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第4章 サリー

「皆さん、こちらに」
 結和と占卜大全が借りたウェザーの一室に、数名の人間が集まった。
 サリーとレインとクラウド。
 そして古本を持つルカルカとダリル。
 柚と三月と海、エースとリリア、ネーブル、そして本とサリーの事が気になって戻ってきた吹雪とコルセア。
 総計15人。
 誰もが、サニーを案じていた。
 ただ一人、青い顔で俯くサリーを除いて。
 サニーが妙な動きをしないか、ダリルはさりげなく彼女を見張っている。

「ね、サニー」
 ルカルカが、本に話しかける。
「私達は、サニーに会いたいの。戻ってきて、サニー!」
 ほわん。
 本から、薄い光が漏れたような気がした。
「サニーさん!」
 柚が、本を抱きしめた。
「遊園地でサニーさんや海くんと一緒に回れて楽しかったけど……サニーさんが辛い時に、一緒にいられなくてごめんなさい」
 えっ……く。
 零れそうになる涙を堪える。
 泣いたら、喋れなくなるから。
 そしたら、サニーに呼びかけることができなくなるから。
「これからは楽しい事も辛い事も分かち合える友達になりたいです。だから暗闇の中で一人で苦しまないで下さい」
 ほわん。
 本からの光が、増した。
「サニーさん」
 三月も、本に呼びかける。
 サニーの頭を撫でるように、そっと本に手を触れて。
「僕はサニーさんに会いたいよ。サニーさんの代わりなんて誰にも出来ないから…… ね、また一緒に遊ぼう!」
 ほわ、ほわ、ほわん。
 本は、発光していた。
 暖かい太陽の光の様に。

「あ、ア……」
 それを見て、サリーが思わず声を上げた。
 何かに焦っているように。
「ね……」
 ネーブルがサリーに声をかける。
「サニーさんがいないと、兄弟さんが……ううん、皆が、心配するんだよ」
「でモ、私、戻りたくなイ……」
 ネーブルの目に映るサリーの身体が、ほんのりと薄くなっているように見えた。

 わぁっ。
 歓声が聞こえた。
 サリーが、ネーブルがそちらに目をやると、そこにはサニーが立っていた。
 サニーに抱き着く柚とルカルカ。
 驚いたように立ち尽くすレインとクラウド。
「ありがとう。柚さん、ルカルカさん、みんな…… 心配かけて、ごめんなさい。本当にごめん……」
「ううん、おかえりなさい!」
「お帰りなさい、サニー!」
 部屋中が、歓喜に包まれた。

 ように、見えた。