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リアクション
「やーやーお待たせー」
耳としっぽをとった詩穂がぱたぱたと小走りで駆け寄る。
声をかけた先には白砂とサクラコの姿があった。
「それじゃさっそく打ち上げにいきましょうか!」
ご飯ご飯と楽しそうに歩き出すサクラコと詩穂。
あ、と思い出したように後ろを歩く白砂の方を向き。
「もちろん、ここはご馳走してくれるよね? 白砂くん?」
サクラコが呼ぶように、きらりと眼鏡を光らせる詩穂。
有無を言わせない煌きに、白砂は財布とともに折れた。
想詠はメイクを落として帰ろうか悩んでいるところに、ミーナが現れた。
「うわぁ本当に男の子なんだね〜。肌も綺麗だし、羨ましいなあ。ミーナは女の子なのに胸がぺったんこだから男の子なんじゃないのってよく言われるの」
しょんぼりと肩を落とすミーナの気持ちは想詠にはよく分かる。
女顔のせいでさんざんからかわれたりもした。
けれど今はもう気にすることはなくなった。
きっとミーナも気にしなくなる日が来るはずだ。そんなことで悩むなんてつまらないと自分の価値観をぶち壊す人が必ずいる。だから、自分を嫌いにならないように、自分をもっと好きになってと話しながら二人は楽屋を後にした。
シャナこと佐那と緋王は楽屋の出口でばったりと顔を合わせた。
お疲れ様ですと最初は当たり障りのない会話をしていたが、帰り道が途中まで同じ中会話も無いままに帰るわけにもいかず、今日のライブの話に次第に話題はそれていった。
「そういえばあなたのバトル相手、変わった感じの方でしたね」
「あぁ、あのツルツルの……」
「ぶぇっくし!!」
結局手売りのCDも全然売れずに楽屋に戻ってきた吉永は、盛大にくしゃみをかました。
「あー、誰かこのイケメンの噂話をしてやがるなぁ。罪な男だぜ、ぐへへへへへ」
「おい」
持ち前のポジティブシンキングも絶好調で帰り支度をしていると後ろから声をかけられた。
吉永が振り向いた先に立っていたのは、スクエア眼鏡を妖しく光らせた菫の姿だった。
「あんた、おもしろいなぁ。どう、うちで働いてみない?」
スタッフ入口の辺りには846プロの面々が集まっていた。
「いやぁ俺本当に感動しちゃったわ」
「本当に来てくれてありがとね」
応援に来てくれた白泉に、乙川と碓氷が挨拶に行く。
またエリスやマルクス著『共産党宣言』こときょーちゃん、アスカに混ざって下川と千尋が話をしている。少し離れて響、鳳明とともに今日の話で盛り上がるキルラスの姿があった。
「やー。みんなお疲れさん! 今日は本当にみんな頑張ってくれて俺も嬉しいわ! ウチの赤城も優勝かっさらってきたことやし、今日は俺のおごりで打ち上げや!」
わっと846プロの面々の声が上がる。
帰ろうとした白泉やエリスたちを引きとめて、一人増えるも三人増えるのも変わらんと846プロの打ち上げに参加することになった。
「ほーら、赤城、主役がこな始まらんで?」
スタジアムを振り返り立ち止まっていた花音へと社が声をかける。
「さ、行きましょう」
目の前で手を差し出してくれるのは、どんな苦難も一緒に乗り越えてきたパートナーのリュートの手を取って元気よく返事をして走り出すのだった。
アイドルの道は、長く険しい。
けれどそれはまた始まったばかり――
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