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ようこそ! リンド・ユング・フートへ 2

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ようこそ! リンド・ユング・フートへ 2

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■オープニング

    ここはリンド・ユング・フート。
    人の無意識の底にある、知識の源。
    そこを流れる1つの川、1つの夢、それは1つの意識――――――


のハズなのだが。
 とてもそんな威厳はカケラもない、ピンクを基調とした極彩色のマーブル模様の空――天井?――を、コンペイトウの流星が降っていた。
 キラキラ金銀の砂がシャワーっとクマの顔をした太陽から振りまかれる下で、蝶のようにひらひら舞う本、ふよふよ浮いている本棚がオーケストラのような音楽を奏で、リボン状の道に沿って、ぱぱぱや〜ぱぱぱや〜ぱやっぱっぱっぱぱー♪とナゼか子どもの落書きのような顔をした花がコーラスを歌っている。

「……なんか、前に来たときよりはっちゃけ度がさらに増してるよーな気がする…」

 目の前に広がるわけわかんない空間を見て、だれかがそうこぼしたとき。

「みんなっ、リンド・ユング・フートへようこそ〜♪」

 花の顔からにゅるんっといった感じで、突然スウィップ スウェップ(すうぃっぷ・すうぇっぷ)が現れた。
 そのまま空中に飛び出して、くるんぱっとポーズをつける。
「――ん? みんなどしたの?」
 なんか、ドン引きしちゃってるみたいだけど。
「スウィップ、それ気持ち悪いからッ! もうちょっと登場の仕方考えてっ」
「あ、そお? ごめーん」
 にぱにぱ。
 すっかり笑み崩れた顔で謝るスウィップ。その目も表情も、なぜからんらんと輝いている。
 見間違いではない。なにしろ、彼女の感情に反応して、パルックを背負ったような後光までさしているのだから。
 そんな顔で

「あたしは前回同様あなたたちが立派にリストレイターの務めを果たしてくれることを望みます!(キリッ☆」

 とか言われても、だれが信用するかっての。
「ちょっと浮かれすぎだよね」
「あからさますぎね?」
 そんなツッコミが次々飛ぶが、スウィップのにこにこ笑いは崩れない。
 そんな中。
「スウェップ嬢」
 柚木 瀬伊(ゆのき・せい)が前に出た。
「久しいな、スウェップ嬢。以前は貴瀬が失礼した様で申し訳ない。あの後、きちんと叱っておいた」
「あらー? べつにいいのよ、そんなこと。あたし、なんとも思ってないからっ」
 にこにこ、にこにこ。
 やはりスウィップの満面の笑みは崩れない。
 おお! さすがスウィップ! とだれもが思った直後。
「……あ。パルック後光が落ちた」
 そのときのことを思い出して、ちょっぴり気にしちゃってるのはバレバレだった。

「い・い・か・ら! みんなさっさと行っちゃいなさいよってば!」

 ぴこりーん。
 スウィップの振ったタクトからこぼれた燐粉……もとい、光のきらめきの中から、本に通じるドアが現れる。
 相変わらず木枠がついただけのピンクのドアだ。

「出た、どこでも○ア」

 その向こうに渦巻く白い空間も、もうおなじみだ。
「この安っぽさだけはどうにかなんないかなぁ…」
 ぶつぶつ言いながらも、彼らは次々とドアをくぐっていった。


 いざ行かん19世紀のパリ、オペラ座へ――――