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KICK THE CAN3! ~Final Edition~

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KICK THE CAN3! ~Final Edition~

リアクション

「あー、ヒマだなー」
 主催者のエミカ・サウスウィンドが、退屈そうに紫電槍・参式を振り回していた。どうやらセーフティーモードになっているらしく、電撃は発せられていない。
(エミカさん、発見!)
 荒野の上空を光る箒で飛んでいた朝野 未沙(あさの・みさ)は、彼女の姿を発見した。
 そのままゴッドスピードで急降下し、背後からエミカに迫る。
「エーミーカさん!」
 そのまま彼女の死角に回り込み、ブラインドナイブスの要領でがっちりとホールドした。
 ――エミカの小振りな胸を。
「…………っ!?」
 何が起こったのか分からないといった様子で、目を丸くするエミカ。彼女がフリーズしている間に、胸を入念にチェックする。
「一応掴める程度にはある……と」
 最初は下からすくい上げるかのようにして揉み、そのまま上がった掌を下げながら撫で下ろすようにしてとにかく揉む。
 その後は左右から掴んで寄せて上げてみる。
「……まるで成長していない」
 エミカが見かけによらず既に成人していることを考えれば、そうそう自然に大きくなりはしない。
「――紫電槍・参式、起動」
 さすがに同性であっても、胸のことは言ってはいけなかったのだろう。
 いや、それ以上にエミカはその性格によらず物理的な接触に耐性がほとんどない。前に会った時に、そのことは知った。
 おそらく反射的に、紫電槍の電撃を未沙に向けて放ってきた。
 無論、彼女が雷電使いであることなどとうに知っている。即座に帯電フィールドを張り、槍自体はスウェーで上体を逸らすようにしつつラスターダスターで受け流した。
 しかし、そこからすぐに切り返して未沙に槍先を突き出してくる。それでも、ギリギリのところでそれを避け続けた。
 その最中、エミカの攻撃を防ぐ術を思いついた。
「え、未沙さん、ちょっと!?」
 思いっきりエミカに抱きつく。
 その上で押し倒し、彼女に密着した。
「エミカさんっていい脚してるよね、この太腿といい。それに、ウェストも細い」
 小さい胸のことばかりが触れられがちだが、エミカは細身でスラっとしたモデル体型だ。
「せっかくこうやって触れ合ってるんだし、ここはやっぱりキス……」
「それだけはダメー!!!」
 涙目になりながら、エミカが必死に叫んだ。
 彼女に百合属性はないらしい。
「エミカさん待って、そんなに激しく突かれたら、私イっちゃう、飛んじゃうよぉー!」
 未沙の身体に、電流が迸る。
 だが、あくまで護身用のスタンガン程度まで威力を落としているらしく、ちょっと痺れるくらいで済んだ。

(まったく、何をやってるんだか……)
 二人の様子を、アルジャンヌ・クリスタリア(あるじゃんぬ・くりすたりあ)は呆れつつ眺めていた。
 しかし、すぐに傍観者ではいられなくなる。
「エミカさん、らめぇ、そんなモノをあたしに刺そうとしちゃ!」
 今度はエミカが未沙を追い回していた。
 あろうことか、未沙と目が合ってしまう。
「おい、こっちくんなー!」
 逃げようと思えば逃げられるスピードが出せるくせに、あえてこっちに来やがった。
「キャー、タスケテー」
 未沙が棒読みで助けを求めてきた。絶対に追われるのを楽しんでる。
「俺を巻き込むなー!」
 アルジャンヌは、そのまま彼女と一緒にしばらくの間エミカから逃げることとなった。