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【海を支配する水竜王】侵入者に向ける刃

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第9章 パープルシロップを求めて地下へ

「通った道を分かりやすくしないとな」
 エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)は通った道に目印をつけようと、壁にチョークで印をつけながら進む。
「他の生徒が道を作ってくれたようだな」
 マグライトで水路を挟んだ向こう側の道を照らす。
 彼らより先に着いたシエラが道を作っていてくれたのだ。
 シエラは今、隠れ身の術を使い過ぎて、地下6階の小部屋に潜伏している。
「この激流だと、水の中は無理ね」
 水路を流れる激流を目にしたアリシア・クリケット(ありしあ・くりけっと)は首を左右に振った。
「トラップがあるかもしれないから気をつけなきゃ」
 怪しげなボタンなどがないか、クマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)は足元を警戒しながら歩く。
「こう暗くちゃ、見えないな。おぁああっ!?」
 廊下を進んでいると突然、壁からプラズマが発生したせいでカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が感電してしまう。
「小さな穴があるな、ここから電気を放出したのか」
 カルキノスが引っかかってしまったトラップの箇所を確認しようとダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は壁を調べる。
「いきなり酷い目に遭ったな・・・」
「油断大敵ということだ」
 顔を顰める彼に対してダリルは注意しろという風に言う。
「ラルク殿たちは無事であろうか、大分先行しているが・・・」
 連絡を取ろうと夏侯 淵(かこう・えん)が携帯の通話ボタンを押す。
「地下にいるせいか?電波が届かないようだ」
 何度もチャレンジしてみたが、結局電波が届かなかった。
「嫌だな・・・トラップがあるなんて」
 カルキノスがトラップに引っかかってしまった光景を見たメシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)は不安そうな顔をする。
「ひょっとしたら、火炎放射とかあるかもしれませんね」
 さらりとエオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)が不吉なことを言う。
「あはは・・・・・・まさかそんな・・・」
 彼の言葉にルカルカ・ルー(るかるか・るー)は顔を青ざめさせる。
「どこからか突然、ファイアー!て、炎が出てくるってわけ?」
 クマラは首を傾げて言う。
「ありえなくもないですよ。大勢に侵入者されて、向こうも相当警戒しているでしょうから」
「うーん、じゃあそことか?」
 ルカルカの足元をクマラが指差す。
「―・・・!?」
 驚いたルカルカは危うく転びそうになる。
「冗談はやめてよ、もう・・・」
「うん?あっ、ごめんね。もしかしたらあるかな?と思って」
 彼女に顔を向かってヘラと笑った。



「ここかな・・・」
 そっと扉を開けると、ルカルカは机の上に小さな箱を見つけた。
「う〜ん、難しいわね」
 ピッキングでこじあけようとするがなかなか開かない。
「戻れ、ルカルカ!」
「へ?・・・きゃぁあ!?」
 突然、手元にレーザー光線が当たり、驚いた彼女は思わず叫んだ。
 ダリルが声をかけていなかったら、手に穴が開いてしまうところだった。
「それを持って早くこっちにこい!」
 ルカルカは箱を抱えて部屋から飛び出る。
 諸葛弩の弦を引き、淵が謎の飛行物体を狙う。
 ヒロイックアサルトとダリルのパワーブレスで強化された力でも射抜くことは出来ず逃してしまった。
「逃がしたか。また狙ってくるかもな」
 再び襲ってくるかもしれないと思った淵は、飛行物体が逃げていった方向を睨んだ。



「開いたわよ!」
「中に何が入っているんだ?」
 ルカルカが開けた小箱の中を、後ろからエースが覗き込む。
「小瓶か?」
「暗くてよく見えないけど、何か入っているわね」
「ちょっと待っててくれ、明かりをつける」
 瓶の中身を確かめようと、エースがマグライトで照らす。
「紫色の液体が入っているわ」
 どうやら中にはパープルシロップが入っている。
「これで目的の品、1つ目を見つけたな」
「そうね。後もう1つの方・・・他の人が探していないようだから行ってみよう」
 レッドドロップを探そうと、ルカルカたちは地6階地下へ降りた。