蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

フリマと少女の本

リアクション公開中!

フリマと少女の本

リアクション

「あ、あ、ア……」
 サリーの姿は、どんどんと薄くなっていった。
 その手を取った者がいた。
 結和だった。
「サリーさん」
 結和の手は、温かかった。
「私は、サニーさんを助けたかった。でも、サリーさんにも寂しい思いをして欲しくないんです」
 結和の金色の瞳が、サリーの茶色い瞳を覗き込む。
「サリーさんには、サリーさんとして生きてもらいたいって、思うんです。サニーさんの代わりじゃなくて」
「そうだね。俺も、全てのお嬢さんに笑顔であって欲しいと思うよ」
 エースが声をかけた。
「君には、実体化するだけの魔力があるんだろ。それなら、その力でサニーを助けてあげたらいい」
「ね。どうすればいいんでしょう。少しなら、私の心を分けても大丈夫ですから」
 結和の両手が、サリーの手を包み込む。
「私には、いつも助けてくれる仲間やお友達がいるから、大丈夫」
 結和の手が、サリーに触れている部分が、暖かく光る。
「……そして、サリーさんにもそんな仲間を作って欲しいんです。できるなら、私もそのその一人に……」
 その手に、もう一つ手が重ねられた。
「俺も、同感だね」
 エースのものだった。
 更にもう一つ。
 ネーブルの手。
 ルカルカが、柚が、そしてサニーたちが。
 その場にいた全員の手が、重なった。
 サニーの身体はどんどん薄れていく。
 それと同時に、光はどんどん強くなっていく。
 とうとう、部屋中に直視していられない程の光が広がった。
 光が消えた時、サリーのいた場所には、何もなかった。
「サリーさん……」
 結和ががくりと肩を落とす。
 その時。
「ありがとウ」
 声が聞こえた。
 サリーのいた場所の、下の方。
 小さい……5歳程度の、女の子がいた。
 サニーに、いやサリーによく似た顔。
 しかし、髪の色は結和と同じ焦げ茶色に金色の瞳。
「サリー、さん?」
「結和さン……ありがとウ!」
 にこりと、笑った。
「……っかっわぃい!」
 突如、サニーがサリーを抱きしめた。
「こんな可愛い妹、欲しかったの! ね、うちにおいで!」
「え……」
「ははは」
「え、え……エ、いいノ?」
 周囲を見回し、にっこり笑うサニー。
 少し傷ついたような様子のレインと苦笑しているクラウドも、頷いた。

「さあ、改めて……サニーさんが元気になって良かった」
 エースはサニーに花束を渡す。
 サニーが元気になったと聞いた時、渡そうと思って用意してきた花束だった。
「あ、私も……これ、元気になったお祝いです」
 柚もサニーに花束を渡す。
「ありがとう……!」
 花束を受け取り、にこりと笑うサニー。
 まだ少し顔色は悪いが、気持はすっかり元気になったようだ。
「よかった。また一緒に遊びに行こうね。……もちろん、しっかり休んでからね」
 ルカルカも笑顔でそう告げる。
 その隣に立つダリルは、サニーに手を差し出す。
「3Gだ」
「え?」
「3G。あの本の値段……お前の、代金だ」
「や、安っ……」
「もう、ダリルったら!」
 脱力するサニーの前で、ルカルカがダリルの背を叩く。
 ほっとした笑いが、部屋の中に満ちる。
「よーし、また皆で一緒に遊びましょう! 今度はどこに行こうかしら。夏といえば……海ね!」
 笑い声の中、サニーの声が一際大きく響いた。


担当マスターより

▼担当マスター

こみか

▼マスターコメント

 はじめまして、もしくはこんにちは。
 「フリマと少女の本」を執筆させていただきました、フリマは売る方も買う方も燃えます、こみか、と申します。
 フリーマーケットや、その周辺の少女たちに関わっていただきまして、どうもありがとうございました。
 お好みの物は、買えましたでしょうか?
 売る側、買う側、それぞれの方々のアクションがとても生き生きとしていて、やりとりを書かせていただくのがとても楽しかったです。

 また、少女たち……サニーとサリーの救出に尽力してくださった皆さまも、本当にありがとうございました。
 サニーだけでなく、サリーも無事救われました。
 とても感謝しております。
 今後は、彼女も雑貨屋「ウェザー」の一員として色々遊ぶことになるかと思います。

 もし、今後どこかに遊びに行きたいと言う提案がありましたら、こみかが担当するシナリオ(ウェザー関連以外でも)のアクションの隅などに書いていただければ、そこを舞台に採用できるかもしれません。

 それでは、どうもありがとうございました。
 またどこかでお会いすることができれば、とても嬉しいです。