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星座の闘衣を纏いし戦士達!

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出会いし黄金位達

 そして黄金位のリッターたちは、正門で鉢合わせをした。
「なんだ、お前たちもか……」
 ルースがそう言うと
「どうやらかなり本気の作戦のようだな」
 と脳筋……もといエスフロスがうれしそうに呟く。
 何やら裏がありそうだとルカルカは考えながら、周囲のメンバーを見渡す。
「まあ、神に最も近いこのバルゴのラブにまいかせておけばいい」
 こいつは問題外ね……とルカルカは分析する。
「まあ、これだけ黄金位が揃っていれば、すんなり行くだろうさ。それにしてもなんでこんな命令が出たんだかわからんな」
 同じく裏を考えてないエスフロスも問題外……ルカルカはそう判断した。
「何があろうとも、障害があれば叩き潰すのみ。それが牡牛座よ」
 これは、別の意味で厄介そうだ。だが、とりあえず黄金位のリッターで枢機卿の息が直接かかっているリッターはいないらしい。ひと安心するとルカルカはダリルとルースに目配せした。
 それを受けて頷くダリル。
 ルースは、長いこと知り合いをやっている気心をしれた同士。彼が裏切っていることなどありえない。ルカルカはそう考えてルースを最初から対象外にしていた。
「それで? 黄金位もお出ましのうようだが、我等はその白銀位の女の指示に従えばいいのだったな?」
 そう言ったのは甲賀 三郎(こうが・さぶろう)である。レイスやゴーストなどの幽鬼を従えた怪しさ満点の男だ。一応はカメレオン座のリッターらしいが傭兵として動いているらしい。
「ええ。わたくしの指示に従ってくださいませ」
 そうルミーナが言うがエスフロスは黄金位は独自に動くと宣言する。
「ふむ。了解した」
 三郎は納得した様子で頷くと、怪しく笑った。
「若干きな臭いな……」
 そう、誰にも聞こえないように呟いたのは三郎の相棒で、かじき座の本山 梅慶(もとやま・ばいけい)だった。
 戦いに生きる傭兵の常なのか、この射手座の闘衣集めの裏に関わる何かを嗅ぎつけたようであった。
「そういえば、これは誰の命令なのですかな?」
 梅逕がさり気なく口にすると、ダリルが「枢機卿だ」と答えた。
 ダリルの直感が、梅逕は腹に一物を潜めている男だと感づいていた。場合によっては味方に引き込めるかもしれない……
「そうですか……まあ、わしには関係ないことですな」
 梅慶はそれを煙のようにゆらゆらとかわす。
「その通り。我は依頼されたのみ、荷の意味など詮索しても為にはならんよ」
 三郎が梅慶に同調し我関せずを貫くという方針をアピールする。
「それから、闘衣を着ていない皆さんは闘衣を着用してください」
 ルミーナのその言葉とともに各自の闘衣の収納された箱が運ばれてくる。
 そして各々は導かれるように闘衣に近づいた。
「くっ……ふぁぁ……」
 やたら色っぽい声を上げたのはセフィー・グローリィア(せふぃー・ぐろーりぃあ)だった。彼女が闘衣の箱に触れた途端それは自動的に展開し、純白の狼の形をした闘衣がパーツごとに分解され、彼女の体に装着されていく。するとオルフィナは得も知れぬ陶酔感に満たされ、意識を奪われそうになる。が、やがて精神をコントロールし落ち着きを取り戻す。
 セフィーの相棒のオルフィナ・ランディ(おるふぃな・らんでぃ)は漆黒の狼の闘衣を身にまとい、禍々しい闇のオーラを展開した。
 そして同じくセフィーの相棒のエリザベータ・ブリュメール(えりざべーた・ぶりゅめーる)が箱に触れると、ケンタウルス(半人半馬)の彫像が現れ、分解されて着用されるエリザベータが闘衣を着用した瞬間、純白の翼が輝きだし、神々しい雰囲気がオルフィナの闇のオーラと侵食しあう。その雰囲気にエリザベータが陶酔しているとルミーナはとある人物に目を向けた。
 それは黒乃 虎子(くろの・とらこ)黒羊郷 ベルセヴェランテ(こくようきょうの・べるせべらんて)で報酬は鰤一本でいいといってきた奇妙な傭兵だった。
「ところであなた達、本当に報酬は鰤一本だけでよろしいのですか?」
 ルミーナの問に、虎子は答える。
「できれば二本がいいじゃん?」
 その言葉にルミーナは少し考えてから、下っ端の男に指示を出した。
 しばらくしてそれぞれに報酬の半分が前払いとして与えられる。
「これは前払い分です。ただし依頼に失敗した時、あるいは裏切ったときは10倍の違約金を払って頂きます」
 と、そう告げると周囲はざわついた。
 シュテルンリッターのことだから、どこに逃げても必ず追跡して10倍の違約金を請求していくるだろう。そう考えると恐ろしかった。
「まあ、ボクはご飯さえいただけるのならば問題ないのですぅ」
 ベルセヴェランテがそう言ってよだれを垂らす。それを横目で見やりながらルミーナは道中の食事は保証すると明言し、彼らに安堵感を与えた。
「さて、孔雀の、そろそろ行くであります」
 吹雪がしびれを切らしてそう言うと、ルミーナはかしこまって「仰せのとおりに」と答え、号令を発した。