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リアクション
ネフェルティティ
アイリスが電話を終えると、また従龍騎士が訪問者を伝える。
巫女橘 柚子(たちばな・ゆず)と神子木花 開耶(このはな・さくや)だ。その為、もともと武装らしい武装はしていないが、念のために武装解除にも応じている。
「従龍騎士はんの様子では、先にどなたか来はりました?」
柚子の問いに、アイリスがうなずく。
「ああ、シャンバラ女王の元に使節団を送るからメッセージが欲しい、という事かな? 聞いてるよ」
「なら話は早いわぁ。シャンバラ女王アムリアナ・シュヴァーラが危篤に陥りはりまして、助かるかどうかは半々との事……。
最悪のケースを考えると、無理は承知で女王と、その妹ネフェルティティを今のうちに電話口だけででも会わせてあげられまへんか?」
アイリスはしばし考えた。
「いや……可哀想だけど、それは無理だね。話では、女王の意識はいつ戻るか分からないんだろう? この旧宮殿もいつ戦いが始まるか分からない情況だ。場合によっては、戦いに先駆けてネフェルティティを取り戻そうと特攻や潜入してくる者がいるかもしれない。不測の事態が起こった際、ネフェルティティがそれを電話でリアルタイムに誰かに伝えてしまったら……僕は彼女を殺さなければいけなくなるかもしれない。そんな事態は、僕としても避けたいからね」
「リアルタイムが難しいようなら、録音や手紙なら大丈夫なんかなぁ?」
柚子の言葉にアイリスはうなずいた。
「……そうだな。姉が危篤なんだ、それくらいは良いよ。……君、交渉がうまいね」
柚子は礼もほどほどに、ネフェルティティが寝かされているという部屋に駆け込んだ。
「深空ちゃん!」
「柚子……!」
ネフェルティティが飛び起き、柚子の胸に飛び込んできた。
「聞き覚えがある声がしてたから、もしかしたらって……」
柚子の腕の中で、彼女の体が力をなくす。
「深空ちゃん?!」
背後から開耶に抱きかかえられて、ネフェルティティは困ったように笑った。
「ご、ごめんね。闇龍を抑えながら、だから……あまり力が、出なくて……」
開耶は柚子と協力して、ネフェルティティをベッドに寝かせる。
それから、彼女が旧シャンバラ宮殿と共に消えてから、これまでの経緯を話してきかせる。そして女王へのメッセージが集められていると聞くと、頼まれる前に自分から協力を申し出てきた。
「姉さんには会って謝りたいし……ラングレイのする事なら、きっと大丈夫」
ネフェルティティのメッセージは、柚子が携帯電話で録音する。
「あたし、姉さんに会って話したい事がたくさんあるの。
国家神としての不安は分かる。だけど今、こうしてあたしが姉さんに話しかけられるのも、ラングレイの導きのおかげだから……」
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