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節分に鬼っ娘退治!?

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節分に鬼っ娘退治!?

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 真っ先に行動開始したのは、ちびあさだった。手にしたトミーガンを振り回し、牛頭の注意を引いてから、尻を向けてお尻ペンペンの動作をして見せ、べーっと舌を出す。そのままちょろちょろとすばしこく牛頭の周囲を回る。動きの鈍重な牛頭はまごまごと向きを変えるだけで、一向にちびあさを捕まえることができない。

『ンモォオオオオおお!!!!!』

牛頭/美緒が怒りに顔を真っ赤にして咆哮する。
メイベルが叫ぶ。

「ほらほらぁ〜 私はこっちですぅ〜」

セシリアがすばしこく動き回りつつ叫んでいた。

「僕はここだよ〜 追いつけるものなら追いついてみろ〜!」

ヴァーナーがのんびりと赤いタオルを振りながら、

「牛さん、牛さん、こっちです〜、鬼さん、鬼さん、こちらです〜♪」

真/諒が地獄のそこから響くような声で挑発する。

「貴様みたいな奴のせいで奈落人の印象が悪くなるんだよ。……オラオラ〜鬼さんこちら、手のなるほうへ〜」

亜璃珠がその前に進み出ると、ベルフラマントを華麗に翻した。

「さ、お姉さまの胸に飛び込んでらっしゃい。調教して差し上げますわ」

逆上しきった牛頭は、まんまと突っ込んできた。小夜子が仕掛けた、粘体フラワシのど真ん中へと。

 粘体フラワシはコンジュラー以外には見えないとはいえ、向きを変えることもできずもがき始めた牛頭を見やってかかったと知った月詠が言う。

「……という事ですので、ニンフィールくん、ソレ渡して下さいますか?」
「ん、何よ?ぇ、コレ食べる分じゃなかったの? ふ〜ん、コレを美緒に投げてぶつければ良いのよね? 分かったわ、じゃぁ私も手伝うから早く終わらせましょ……早く帰って、録画した昼ドラ見たいんだから」

二人はせっせと豆を牛頭にぶつけ始めた。

 祥子は光学迷彩を作動させたまま、牛頭の側面や背面に回りこみ、思い切り福豆を投げつけた。

「……うーん。美緒の肌にアザとか出来るのは避けたいけど……思いっきりやらないといけないので、ごめんね美緒、ラナ」

助けたいという想い。そしてそこに豆と鬼があるからという山男でなく日本人ゆえの心意気。
せーのっ!

「鬼はぁーーーーそとぉーーー!!」
「福はぁーーーーうちぃーーーー!!」

 葵がイングリットに向かい、叫ぶ。

「今だよ! グリちゃん! 渡してた福豆を美緒ちゃんにぶつけて!!!」

イングリットはみんなの奮闘を見ながら、無意識に持参した福豆をぽりぽりと食べていた。もはや袋の中には数粒しか残っていない。

「んーとんーと……葵〜ゴメンにゃー 豆無くなったにゃ」
「グリちゃん……」
「だいじょぶにゃー!」

袋から残った豆を手のひらに振り出したイングリットは、元気よく掛け声をかけた。

「鬼は外にゃー! 福は内にゃー!」

残っていた数粒を全力で牛頭に向かって投げつけた。

 葵の合図を聞き、歩も張り切って福豆を牛頭に向かって投げつける。

「痛かったらごめんね! ……おにはーそとー!」

巡が胸を張って言う。

「豆投げるのにはちょっと自信あり。何てったって、こう見えても野球のピッチャーだしね!」

数粒投げただけのイングリットが、んー、と考え込む。

「……なくなっちゃった。……そうだ!持ってる人に分けて貰えば良いにゃ〜。イングリット頭いいにゃ」

 リーブラはシリウスから預かっていた豆を、持参の布にまとめて置いていっていた。そして身動きの鈍った牛頭鬼に向かい、豆を包んだ布をスリングの要領で振り回して、包んだ豆を一気に叩きつけてゆく。

「ごめんくださいまし、ええ〜〜〜い!!!」

気のぬけたような掛け声とは裏腹に、すさまじい勢いで投げつけられた豆が、散弾のように広がって、牛頭に降り注ぐ。

『モオ〜〜〜〜!!! たまらんモォオオオオ〜〜!!』

 そこを狙い、付近に幽鬼のように佇んでいた真/諒が轟雷閃を放った。ナラカの蜘蛛糸をあらかじめ周囲一帯に張り巡らせていたのだ。その糸に牛頭が触れた瞬間、糸を通じて奈落人の弱点、雷撃が牛頭を打ちのめす。

『モォオオオオー!! ぎゃああああああああ』

すっかり弱った牛頭は蜘蛛糸に絡め取られ、動けなくなった。