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【十二の星の華】狂楽の末に在る景色(第3回/全3回)

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【十二の星の華】狂楽の末に在る景色(第3回/全3回)

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 鬼崎 朔(きざき・さく)は視界にパッフェルの姿を捉えていた。
 奴の狙撃に関する力はこれまでにも見てきた、それでも何かを守る様は、しかも余裕さえ無いようにも見えるのは始めてのことだった。
「必死に護っているように見えるであります」
「スカサカにも、そう見えますか?」
 スカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)は、着地と共に魔獣の頭を一つ撫でた。
「もう一度、頼むであります」
 スカサカの合図で、魔獣たちが一斉に駆けだした。向かうは三槍蠍の群れの中、パッフェルによって囲まれた外壁内には、今もまだ蠢く蠍たちに向かっていったのだった。
「手伝うでありますか?」
「いや、まだ…… それにしても……」
「護るという事は、それだけ重要という事であろう」
 パートナーのアンドラス・アルス・ゴエティア(あんどらす・あるすごえてぃあ)は不敵に笑みながらにグリフォンを見つめた。
「つまりは、アレを壊せば良い、という事でな?」
「待て、衝動に任せては、先の二の舞になる、それだけは… 嫌だ」
「成長したね♪ 朔♪」
「… からかうな…」
「硬い状況を壊すには、爆発するような衝動が一番だと思うけどね」
「だからそれは」
「あれだけ護ってるんだ、必ず何かある」
 いつの間にかに笑みは消えていて、アンドラスは真っ直ぐにを見つめていた。その瞳があまりに真剣だったから。
 全く、ズルい。
「わかった、狙っていい…」
「そうこなくちゃ」
「ただし! 感情だけで動くんじゃなくて、冷静に−−−」
「くくく… ようやくこの怒りを放てるよ」
「おぃ… アンドラス?」
「くくく… くくく……」
 抑えながらも猟期的に笑いながらに、そして、空飛ぶ箒に立ち乗りて飛び出した。アンドラスは使い魔の紙ドラゴンとカラスを宙に放つと、共にグリフォンの上空へと昇っていった。
 は急いで隠形の術を唱えると、同じく空飛ぶ箒で飛び出した。
 上空の土煙が晴れてしまう前に。は放った煙幕ファンデーションを力一杯に宙へと投げた。
 煙幕の拡散に逆らうように、滑るように宙を駆けながら、はブラインド・ナイブスでの仕掛けを囮に−−−
 冷たき威圧感を感じて、は箒を旋回させて振り向き避けた。
「良い反応ですね、流石と言うべきなのでしょうか」
 シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)はハンドガンを頬の横に添えて、満面の笑顔に添えて。
「邪魔をするな」
 は放とうと直前だった左手の氷術をシャーロットに向け、放った。
 それと同時にアンドラスが放った火術は、グリフォンとの間に飛び出した霧雪 六花(きりゆき・りっか)の爆炎波が叩き押さえた。体一杯に回転して放つ様に驚き、アンドラスの動きが静止した瞬間に、シャーロットが雷術で紙ドラゴンとカラスを撃ち落としていた。
「グリフォンを狙うつもりですか? 良い推理ですけど、させませんよ」
「… 邪魔をするな……」
 アンドラスが再びに飛び出した時、パッフェルの背後に近寄りし小型飛空艇から呂布 奉先(りょふ・ほうせん)が両手を伸ばして差し出した。
「俺は! おまえの力になりたい! さぁ、誓いの、いやぃや、挨拶の口づけをこの俺と!」
「あっ、ずっる〜い、詩穂も詩穂もぉ〜」
 乗り出す呂布の背を見ながら飛空艇を操縦している騎沙良 詩穂(きさら・しほ)も、たまらずに身を乗り出して手を差し伸ばした。
 という事は? 飛空艇はバランスを崩して傾きを見せ、幸か不幸かグリフォンの元へ、それすなわち2人の愛しのパッフェルの元へ一直線に墜ちゆくのであるが。
「パッフェルちゃん、詩穂と、詩穂と結婚して下さいっ☆」
 求婚しおった!! この状況で、この娘、求婚しおりおった!!
 確かに2人は密着飛行をしたけれども! 彼女は詩穂の大学の購買にも来ていたようだけれども! 趣味も同じだと豪語しているようだけれども!
「パートナー契約を… いえ、恋人からでもいいよ☆」
 妥協したぁ〜! いや、それも微妙か……。
「うるさい!!!」
 ランチャーが向けられまして、2人は狙撃されてしまいました。即効性のある神経毒。続けて放たれた波動弾は小型飛空艇を撃ち抜きましたので、2人は身動きの取れぬまま、落下していったのでしたのでした。
 パッフェルがランチャーを放つ瞬間を狙っていた者がいる。篠宮 悠(しのみや・ゆう)は波動弾が放たれるのと同時に、丸めた体の両足に力を込めた。
 煙幕の中にそびえ立つ、5メートルを越える機晶の体。レイオール・フォン・ゾート(れいおーる・ふぉんぞーと)は掌内で丸まっているを、思い切り放り投げた。
「見るがいい! 煙幕を斬り裂く反撃の狼煙を!」
 砲弾のように飛び行きて、は抱えたランスごとパッフェルに突撃していった。
「危ないっ!!」
 轟速球なに反応していない! ミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)は小型飛空艇ごとグリフォンに体当たりをして、無理やりパッフェルに避けさせた。飛空艇から身を乗り出して、ミネルバはヨロケるパッフェルの腕を掴んだ。
「パッフェルちゃん!!」
 腕を掴む際の呼びかけに、また目を覚まして欲しいとの願いも込めて。
 ミネルバは、飛び過ぎて行ったを視界に捉えると、忘却の槍を片手に握りしめて、両腕を開いた。
「ミネルバちゃんが防ぐから、心配は要らないんだよ」 
 彼女の盾になろうと。その盾の隙間からパッフェルを狙うのは、真理奈・スターチス(まりな・すたーちす)であったが、シャープシューターを発揮しての狙撃も、同じくシャープシューターを会得した
桐生 円(きりゅう・まどか)の弾が、それらを撃ち落とした。
 スプレーショット、殺気看破をそれぞれに駆使した狙撃戦。真理奈も互いに共に思っていた。
「しつこい」と。
「少し、じっとしてるんだよぉ」
 パッフェルにヒールをかけながら、オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)は囁くように発した。
「どうするの? それとも、どうしたいの?」
「… 許さない!!」
「あっ、ちょっとぉ」
 回復しきるより前に、巨体機晶姫のレイオールめがけて、パッフェルはグリフォンを駆けさせた。
「来たよ! レイオール!!」
 巨体の影から、ミィル・フランベルド(みぃる・ふらんべるど)は顔を出して、パッフェルに火術を放った。
 瞬時に。
 放たれた波動の砲撃は、火術を飲み込んだまま宙を裂き、レイオールの装甲を打ち砕いた。
「レイオール!!」
「ぐっ… だ、大丈夫だ… 反撃、するのだ。悠!!」
「普通あれは避けないだろう、ったく、空気の読めない奴だぜ」
 右手で頭を押さえながらボヤいたが、は左手に2メートルを超える長剣型光条兵器を具現化した。
「あの大砲みたいなのは、とにかく避けろ、レイオールでこの様なんだ、ひとたまりも無いぞ」
「レイオールにこんな事するなんて。私の氷術と雷術と火術で、ぶん殴ってやるんだから!」
「真理奈が痺れを切らす前に、行くぞ!」
 砕ける地に紛れ散る。
 レイオールだけは、ひと際に目立っていたが、3人は砕ける地に紛れて散った。