の大学生をハントできるか楽しみです」
えーっ!? それって。
もしや……「マンハント」のことでしょうか?
「そうですよー!」
アルコリアはあっけからんとして装備を掲げる。
「『大学生を狩りに来た』のでしょう? 私、大好きな歩ちゃんのために! 頑張って、お手伝いしますから……」
「んなわけ、あるかーっ!」
アルコリアはGAメンバーからの総ツッコミにあうのであった。
それでもくどいようだが、【女王様】の命令は絶対だ。
その命令は「1度」のみ有効である。
「犬になる」はOKだが、「猟犬としてマンハント」は2度目の命令とみなされて却下になった。
そうした次第で、5人は取りあえず首輪をつけて「犬」として振舞うこととなった。
【僕】達の中で、1番注目されたのはヴェルチェであった。
「犬」というより、「お犬様」然として奉られているのだが。
彼女の周囲は「お犬様」に命令されたい空大生で群がった。
「わん、わん。じゃあ、ヒャッハーいいながら、『お犬様』のくわえてるデカポッキーをボリボリ食べてね♪」
胸元から、デカポッキー取り出し、強制的に観衆どもに押しつける。
それは【僕】ではなくて、【女王様】の役割ではなかろうか?
しかし目尻の下がった空大生共は考えることなく、次々と彼女のキスの餌食となるのであった。
怪しい、やけに顔のホリの深いサングラス掛けた「大正浪漫金髪アフロガール」――奏八は「犬」という立場を利用しつつ、パートナーから去ろうとしたところ、目の据わったプリ村 ユリアーナ(ほふまん・ゆりあーな)と出くわしてしまった。
どうやら、空腹度が最大値を超えてしまったようだ。
『そもそも、ソーハチがちゃんと働いてお金を入れてくれればこんないかがわしい場所にくる必要も無かったんだよ!』
家を出てくる前の、ユリアーナの台詞が脳裏をかすめる。
ツツッと冷や汗が流れて。
「まさかっ、暴走っ!?」
状況を理解する前に、食欲魔人のユリアーナは奏八を捕食しようと追いかける。
「すびばせんっした! まともに働いて稼ぎいれますんで! 頭からとか、No! No grazie!!」
頭を下げつつ四つん這いで走り回るその姿は、「犬」というよりは「狂犬」だ。
そのまま2名は観客達の笑いを取りながら、退場して行く。
■
彼らの様子を、歩は1人アルコリアの傍で優雅に眺めていた。
「歩ちゃんは、あぶないですからね。私の傍を離れちゃだめですよー」
「わん! ……なんちゃってね!」
フフッと笑う。
「大学生ハントもいいけど、これはこれで楽しかったかな?」
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