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【十二の星の華】秘湯迷宮へようこそ

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【ルート3】

 ルカルカ達とは違う道を選んだナナリーとヴィオレット。
 しかし、一見するとナナリー1人が歩いているようにしか見えない。
 ヴィオレットはナナリーの胸元の石にいるのだ。
 ルカルカ達には背後にナナリー達がいたことも気が付いていないだろう。
 ブラックコートで気配を消していたのだから。
(玄武甲……欲しくないって言ったら嘘。自分の為じゃないのに……)
(我が姫、御心はお決まりか?)
 ナナリーの考えている最中にヴィオレットがその心に問いかける。
(うん……この身はティセラ様のもの。だから彼女に捧げるんだ)
(ならばその目的達成の為の助力を)
 ナナリーの決意にヴィオレットが返した。
 ナナリーが歩くとスイートピーの香りが後ろに帯を作る。
 しばらく真っ直ぐな道を歩いていると足元でカチリと音がした。
 何かを踏んでしまったらしい。
 足元に注意を向けようとした刹那、頭上よりタライが落ちてきた。
 それを背後に飛んで避ける。
 タライが落ちると重たい音と同時にタライの中から水が辺りに散った。
 タライの中に水が入っていたのだ。
 もろに直撃していたらやばい。
 まっすぐな道が終わり、次の曲がり角を曲がり、ちょっとするとまたすぐに次の曲がり角だ。
 その曲がり角を曲がると途端に背後より通路幅ぎりぎりの鉄球が壁の中から出現。
 さらに前方の大きな部屋からは岩の塊がやってきた。
(いかがする? 我が姫)
 ヴィオレットの問いにナナリーは慌てた様子を見せずに前へと走り出していた。
 あわや岩とぶつかるところで、岩はナナリーの体をすり抜けた。
 岩は幻影で出来ていたのだ。
 こんなに大きな岩の塊なのに音がしなかった。
 ナナリーは大きな部屋へと入ると横へとずれ、鉄球をかわしたのだった。
 鉄球は轟音とともに部屋の壁にめり込んだ。
 ナナリーは呼吸を整えてから部屋の中を丹念に調べ上げたが、見つかったのは【ハズレ ださいなぁ】と書かれた床だけだった。
 なんだか少しイラッとくる感じの文言だ。