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汝、己が正義に倒れるや? ~悪意の足跡~

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汝、己が正義に倒れるや? ~悪意の足跡~

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第五幕:愚か者の末路

 御凪たちからの連絡で仮面の男たちを探していた騎沙良 詩穂(きさら・しほ)たちは街道の先で起こっている出来事に目を奪われた。
「一体何事ですか!?」
 彼女の叫びを近くで聞いていたウルスラーディ・シマック(うるすらーでぃ・しまっく)が顔をしかめて答える。
「知らねえよ! それよりこいつどうするよ」
 彼の足元には仮面をかぶった男が倒れていた。
 逃げそびれた野盗の一人だ。
「あいつらも助けんとねえ」
 高崎 トメ(たかさき・とめ)が見やる先は騎沙良と同じだ。
 そこには仮面を着けた幾人かの者と動物たちが逃げ惑い、警備を担当した人たちが異形と戦っている様子が展開されていた。
「野盗騒ぎどころじゃないよね」
 高崎 朋美(たかさき・ともみ)は言うと騎沙良を見た。
 騎沙良も朋美に視線を向ける。
「詩穂はアレの相手をしてきます! 野盗たちは――」
「俺たちがする。なあにトメが撃って朋美が治すから怪我人は……出るな」
「さんを付けなはれ。まったく……」
 ウルスラーディとトメの言葉に騎沙良は頷くとその場を後にした。
 仮面の男たちに視線を送ることなく異形へと突き進んでいく。
「さあてと」
 ウルスラーディは駆けるやいなや近くにいた仮面の男を捕まえる。
「うお!? なにをするこの!」
「なにって……お灸を据えるんだよ」
 朋美は言うと男を取り押さえた。
 浮かぶ表情は笑みである。しかし怒っているのが雰囲気から窺がえた。
「痛いのと熱いのは我慢しなはれ」
 トメが男に近づく。
 間を置かずに男の絶叫が辺りに響いた。
「次はそこいらの岩場にショットガンでも打ち込んでみるか」
 ウルスラーディがトメに視線を送る。
 低い音が響き、ときおり男たちの悲鳴が上がった。
「まったく悪さはしないでほしいよね」
 怪我を負った男たちを治しながら朋美は騎沙良の向かった方を見る。
 何が起きているのか、具体的には分からない。
 ただ危険な何かが暴れていることだけは理解できた。