リアクション
アンダーグラウンドに這い寄る影はそれだけではない。
別の所での話だ。
そこは隙間風が強い場所だった。
古い空調設備が轟々と音を立て、周囲の音もかき消されるような場所。男のねぐらはその先にあった。
男は盗みを働いていた。街で起きた列車事故、その現場に落ちていたプラスチック製のボトル。それを3本。脇に抱えて路地を走っていた。
久しぶりの酒だった。銘柄も種類も分からないがラベルを見ると高級そうなものだった。誰かにとられる前に、昼酌と浮かれていた。
ダンボールとビニール布で作ったテントに戻ると、明かりがついていた。消し忘れたかと思ったが違った。
「よぉー遅かったな」
ガラの悪い奴がテントの中にいた。後ろから二人さらに近づいて、男の退路がなくなった。男が酒を持っていること知ったチンピラが先回りしていた。
「一人だけずるいなぁ。同じ穴のムジナだろ? ほらよこせ」
「い、いやだ……!」
男は抵抗した。が殴られボトルを落とす。
「お前が飲むにはヨすぎる酒だなぁ……一杯、一滴くらいは飲ませてやるか」
チンピラのゲスな笑い声が路地に響く。
しかし、声はすぐに途切れ、一人がうつ伏せに倒れた。
首筋に芋ケンピが刺さっていた。
残りのチンピラが慌て、周囲を警戒する。誰もいない。
そう思った瞬間頭上からパンツが落ちてくる。首を足で固められ落下の勢いのままアイゼンバックフリッガー(だったと思う)。後頭部が地面に叩きつけられ、またひとりそいつの餌食になった。
「誰だてめぇ……」
パンツ丸出しの奇妙なお面をつけた女は答える。
「超国家神の死者、ニンジャ天狗――見参!!」
ドーモ、フィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)=サンです。
「ニンジャ!? テング!? ナンデ――」
と疑問を完全に口にする前に口に芋けんぴと首に《手刀》を叩きこまれて、最後のチンピラが倒れた。
そして残ったのは盗人の男……
路地に座り込んでいる彼に、ニンジャ天狗がヌラリヌラリと近づいてくるのだった。
彼の運命や如何に――!