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訪れた特殊な平行世界

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訪れた特殊な平行世界

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 イルミンスールの街。

「とうとうですね」
「そうだねぇ。無事に解決してガスタフさん達が旅に出られるようにしたいね」
 クナイ・アヤシ(くない・あやし)清泉 北都(いずみ・ほくと)は侵食と飛び交う赤光で酷い有様の空を見上げた。
「消滅させる薬は今作製中だろうから、ひとまず記憶食いを捕縛して数を減らそうか。折角皆が提供してくれた記憶が食べられてはたまらないからね」
 北都はやるべき事に迷いがなかった。ただ今の状況を解決したいそれだけだ。
「しかし、何か弱点でもあれば、捕縛も少しは楽になると思いますが……どうでしょうね」
 クナイは記憶食いを目で追うも見るだけでは弱点らしいものは見られない。
 クナイのこの発言により
「確かにね。魔法や物理で反応が無いか試してみようか。もし反応があれば、捕縛や薬作りに役立つだろうし」
「そうですね。ただ、攻撃の際は皆さんの記憶を傷つけないように注意しないといけませんね。特に明るい色の記憶は(消える訳では無いけれど、本来届けるはずの所へではなく途中の赤い光に食べられたばかりか、それを元に増えられたのでは提供した方も堪らないはずですし)」
 北都とクナイは記憶食いの捕縛だけでなく弱点探しにも取り組む事となった。
 敵は空という事で北都は宮殿用飛行翼でクナイはレッサーワイバーンのレイで記憶食いの捕縛を始めた。

 空。

 あちこちの記憶食いに対し
「……数が多い場合は」
 北都は一体ずつ相手はせず『ホワイトアウト』を使用した。捕縛しやすくするために。
 すると
「……これは効くみたいだねぇ。次は他の魔法が有効かも確認しないと」
 記憶食いは凍り付き速やかな回収が出来たが、北都は弱点調査終了とはせず続行とする。
「次は……」
 北都が次に使用したのは『風術』だが、先程とは少々様子が違う。
「……これはまずい」
 吹き飛ばされるだけで何の変化も無く、記憶食いは飛ばされた先に漂う記憶を狙い出す。
 北都が弓を引くよりも先に
「風術は例外みたいですね」
 クナイが放つ『サイドワインダー』が見事に命中し魔法に比べ短時間だが、足止めに成は功。
「助かったよ」
 北都が素速く移動し、記憶食いが動きを取り戻す前に何とか捕縛を完了させ、クナイの元に帰還。

「しかし、魔法とは違い物理による攻撃は鈍らせる時間も魔法に比べ劣るだけでなく攻撃自体が効果ありませんね。矢を射ても撃ち落とす事は出来ず少しだけ動きを鈍らせる程度ですし」
 クナイは物理攻撃による効果を確認した事を北都に伝えた。『煉獄斬』で付近にいた記憶食いを薙ぎ払ったのだが、切断してもすぐに修復する上に動きが鈍るのは魔法に比べ短時間で遠距離を狙い放った矢は見事に命中するも報告した通りの結果。
「……物理よりも魔法に効果があるみたいだね。風術を除いて。多分これも何かしら効果があるはず」
 そううなずきつつ北都は光精の指輪を使い『光術』を使用してみた。何かしら反応があると確信しながら。
 その結果、
「……輝きが増しましたね。それだけでなく先程の物理攻撃よりも長時間動きを止めています」
 記憶食いは輝きながらその場に留まるのだった。クナイは速やかに箱に閉じ込め、ワイバーンの背中に乗せた。
「この情報、報告しておいた方が良さそうだねぇ」
 北都はクナイと共に確認した記憶食いの性質情報を拡散した。
 二人は記憶食い消滅薬が完成するまで捕縛に尽力し、ワイバーンの背中に載せた箱は付近にいる調薬探求会の者に託したりした。
 記憶食い消滅薬完成後も捕縛活動に勤しむ中、双子とロズを含む五人組に遭遇した。