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リアクション
ラズィーヤ
同じ頃、静香のパートナーラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)も、女王への手紙をしたためていた。
「こちらを使節団の方々にお渡しくださいな」
ラズィーヤは書き上げた手紙を、便箋と対になる上品な封筒に入れて、封蝋で封じる。そこに刻まれた印は、ヴァイシャリー家の紋章だ。
彼女からのメッセージを受け取りに来た朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)とイルマ・レスト(いるま・れすと)が手紙を受け取る。
「任せてくれ、ラズィーヤさん。お見舞いだから、花束を添えてはどうかな? ラズィーヤさんの好きな青薔薇とか」
「そうですわね。女王陛下も薔薇がお好きだったとか」
「なら、良さそうなのを見つくろって花束にするよ」
千歳の言葉に、イルマもほほ笑んだ。
「ええ、ラズィーヤ様が血筋的にアムリアナ女王陛下にもっとも近い、という視覚的なアピールにもなりますわね」
パートナーの言葉に、千歳は
(イルマって時々、何を考えているか分からない時があるんだよな)
と思う。先程は「ラズィーヤ様の心中や察するにあまりあります」としおらしくしていたのに。
千歳の思いに気付いたのかどうか、イルマはラズィーヤに言う。
「今回メッセージを出す事で、百合園女学院の行動は、帝国に囚われた陛下の身の安全を図る為にやむを得なかった、という姿勢を打ち出せますわ」
「まあ、心配してくださるのね。嬉しいわ」
ラズィーヤが二人に笑いかける。
「当然だよ」
千歳は神妙な表情で返す。彼女は元は蒼空学園生だったが、ラズィーヤびいきのイルマの事もあり、また百合園生の従兄弟とそのパートナーとは戦えない、と百合園に転校してきたのだ。
ラズィーヤは、ふふっと意味ありげな笑みを浮かべる。
「百合園女学院には、まだまだ味方はいますのよ」
微笑みあうラズィーヤとイルマを見て、千歳は不思議そうだ。とりあえず「ラズィーヤファイル」とタイトルを書きこんだパラミタがくしょうちょうに、それらの事を書き記しておく。
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