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リアクション
(自称)冥王の陰謀
三頭獣座の朝霧 垂(あさぎり・しづり)ととけい座の鳴神 裁(なるかみ・さい)、そして哉にまとわれているインテリジェンス闘衣ドール・ゴールド(どーる・ごーるど)と哉に憑依し操っている本来のとけい座である奈落人の物部 九十九(もののべ・つくも)。そしてそのパートナーである炉座のアリス・セカンドカラー(ありす・せかんどからー)は、頭のパーツを持って逃げていた。それを追ってくるのは傭兵の三郎とその相棒の梅慶だった。
「さて、パーツを渡してもらおうか」
「断る、と言ったら?」
三郎の言葉に挑発する垂。
「当然力づくよ……」
お約束の言葉を返し、微笑を浮かべる三郎。
「なんで、闘衣を狙うの?」
「知らん。我は傭兵。ただ依頼を果たすのみ。女たちよ、どうする?」
垂の言葉に、三郎はあくまでも雇われただけと主張する。
「クスクスクス……おじさま、ゴーストを連れただけで粋がってるつもりぃ? アリスのお友達にはゴースト程度じゃかなわないわよん?」
アリスが色っぽく嘲笑する。
「小娘が……強がるなよ……むっ?」
と、周囲に吸血コウモリがひらひらと跳びまわり始めた。
「なるほど、吸血鬼か。見た目通りの年齢ではないというわけだ」
アリスは外見年齢8歳の実年齢16歳だが、冷徹で現実的な三郎は、だからこそアリスが永き時を生きた強大な吸血鬼であると勘違いしたのだ。
「まあ良かろう、相手にとって不足はない。行け! ゴーストどもよ!」
レイスとゴーストを飛ばす三郎。本人も躍りかかる。
「ごにゃ〜ぽ☆。僕は風……風を捉えきれるかな?」
哉は素早い動きでゴーストたちの攻撃をかわす。
「うふふ……コウモリ程度がアリスのお友達ぃ? 冗談。アリスのお友達は、レッサーダイヤモンドドラゴンちゃんよ!」
そしてレッサーダイヤモンドドラゴンが現れる。
オリハルコンとも対をなす強固さを誇るダイヤモンドのドラゴン。そのドラゴンが梅逕に襲いかかる。
「ふん! 竜騎士を退けたこのわしに、ドラゴン如き! ビルドフィニッシュ」
二連続の槍による刺突が、ダイヤモンドドラゴンを砕く。
「うっそ! しんじらんなーい!」
アリスはそう叫んで眼と口を大きく開く。
そして訪れるゴーストたちは、垂に触れると消えて行く。
「この冥府の番犬の俺に、死者が役に立つわけ無いだろ! みんな冥府に送り返してやったぜ!」
「なんだと!」
驚く三郎。
しかし、そのまま次の手を考えて実行する。
「煉獄之焔」
飛び出した焔が垂の防御体制を崩し認識力を低下させる。
そしてそのまま垂に組みつくと
「爆突」
垂の体に直接火球を押し付け爆発させる。
「ぐああああああ!」
垂もダメージを受けるが、
「ぐぅ!」
自身もダメージを受ける三郎。
「アブソリュート・ゼロ・ブリリアント」
時をも凍らせるとけい座の必殺技が発動する。
哉……を操る九十九は三郎と垂を引き離すと、「哉、行くよ」と哉にだけ聞こえる声で言った。
「わかった」
哉が答えると、闘気が膨れ上がり必殺の一撃が繰り出される。
「クロックアッパー」
音も光もそして時さえも置き去りにする超高速の連撃が三郎を叩き飛ばす。
「九十九さん、防御力は垂さんよりこちらのほうが上です。あの炎の男の攻撃は、こちらが担当しましょう」
「そうだね〜」
九十九が答えて哉の体を動かす。
「垂さんはそっちの槍の男を!」
哉の口を借りてでた九十九の言葉に垂は頷くと、梅逕との対決姿勢をとった。
と、そのとき。
「つまんな〜い。おじさま方、あ・そ・び・ま・しょ」
とアリスが囁き、注意がそれた瞬間、アリスは三郎に口付けた。
それは、みりおん・つるぺた・あたっく☆ 脳髄が痺れるほど甘く脳髄が痺れる程甘く、身も心も熔かせるほどの熱い口付けににより、対象につるぺたの幻想を見せて精神を掻き乱し、闘志や活力や生気を奪い去る……って炉違いである!
ともかく、三郎は廃人のように精も魂も奪い去られ、ぼーっとその場に立ちすくんでいた。
「三郎! このアマ!!」
激高する梅逕。
「御免遊ばせ〜 なんちゃって♪」
無邪気に遊ぶアリス。
「とはいえ、こりゃ不利じゃの……」
梅逕がそう怖気づいたところに、またもや第三勢力が登場した。
その男は、高笑いとともに現れ、みなの注目を引く。
「何奴!」
梅逕が尋ねる。するとその男、ドクター・ハデス(どくたー・はです)は名乗った。
「フハハハ! 余の名は冥界の王、冥王ハデス! 女神のリッターどもよ、射手座の闘衣を渡してもらおうか!」
「嘘だ!」
そう叫んだのは垂で
「冥府の番犬のこの俺が、自分の主を間違えるわけがない。お前は冥府の王じゃない!」
と主張する。その言葉にハデスは
「だから、冥府ではなく冥界だというておろうが」
と言うと、垂は
「どう違う!?」
と尋ねた。
「シロツメクサとクローバーほどには……」
「違わないじゃないか!!」
ハデスの言葉に垂が突っ込む。
そんな漫才とも付かない問答を繰り返していると、更に新たな人物が現れた。
「わたくしの名はミネルヴァです! すなわち、88星座のシュテルンリッターを統べる女神なのです! リッターの皆さん、世界征服を企む冥王ハデスの野望を打ち砕いてください!」
そう言いながらボロボロに傷ついたミネルヴァ・プロセルピナ(みねるう゛ぁ・ぷろせるぴな)が更に叫ぶ。
「88星座のシュテルンリッターは、冥王ハデスを倒すために存在するのです! 射手座の闘衣こそが、冥王ハデスを倒すための鍵! みなさん、争っている場合ではありません。力を合わせ、ハデスを……」
と、上空から急降下してきた月の女神(自称)アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)がその女神に仕掛けた。
「ムーンクラッシャー」
鋭い突きが無防備なミネルヴァに叩きこまれ、彼女はそのまま意識を失った。
「女神は始末しました。あとは、射手座の闘衣さえなくなれば、ハデス様の野望を阻む者はいなくなります。さあ、射手座の闘衣を渡してもらいましょうか!」
ミネルヴァがそう言ってファイティングポーズを取ると、ハデスが「パーフェクトだアルテミス」と賛辞を送る。
「感謝の極み」
アルテミスはそれにこう答えて慇懃に一礼した。
その一切合財を無視して
「ふむ……多勢に無勢……ここは引きますか」
梅逕はそうつぶやく。そして三郎を抱えて飛び去った。
梅逕はややこしいことになるのであえて冥王やら女神やらを無視した。
そしてさらに現れる新たなる人物。
「何奴」
ハデスが尋ねると、男は名乗った。
「りゅう座の岩造、又の名は蒼炎の龍皇剣、参上! 貴様らのこの俺が蹴散らしてくれる!」
松平 岩造(まつだいら・がんぞう)はそう名乗りを上げると、すべての勢力に向かって宣戦布告をする。
「まて、蒼炎の龍皇剣とやら!」
垂の言葉に、岩造は「なにかな?」と尋ねる。
すると垂は、すべてのリッターの敵であるこの冥王を自称する男を倒すために共闘すべきと提案した。
「でないと横から闘衣をかっさらわれてしまうぜ!」
「そーだよ!」
と哉に憑依した九十九も同意する。
「それに、一人でこの全部を相手にするのは無理でしょ? どちらか片方の陣営と共闘したほうがいいのはわかるでしょ?」
と可愛らしいアリス。
「ふむ」
岩造は頷くとしばし考え込んだ。
「冥王とやら、貴様はどうなのだ?」
岩造のその問にハデスは全て敵、と答えた。
「いいだろう。だが共闘はしない。しかし攻撃を仕掛けてこないのならばこちらからは攻撃しない」
と岩造が言うと、そういうのを共闘っていうんだけどな〜、とアリスが突っ込んで、それから吸血コウモリを呼び出した。
「どうやら話は決まったようだな。では行こうか。かかれ! シュバルツリッター達よ!」
ハデスは、【特選隊】、【戦闘員】に【優れた指揮官】【士気高揚】で指示を出す。
その指示とともに飛び出す冥界のリッターたち。
「フッ……龍皇昇龍覇」
闘気を極限まで燃やして放ったアッパーは、上昇気流となって冥界のリッターたちを吹き飛ばす。
「他愛もない……」
岩造が決めポーズを取ると、ハデスは「おのれ!」と叫びながらさらなる指示を出す。
「私が相手です!」
アルテミスがそう言って攻撃を繰り出すが、岩造はそのことごとくを左腕の円盤状の殺シールドで防いでいく。
「この!」
アルテミスが焦れて大技を繰り出そうとすると、岩造はまってましたとばかりに鋭い手刀を素早く繰り出した。
「龍皇妖刀」
その一撃はアルテミスの闘衣を叩き割り、そのまま昏倒させる。
「ふむ、どうやらこのハデスが直接出るしかないようだ……シュバルツ・エクリプス!」
伸ばしたハデスの腕から闇色の光が飛び出し、岩造を直撃する。
激しく吹き飛ぶ岩造。
だがその隙に垂と裁とアリスがハデスに接近していた。
そして三人の連携攻撃に、ハデスが崩れ、この場の趨勢は決した。
垂たちは闘衣を持って、一応岩造に応急手当を施すと、急いでその場を後にしたのだった。
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